「ポコミン」

 

作・カズキ

 

 

第1話

 

−私の永遠の友達・ポコミンに捧げる−

数年前まで私は、現役最年長の宇宙飛行士だった。
一年に2.3回は宇宙を飛びまわり、いろいろな星の調査を行なった。
《あの飛行》も、そんな当たり前の飛行の一つに
過ぎないのかもしれない。
しかし、現役を引退した今、「どの飛行が一番心に残っているか」
と聞かれたら、
「《あの飛行》が一番残っています」
と答え、今から君たちに話す長い物語を話しはじめるだろう。
あの思い出の星「チャレンジャー」、
そして永遠の友達であるポコミンの事を・・・。

≪あの飛行≫は、私の一生の不覚といえるミスが原因だった。
連邦宇宙局は、「エンジン異常による不時着」として報告した。
だが、私のミスだった。
だからこそ、君たちに初めてこの話を話すのだ。

≪あの飛行≫が行われたのは2050年、私が35だった時だと思う。
そのときの目的はワープをして、100光年はなれた星の調査をすることだった。
世界で初めてワープを行なうとして、世界各国のマスコミも取り上げた。
私は≪世界で初めてワープ飛行をする≫という名誉が舞い込んできた時、2つ返事でそれを受けた。
以来、2年間の訓練を受け、テストをして、ついに宇宙船打ち上げの時を迎えた。
君たちはまだ中学生だから、打ち上げは覚えていないだろうが、君たちのお父さんお母さんなら覚えていらっしゃると思う。
なにしろ全世界で放送されたのだ。
打ち上げは大成功だった。すぐに大気圏を脱出、宇宙に出る。
まったく、宇宙というものは何度見ても美しいものだ。
今でも、宇宙の旅を夢見ることがあるよ。
しかし今回の目的はワープだ。宇宙に見とれる暇もなく、すぐに準備にかかる。
ここで何を間違えたのか最近まで分からなかった。
「エンジン故障」というのは嘘ではなく、最近までそう信じていたのだ。
エンジンが暴発し、そのまま超空間へ。
そして、出た先は・・・。
目的の星は写真で見たから分かっていた。
目の前に広がっているその星は、どう見ても目的の星ではなかった。
しかし、通信が使えない。
とりあえず、この星に着陸するしかなかった。
着陸すると、美しい大自然が広がっていた・・・。

 

第2話

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