「何でも鑑定団」は何でも鑑定できるか、「何でも鑑定団」でも鑑定できないお宝
(2009年7月2日)


  私は常々妻から、それを「何でも鑑定団」に持っていって、鑑定してもらいなさいと、言われている。そして、そこで本物だと鑑定されれば信じてあげるとも言われている。妻が言うには、何でも鑑定団に出された中国の物は殆どが偽物と判定されると言っていたが、それは確かにそうだと思う。中国の骨董は実に偽物が多い世界であることは経験して知っている。私も中国で贋物を買わされたことがある。

  しかし「何でも鑑定団」で鑑定できないようなものなら、それは信用できなどと思われては、はなはだ迷惑である。「何でも鑑定団」でなら何でも鑑定は出来るのだろうか。

  「何でも鑑定団」の番組を見ていれば分かると思うが、鑑定できるのはその分野の専門家がいて初めて鑑定できるのであって、専門家がいない分野のものは鑑定していないはずである。「何でも鑑定団」と言う名前から、何でも鑑定できると誤解を与えているが、その分野の専門家がいないにもかかわらず鑑定するなど、そんな無謀なことはしていないと思う。そして日本に存在する全ての文物に対して日本に専門家がいるなんて考えられない。

  しかし流通価値なら、骨董屋のおやじでも鑑定できるかもしれない。本当の真贋は置いておいて、「こういったものは人気がないから1万円くらいでしょう」という鑑定である。実際には、「何でも鑑定団」といっても、このような流通価値だけの鑑定はさせていないだろう。専門家がいない分野の鑑定は避けていると思う。そして、日本にその分野の専門家・研究者・鑑定家がいない分野はかなりあるはずである。

もし、その筋の専門家がいたとしても、真贋がハッキリ出来ないものがあるのではないだろうか。そのような真贋の鑑定に誤りが起きそうな場合は、「何でも鑑定団」は出品させないと思う。だから、「何でも鑑定団」は何でも鑑定できるわけではないのである。

  そして私が収集したあるものについてであるが、これはその分野の専門家・研究者がいない収集品である。その物は中国新石器時代の特殊なトルコ石の象嵌のある青銅器であるが、「その物についての専門家・研究者が居ない」とことも調べた。この貴重な考古学上の遺物についての研究者は、本当に日本にも中国にも居ないのである。これらについてはそれをここで書くと長くなるので省略するが、このことは以前の日記に「斉家文化・中国にいて、考古学上の新発見をしたこと」に書いてある。

  そこで心配なのは、私が集めた日本にも中国にも研究者が居ない考古学上の貴重な遺物は、「何でも鑑定団」でも鑑定できず、当然家族にもどんなに価値があるものかも理解されず、もし私が死んでしまったら、ガラクタとして処分されてしまうかもしれないことである。そうなったらとても残念である。

  それでこれがどんなに貴重なものかを書いておいてはあるのだが、やはりわたしの書いたものでは信じてもらえないかもしれない。それには「考古学者も気が付いていない、貴重なお宝」であることを縷々説明してあるのだが、「考古学者も気が付いていない」ことか、「貴重なお宝」であることを説明するのに、一行や二行ではとても書き尽くせない。だからせっかく書いておいても、理解できるまでは家族も読んでくれないということになる。

  読んだとしても、その文章は私が書いた文章であって、その私が「考古学者も気が付いていないような貴重なお宝」だと言っているのを読むと、却ってますます大げさで眉唾物だということになるかもしれない。

もう一つの私の収集品であるアンダーソン土器については、「貴重なお宝」の中島誠之助先生のような専門家がいて、実際に2009年の2月だったかにはアンダーソン土器にかなりの値を付けておられたから、アンダーソン土器についてなら鑑定できるはずである。

  しかし、あのときの土器を中島誠之助先生は、これは仰韶(ギョウショウ)文化とか仰韶式土器といっておられたが、現在は、あの手の土器を仰韶文化のものとは言わないはずである。あの時出品された土器は、馬家窯文化半山類型に属する土器である。

  馬家窯文化の土器を仰韶文化のものと言われたのは、1921年にアンダーソン博士が河南省ので土器を発見して、それを仰韶文化の土器としたのであるが、その後に甘粛省でも大量の土器を発見し、その甘粛省の馬家窯文化の土器も、仰韶文化の系統だと考えたからかもしれない。しかし、中国の考古学の区分では仰韶文化と馬家窯文化とは別のものとされていて、2009年の2月に「何でも鑑定団」に出品されたアンダーソン土器を仰韶式土器とは言わないのである。中島誠之助先生は古陶磁器の専門家ではあるかもしれないが、中国新石器時代の土器の専門家ではないと思う。

  それはともかく、私が収集したアンダーソン土器のほうは「何でも鑑定団」でも鑑定できる範囲のものであるが、「青銅にトルコ石で象嵌された人面の佩飾」は、専門家や研究者がいないので「何でも鑑定団」でも鑑定できないと思う。