くじ引きの原理


$当たりくじm本を含むn本のくじをk人が1本ずつ引く。どのくじを引くことも同様に確から$
しいとし、引いたくじは元に戻さない。
$当たりくじを引く確率は、順番によらず \ \cfrac{m}{n} \ で一定である。$
これを「くじ引きの原理」といいます。


これを証明しましょう。

$k番目の人が当たりくじを引く事象をA_kとします。$
$(1)\ 1番目の人が当たりくじを引く確率は P(A_1)=\cfrac{m}{n}  です。$

$(2)\ 2番目の人が当たりくじを引く事象 \ A_2 \ は$
$\quad $ (i) $1番目の人が当たりくじを引き、次に2番目の人が当たりくじを引く事象 \hspace{2em} A_1 \cap A_2$
$\quad $ (ii) $1番目の人がはずれくじを引き、次に2番目の人が当たりくじを引く事象 \hspace{2em} \overline{A_1} \cap A_2$
の和事象で、(i)と(ii)は排反だから和の法則より
\begin{eqnarray*} P(A_2)&=&P(A_1 \cap A_2)+ P(\overline{A_1} \cap A_2)\\ &=&\cfrac{m}{n} \times \cfrac{m-1}{n-1}+\cfrac{n-m}{n} \times \cfrac{m}{n-1}\\ &=&\cfrac{m\{(m-1)+(n-m)\}}{n(n-1)}\\ &=&\cfrac{m(n-1)}{n(n-1)}\\ &=&\cfrac{m}{n}\\ \end{eqnarray*}
$なお、2番目の等式で、条件つき確率を用いています。$

ここまでは、教科書でも例題でよく取り上げられていますが、数Aでは分数式の計算はありま
$せんのでm,nに具体的な数値を与えて計算しています。$

$(3)\ 3番目の人が当たりくじを引く事象 \ A_3 \ は$
$\quad $ (i) $A_1 \cap A_2 \cap A_3$
$\quad $ (ii) $\overline{A_1} \cap A_2 \cap A_3$
$\quad $(iii) $A_1 \cap \overline{A_2} \cap A_3$
$\quad $ (iv) $\overline{A_1} \cap \overline{A_2} \cap A_3$
の和事象で、(i)(ii)(iii)(iv)は互いに排反ですから

$P(A_3)$
$=P(A_1 \cap A_2 \cap A_3)+ P(\overline{A_1} \cap A_2 \cap A_3)+ P(A_1 \cap \overline{A_2} \cap A_3)+P(\overline{A_1} \cap \overline{A_2} \cap A_3)$
$=\cfrac{m}{n} \times \cfrac{m-1}{n-1} \times \cfrac{m-2}{n-2}+ \cfrac{n-m}{n} \times \cfrac{m}{n-1} \times \cfrac{m-1}{n-2}+ \cfrac{m}{n} \times \cfrac{n-m}{n-1} \times \cfrac{m-1}{n-2}$
$\hspace{3em} + \cfrac{n-m}{n} \times \cfrac{n-m-1}{n-1} \times \cfrac{m}{n-2}$
$=\cfrac{m}{n(n-1)(n-2)}[(m-1)\{(m-2)+(n-m)\}+(n-m)\{(m-1)+(n-m-1)\}]$
$=\cfrac{m}{n(n-1)(n-2)}\{(m-1)(n-2)+(n-m)(n-2)\}$
$=\cfrac{m(n-2)}{n(n-1)(n-2)}\{(m-1)+(n-m)\}$
$=\cfrac{m}{n(n-1)}(n-1)$
$=\cfrac{m}{n}$

$となって、やはり \ \cfrac{m}{n} \ となりました。$

$続いて4番目の人が当たる確率を計算するのでしょうが、大変であることはわかります。$
$まして5番目の人が当たる確率を計算することなどやる気になりません。$
ではどうするか。発想の転換が必要です。

$n本のくじに番号をつけ$
$\hspace{2em} 1,2, \cdots , m  は「当たり」$
$\hspace{2em} m+1,m+2, \cdots , n  は「はずれ」$
とします。

$例えば3人がくじを引く試行において$
$1番目、2番目、3番目の人が引いたくじの番号を順序対にして(n_1,n_2,n_3)と表します。$
$全事象は _nP_3 \ 通りあります。$

$このうち、3番目の人が当たるのは \ n_3 \ が1,2,\cdots ,m のいずれかですからm通りあります。$
$1番目、2番目の人が引くくじの番号は \ n_3 \ 以外ですから、(n-1)個から2個とる順列になります。$

$したがって 3番目の人が当たるのは  _{n-1}P_2 \times m \ 通りです。$

$\therefore P(A_3)=\cfrac{_{n-1}P_2 \times m}{_nP_3}=\cfrac{(n-1)(n-2)m}{n(n-1)(n-2)}=\cfrac{m}{n}$

となって、前に求めた値に一致することがわかりました。
この方法の優れているのは、すぐに一般化できることです。

$1番目、2番目、\cdots ,k番目の人が引いたくじの番号は(n_1,n_2,\cdots ,n_k)と表せます。$
$このような順序対全部が全事象になりますので全部で _nP_k 通りあります。$

$このうち、k番目の人が当たるのは \ n_k \ が1,2,\cdots ,m のいずれかですからm通りあります。$
$1番目、2番目,\cdots , k-1番目の人が引くくじの番号は \ n_k \ 以外ですから、(n-1)個から$
$(k-1)個とる順列になります。$

$したがって k番目の人が当たるのは _{n-1}P_{k-1} \times m 通りです。$
\begin{eqnarray*} \therefore P(A_k)&=&\cfrac{_{n-1}P_{k-1} \times m }{_nP_k}\\ &=&\cfrac{(n-1)(n-2) \cdots \{(n-1)-(k-1)+1\}m}{n(n-1) \cdots (n-k+1)}\\ &=&\cfrac{m}{n}\\ \end{eqnarray*}
$これで \ k \ によらず一定であることが示されました。$




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