子の橋、残ってほしい風景
子の橋は佐倉市のはずれ、八千代市に近い場所にある。子の橋と書いて「ねのはし」と読む。子の橋の風景は「むかし懐かしい」とか「落ち着く」という言葉がぴったりとくる風景だ。子の橋は水田の中を流れる小竹川の流れのひとつにかかる小さな橋だ。このあたりではコンクリートの護岸工事はほとんどされていなくて、岸辺まで植物の生えた土手を歩いて近づくことができる。岸辺には休息のためにサギやいろいろな鳥たちが立ち寄る。土手も、水田がまわりにあるため定期的に草刈が行われ、春には多くの野草が花を咲かせる。水の中に目を移すとせせらぎの中でササバモやヤナギモがおどっている。橋の下は適当な段差があり、これがせせらぎをつくっており、流速も適度に上がっているようだ。これが、ササバモなどの生育に適した環境をつくりだしているようだ。休耕田の荒地にはセイタカアワダチソウやガマの類が生えているが、ここも、野鳥たちの手ごろな休息場所となっている。夏にはノシメトンボやシオカラトンボの楽園となる。橋のたもとにはエノキがあり、これが川面に木陰をつくり陰影のある光の表情豊かなけしきを作り出している。都会で育った私でも懐かしく、心落ち着くこの風景は遺伝子に組み込まれた風景なのかもしれない。ここの風景もいつまで残るかという不安と残ってほしいという期待を生じさせる。
<ササバモ>
沈水、浮葉の多年生植物。地下茎でつながり、水中に茎を出す。葉は幅のせまい披針形で長さ10cm前後。「流れる水がすき」だといっているように流れと一体化したように生えている。水が引くと陸上形をつくるそうで、意外と適応性のある植物のようだ。
<ヤナギモ>
ヤナギモも水の流れの速い場所を好む植物。葉はササバモよりさらに細長く5−12,3cmほど。沈水性の植物。護岸工事や蓋をされた用水路ではなかなか生き延びることができない植物のようで「せせらぎ」が残ってる証拠となる植物かもしれない。