How to どのようにして自然と遊ぶか
本ホームページで紹介しているように、身近には計り知れないほどの自然があり、生物がいます。この自然とどのようになかよくなるか、遊ぶかという視点でその接し方についてふれてみたいと思います。
私は残念ながら自然豊かなところで育ったかというとそうではありません。そのため、植物の名前などほとんど知らずに成長しました。鳥にいたってはカラス、スズメ、ハトくらいしか名前を知らず、また、関心も持たずに成長しました。自然の豊かな場所で育った人が当たり前に知っている植物や動物の名前、遊びも知らずに恥ずかしい思いをしたこともあります。そのような私が、自然と親しむためには少し工夫が必要です。そこで、私なりの工夫について触れることとします。もしかしたら、自然に関心があったり、興味を感じたりしていても、最初の一歩、敷居の高さで実際の自然と親しむことに躊躇している人がいるかもしれません。人はそれぞれです。最終的には自分なりの方法を見つけて自然と親しむことが大切です。ただ、このようなやり方もあるという参考にしていただければ幸いです。
<いつでも、見る気持ちと準備を>
まず、外に飛び出す。これは大切です。が、そうはいかない人も多いと思います。仕事だってあるし、休みだってやることがたくさんあるでしょう。そこで、「立ち止まり」を大切にします。通勤や移動のときに、ちょっと、立ち止まってまわりを見る。郊外だったらコンビニや駐車場、バス停、駅でまわりを見渡してみます。駐車場のために崖や斜面を一部切り崩してあるかもしれません。そこに、地層が見えているかもしれません。森を切り開いていれば、ちょっとしたジオラマがあるかもしれません。あまり、切り崩したり、切り開いたりはしてほしくないのですが・・・。都会でも公園や墓地など生き物が潜んでいる場所も結構あります。生き物に関心を持ち始めたとき、東京の谷中霊園は随分と役に立ちました。残念ながら、都会ではそのような場所が全くないという場所も増えつつあります。
次に、立ち止まるために時間を確保しましょう。立ち止まるゆとりがなければどうしようもありません。出かけるとき10分はやく出るだけでもよいでしょう。
次に、これが一番大切かもしれない見る目を持つということです。同じところを同じように歩いていても、いろいろなことに気づく人、そうでない人がいます。これは見方、見る力の差だと言えます。本当にいろいろなことに気づく人、見つけることができる人がいます。慣れ、事前の知識の差もあるでしょう。これは、あせらずに高めていくしかないと思います。
<調べる準備、確認する準備を>
そこで、ある植物を見つけたとしましょう。このままでは、「こんな植物がある。」で終わってしまいます。確認し、調べるための準備をしましょう。私は車にいつも次のようなものを積んでいます。
・カメラバッグに詰め込んだ図鑑
・網
・プラスチックボックス、ビン
・ビニール袋
・地学用ハンマー
・カメラ、三脚
図鑑は簡単な写真図鑑などです。網は柄のついた普通の網です。川などでちょっとしたものを掬い取るときに使えます。カメラは安い一眼レフを積んでいます。カメラについては別項で触れます。また、VICTORINOXのサイエンティスト・モデル(今は販売しているのでしょうか)などルーペ付きのポケットナイフも便利です。
<フィールドノート>
なんでもよいです。私はちゃんと野外観察するときは適当な大きさのものを使いますが、通常はミニ・サイズのシステム手帳を携帯しています。
私の場合、フィールドノートの使い方は次の二点です。
・スケッチやコメントを記録する。
・あらかじめ生物の特徴や簡単な特徴を見分けるためのスケッチ、コメント、テキストをつくっておき、閉じこんでおく。このために、バインダ式のシステム手帳が便利です。
前述のように図鑑を携帯できればよいのですが、いつもというわけにはいきません。このようなときに、生物の特徴や見分け方を記述してあるこのリフィルが役に立ちます。
<カメラ>
スケッチも大切ですが、写真ほどたよりなるものはありません。全体象、部分などしっかりと記録することが大切です。意外とあとで撮っておけばという場合が多くあります。
カメラはデジタルカメラと一眼レフを使用しています。生物をとるときはその生物のサイズ、距離も様々です。どうしても、レンズが交換できたり、アダプタ類が使いやすかったりする一眼レフが便利です。ピントは微妙な場合が多いので、結局、マニュアルで撮影することがほとんどです。車に積みっぱなしなので、高価なものは使わず、盗まれようが、こわれようが、後悔が残らない安価な機種を常用しています。
最近はデジタルカメラも多用しています。最近のデジタルカメラはズームも倍率が高く、マクロ機能もあるので、デリケートな場合を除けば十分に使えます。レンズ交換式もかなり安くなってきていますが、まだまだ、高価なので使っていません。一体型を使っています。一体型の欠点は光学式ファインダーのものではアダプタやアタッチメントレンズを使用したときに対応できないという点があります。液晶式のファインダーは画像が微妙なものでは確認しにくいことがあります。いろいろな機種のくせを知った上で使い分けることが必要なときがあります。
<双眼鏡、フィールドスコープ>
野鳥や遠くの昆虫などを観察する時は双眼鏡が便利です。倍率は7〜10倍くらいのものが使用しやすいでしょう。倍率が大きすぎると視野がせまく、対象物が見つけにくくなります。対物レンズの口径は大きいほうがよいのですが、昼間の使用であれば、それほど大きい物でなくても十分です。双眼鏡のタイプは様々なものがありますが、安価で性能を考えるとポロプリズム・タイプと呼ばれるものが手ごろでしょう。多少、構造上、サイズが大きくなりますが、古くからある安定した構造なので信頼できます。最近はこのタイプを改良したコンパクトなものが一番、多く出回っています。接眼レンズより対物レンズのほうが内側にある一番、目にするタイプです。そんなに高価なものは必要でありませんが、ホームセンターなどで売っていて、あまりに安価で、倍率が高かったり、ズームを売りにしているようなものは避けたほうがよいようです。カメラ店などでよく聞いて購入したほうがよいでしょう。双眼鏡は逆さに覗くとルーペの代用としても使えます。
双眼鏡で野鳥など確認できたうえでさらに細かい部分をじっくりと観察したいときはフィールドスコープと呼ばれる望遠鏡が役に立ちます。こちらは双眼鏡に比べ高価なので、よく知っている人や信頼できる店でよく使用目的などを告げ、相談したほうがよいでしょう。倍率が高いため、三脚も必要となります。
ポロプリズム・タイプの双眼鏡
<地図を活用する>
地図は意図的に野外観察等を行う場合、大いに参考になります。地図も地形図はもちろん、ロードマップ,地図ソフトまでいろいろなもの、いろいろな縮尺を参考にします。地図は種類により載っている情報が様々です。
<調べる>
これは家での作業になると思います。高価な図鑑類は細かい同定のときたよりになります。写真図鑑や入門用の図鑑も本当に役に立ちます。さっと見つける、大体このなかまと知るためには便利です。図鑑を活用するときに大切なのは、見るだけでなく、読むことです。見た目だけでは、生物にだまされるときがあります。
インターネットは本当に役立ちます。それぞれの分野に熱心に研究されている方が多くいます。ただ、正確さ、理解のしやすさなどまちまちなので、ひとつのことについていくつかのサイトを当ることが大切です。
<各種講習や観察会に参加する>
できれば、いろいろな講習会や観察会に参加する方がよいでしょう。自然はこちらがそれなりの準備や接し方をしないとなかなか親しくなってくれません。そのようなとき、専門の方や、自然に慣れ親しんでいる方の教えは重要です。ただ、これには多くの時間がかかります。私は現在、忙しいので、ほとんど、参加できません。数少ない機会にはその分、めいっぱい吸収するように心がけています。
前述のように人は様々です。自分にあった方法、負担のかからない方法で自然にふれあうことが一番だと思います。自然と遊びましょう。