コーシー列 (基本列)
$数列 \ \{a_n\}\ について、任意の \ \varepsilon > 0\ に対して、自然数 \ N\ が存在して、m > n > N \ \ であるすべての \ m.\ n \ に対して$
$|a_m-a_n| < \varepsilon \quad が成りたつとき、数列 \ \{a_n\}\ はコーシー列あるいは基本列といいます。$
$収束する数列はコーシー列であり、逆に、コーシー列は収束する。$
$(証明)$
$必要条件$
$\quad 数列 \ \{a_n\}\ が \ a\ に収束するならば任意の \ \ \varepsilon > 0 \ \ に対して$
$\quad n > N \quad ならば \quad |a_n -a | < \cfrac{\varepsilon}{2} \quad となるような正の整数 \ N\ が存在する。$
$\quad このとき明らかに \quad m > N \quad だから \quad |a_m -a | < \cfrac{\varepsilon}{2}$
$したがって$
\begin{eqnarray*} \quad & &|a_m-a_n|\\ \\ &=&|(a_m -a)+(a-a_n)|\\ \\ &<&|a_m -a|+|a-a_n|\\ \\ &<&\cfrac{\varepsilon}{2}+\cfrac{\varepsilon}{2}\\ \\ &=&\varepsilon \end{eqnarray*}
$十分条件$
$\quad 「基本列は収束する」は実数の連続性の公理の \ 1\ つです。$
$実数の連続性の公理にはいろいろなタイプがあります。そこでこれらの公理についてまとめてみました。$
$(1)\ \ コーシーの基本列$
$(2)\ \ アルキメデスの公理$
$\quad 任意の正の数 \ a\ に対して、どのような大きな数 \ M\ をとっても \quad na > M\quad となるような自然数 \ n\ が存在する。$
$(3)\ \ デデキントの切断$
$\quad 実数 \ R\ の空でない \ 2\ つの部分集合 \ A,\ B\ が \quad A \cup B=R \quad で、a \in A,\ \ b \in B \ \ の \ a,\ b\ \ について $
$\quad a < b\ \ を満たすならば順序対 \ (A,\ B) \ を \ R\ の切断という。$
$\quad このとき、A\ に最大元があるか、B に最小限があるかいずれかである。$
$(4)\ \ 上限と下限の存在$
$\quad 上に有界な集合は上限(最小上界)が存在し、下に有界な集合は下限(最大下界)が存在する。$
$(5)\ \ ワイエルシュトラスの定理$
$\quad 上に有界な単調増加数列は収束する。また、下に有界な単調減少数列も収束する。$
$(6)\ \ 区間縮小法の原理$
$\quad 閉区間の列が \ \ [a_1,\ b_1] \supset [a_2,\ b_2] \supset \cdots \supset [a_n,\ b_n] \supset \cdots を満たし$
\[\quad n \longrightarrow \infty \quad のとき \quad b_n-a_n \longrightarrow 0 \quad ならば \quad \cap_{n=1}^{\infty} [a_n,\ b_n] \ \ に含まれる実数はただ \ 1\ つである。\]
$一般的には、(4)から出発して他の公理を導くことが多いようです。$
$「基本列は収束する」は切断公理を使って証明するようですが、詳しくは専門書にあたってください。$
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