第4話

 

私は、最初、あの星が嫌いだった。当たり前だ。
今日、無事に寝る事ができるか分からない。寝たら、ちゃんと生きて
起き、新しい一日の生活が始まるか分からない。そんな恐怖におびえながら生活してきたのだから。
しかし、ポコミンと出会って、一緒に生活し、様々な危険から身を守ってもらううち、「この星でポコミンと一緒に一生を終えるのもいいかもしれない」と考えるようになった。
しかし、ポコミンとの「別れ」の日は意外と早くやってきた。

その日は、久しぶりに寝坊して、ポコミンに起こされた。
いつものようにポコミンと散歩して、即席住居に戻ると、運命の連絡が私を待ち受けていた。
それは、しばらく前の私が早く早くと待ち望んでいた、地球からの通信だった。
《連邦宇宙軍大佐 殿 至急地球に帰還せよ。数時間後に宇宙船「エンター」が貴殿のいる惑星に到着予定》
私は複雑な心境だった。地球に帰れる喜びと、ポコミンと別れなければならない寂しさの両方が混ざった心境だ。
なんだって?ポコミンを地球に連れてくればいいって?
なるほど、それはごもっともな意見だ。私も当初そう考えた。
しかし、考えてみたまえ。星に住む生物は、その星の環境にあった体つきや特徴を持っている。だから、突然宇宙空間に行き、新しい惑星に住み始めたら、生物は生きていく事はできない。長い間の進化で、新しい惑星に適応する事はできるがね。

宇宙船はすぐにやってきた。乗っていたのは、私の子供時代からの友人だった。
私がポコミンに、「私は地球に帰らなければならない」と伝えると、しばらく寂しそうにしていたが、やがてわかったというようにウインクした。
「そろそろ出発だ」
友人が言った。いよいよお別れの時だ。
その時、ポコミンが≪贈り物≫をくれた。この星の植物だった。
私はそれを大事そうに受け取り、迎えの宇宙船に乗り込んだ。

その植物は、やはり地球の環境になじめなかった。枯れてしまったよ。
そうだ、ポコミンの写真を見せていなかった。これだよ。
その後ろにある七色の花を、私はもらった。
私の話はこれで終わりだ。みんなは、私と私の友人、「ポコミン」をいつまでも忘れないでいてくれたまえ。

 

第3話へ

小説ページへ

解説へ

ホームへ