平成15年12月31日、大晦日、久々に子の橋にいってきた。ちょっと見ると、冬の子の橋周辺は一面、枯草色だ。川岸の植物、背の高いヨシ、セイタカアワダチソウ、水田の植物、すべてが枯れ草に見え、同色でつながっているように感じる。橋の付け根のエノキも落葉し枝、幹の濃い色だけになっている。緑は遠くに雑木林、民家の庭木の緑だけが目立つ。それでも、よく見てみると少しずつ、植物たちが春の用意をしていて、薄い緑の絨毯が広がっているところもある。自然は、冬には春が、春には夏が隠れている。ところで、せっかくの景色なのに、橋の付け根に解体業者の立看板が立ち、興ざめであったが、いつの間にかなくなった。
前にも子の橋を紹介したが、もう少し、くわしく説明しよう。子の橋は佐倉市先崎のはずれにある。子の橋の道路がちょうど佐倉市先崎と八千代市下高野の境界となる。北は新川、南はユーカリが丘団地、西は八千代ゴルフクラブ、東は印旛沼だ。それらに囲まれた田園地帯を流れる小竹川にかかる。小竹川は東進し、手繰川と合流し、北に向かい、新川に流れ込む。
この日は、寒々とした景色が広がるばかりで、生き物の存在があまり感じられない日であった。それでも、休耕田に伸びたヨシ、セイタカアワダチソウはスズメの格好の休息場所となっていた。このヨシ、セイタカアワダチソウの群落が所々にあるおかげで、キジもこの場所に現れることがある。ダイサギが1羽、田んぼで羽を休めていた。こちらが歩くと飛び立ち、常に一定以上の距離を保つ。草地ではツグミがまわりを警戒しながら、歩き回っていた。
エノキには去年と同様、オオミノガの蓑がいくつか付いていた。今、あまり、見られないミノムシだが、この木では今年も見られた。中国でオオミノガ駆除のため放たれたオオミノガヤドリバエの影響も少しずつ少なくなってきているということを聞いた。
周辺の雑木林の縁ではいつもキジバトが枝にとまっている姿が見られる。
夏にはトンボでにぎわう、このあたりだが、冬はすっきりとしている。これだけ、すっきりとした景色を見ていると、なぜか逆に夏の子の橋、エノキの木陰や、小竹川の水音、川の中のゆれる水草、強い日差しが脳裏に浮かんできた。