デジカメで撮った写真をアルバムにタダ貼りつけて
いませんか?
手作り製本で自分だけの「写真集」を 作ってみませ
んか。

 

 はじめに
   製本用具
 製本材料
 製本の手順

▲ 製本する資料(中身)を作る

▲ 製本する資料(中身)を綴じる
・穴明け
・綴じる
・背固め

▲ 表紙を作る
・装丁布(紙)
・芯ボール紙
・装丁布に芯ボール紙を貼る

▲ 中身を表紙に取り付ける
・糊付け
・風入れ
・圧着

   ▲ 仕上げ
   ・ネーム入れ 

はじめに

以前は旅行から帰ると撮影済みのフィルムを写真屋さんに持参して現像してもらい写真の出来、不出来に一喜一憂していました。そして、写真の現像・焼き増し代もかなりの負担になりました。

2年前にデジカメを購入してから、旅先での写真はデジカメ一辺倒になりました。少し容量の大きな記憶メディア(写真のフィルムの役目)を使って写真を撮り、その場で撮った写真(画像)を再現し、気に入らない写真は削除し、新たな写真を撮るスペースをつくる。思う存分写真が撮れる。なんとも便利なカメラが出来たものです。

旅から戻って、撮影した写真をパソコンに取り入れ、必要であれば修正、編集して市販のアルバムに貼り付けていました。最近ではパソコンを利用して写真に文章を入れた「写真集」形式に編集し、手作りで製本して写真集を作っています。世界中どこにも無い、唯一自分だけのオリジナル写真集になっています。

大手の書店に行っても製本に関する本はあまり見かけません。製本用の道具を扱っている店もほとんどありません。そこで、「手作り製本術」の普及に努力されておられる岩崎 博先生から教えを頂いた中に、自分史、写真集、資料本、文集などで利用範囲が広い製本の方法があります。小生の旅行記を製本しながらこの方法をご紹介します。是非、お試しあれ。

 

製本用具

製本を専門的に始めるとなるといろいろな道具が必要で、一式そろえるとかなりの費用になります。趣味の範囲で、少量を製本するのであれば代用品で充分。小生もこれら代用品で製本し、なんら不自由を感じていません。


でも、どうしても必要な道具がある

                              

作業台

厚さ1p、巾40p、長さ100p程度の板

木の定木

厚さ4p、巾4p、長さ40p程度

定規

一般市販の文房具

カッターナイフ

大きめで出来るだけフラットなもの

木槌

木工工作用のもの

ブラシ、刷毛

大・中・小の3本

プレス用厚板

完成製本をプレスし、安定させる。厚さ1.5p、巾30p、長さ30p程度

プレス用金具

市販のアルミCクランプ3インチ、4個

ボンド・大和糊

木工用ボンド、液状アラビアヤマト糊

糊保存容器

調合した糊の保存用に2個、蓋付広口容器(食品等で使用済みのもの)

タオル

家庭のある使用したもの

製本用目打*

大・中・小の3種があるが、小のみで事足りる

    *:製本用目打は製本専門店または渋谷東急ハンズ製本コーナーで求める。
     その他の道具は日曜大工コーナーなどで入手

製本材料(一冊分)

身(資料) 資料、論文、自分史、写真集など製本する中身
布クロス1枚 布に紙を裏打ちしたもの
見返し2枚 表・裏用に2枚
表紙ボール 表・裏用に2枚
背芯ボール 1枚
寒冷紗 資料を綴じた後の背固め用
花布 天地2枚
クラフト紙 資料を綴じた後の背固め用
資料を綴じる
平たい紐、本の対角線の長さ

                                            

                       右から布クロス,見返し,厚紙ボード,花布、背固め用クロス紙,寒冷紗,栞,背ボード

製本の手順:A4サイズの中味(資料)


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▲ 製本する資料を作る
  
文章に写真や図表などを入れた報告書、自分史、旅行記などをA4サイズの用紙に印刷した
  資料を用意する


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▲ 製本する資料(中身)を綴じる

穴明けの位置



 1)  中味をキチンとそろえ(小口をそろえるという)、背にボンドを塗り、ずれないように固定

 2)  ボンドが乾燥し、背が固定されたら、背から3−5ミリの線に天地(ページの上下)に30ミリ
     を残し、等間隔に穴あけ用に印をつける

穴あけ


 1) 2枚のプレス用の厚板をずらして中味を挟み、 ずれないようにしっかり閉め具で固定

 2) 目打ちで垂直に作業台に突き刺さるまでしっかり穴を開ける

itotoji.jpg (11159 バイト) 糸綴じ


    太めの木綿糸を裁縫針に通し二本糸で番号順にしっかり綴じる.

mikaeshiB.jpg (11286 バイト)
見返し(本の中表紙)貼り

 

 


 1)  紙の裏表を確認する

 2)  二つ折りにして中味より少し大きめの用紙を二枚一組用意

 3)  折目に1p幅でボンドをつけ中味の上下に貼り付け、中味からはみ出た見返しはカット

 
4) 
見返しの糊付を良くする為にプレスなどで密着させる

segatame.jpg (21202 バイト) 背固め



 1)  中味の背にボンドをぬる

 2)  栞、花布、寒冷紗、クラフト紙に順にボンドで貼る
              註:背のみにボンド付け、見返し側には糊付けしない!

 3)  背を固めた本はしっかり固定して乾かす

 

 材料のヒント!
 あわせ糊

大和糊を容器に入れ、乳白色になるまで攪拌し、ボンドを20%混ぜ、さらに良く攪拌する。徐々に水を加え刷毛先が滑らかに動くようになるまで延ばす

 見返し 

文房具店、DIY店などで市販されているやや厚手(140−160グラム)の用紙

 寒冷紗 

(中味の厚さ+4p x 中味の縦の長さ- 2p)の長方形にする。
スーパーなどの生地売り場で求める。目の粗い布でも代用できる

 花布   

中味の厚さの幅。家庭にある古布に丸い包装用の紐を中に挟み、糊付け

 栞    

本の対角線の長さの平面な紐。包装などに使用してあった紐を代用

 クラフト紙 

(中味の厚さ+3p x 中味の縦の長さ- 4p)の長方形の紙
家庭内にある障子紙でも良い


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表紙を作る

covering1.jpg (15791 バイト) hyoushi1.jpg (15327 バイト) 装丁布(紙)

 
1) 布地に和紙などで裏貼した「布クロス」が市販されている。家庭にある端布や生地屋で販売して
   いる薄手の生地を使用することが出来る 

 2)  楮(こうぞ)紙などを裏貼りして表紙として使用する。布のみでは接着剤が布表面に滲みだし
      使えない。あわせ糊(ボンド70%、大和糊30%を水を加え刷毛塗りが出来る程度)は固めにする

 3) 四隅をカットする

芯ボード
 1) 厚紙ボードを使用する。包装用の箱などに使用していた厚紙ボード(ダンボールは不可)を厚さ
       3ミリ程度に張り合わせて作る
..     A : 本の幅
       B : 本の天地(上下)+6ミリ
       C : 本の厚さ+表紙2枚

 2) 装丁布裏に芯ボードを貼るために位置決めをする
        註:鉛筆などで位置きめの線を引き、ボードを線に合わせて正確に貼る。この作業で本の仕上
            がりが違ってくる
 
 3) 装丁布にあわせ糊(大和糊、80%+ボンド20%+水:刷毛が滑らかに動く程度の硬さ)を一面
       に塗り、芯ボードを貼りあわせる

 4) 各縁を折り返し、装丁布表面を布で充分こすり、装丁布とボードを密着させる

 5) プレス用板などを重しにして充分乾燥させる





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▲  中身を表紙に取り付ける

covering3.jpg (15495 バイト) covering4.jpg (15842 バイト) 糊付け


 
 1) 表紙と芯ボードとの貼り付けが完了し、糊が乾燥してから、中味を表紙に挟み中味の各辺と
     表紙の間隔が均一になっているか確認する

 2) 中味の背と表紙の背を合わせる

 3) 台の上でずれないように表紙を開き、背ボードの両側の8ミリの溝のみにボンドを塗る

 4) 見返しの間に広告紙などを挟み、寒冷紗、クラフト紙の内外に合わせ糊を塗り、見返し全体に
     均一にむらなく塗る

covering6.jpg (13190 バイト) 中味と表紙の接着


 1) 表紙を立て、中味の背と表紙の背ボードの内側が密着する様に表紙、中味を押さえ、表紙を
     
中味の方向に静かに伏せる

 2) 表紙を静かに開き、中味の三方のチリ(間)が均一になっていることを確かめる

 3) 確認後再度表紙を伏せ、強く抑える

 4) 反対側の表紙も同様にする

covering5.jpg (14820 バイト) hyoushi2.jpg (17919 バイト) 風入れ


 1) 本の厚み程度の雑誌などを表紙の下に当てる

 2) 表紙を開き、見返しを表紙裏に密着させ、しわを延ばし、乾いた布で内側(のど) から外側に
     充分こする。
この作業が不十分であると表紙の外返りが起きる

hyoushi3.jpg (22909 バイト) プレス


 1) 中味と表紙の接着後、本を台の上に置き、本を開閉する背の部分を指先でこすり溝を作る

 2) プレス板に本を挟み数時間圧着すると本が安定する


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仕上げ

shiage.jpg (18815 バイト)

ネーム入れ


ワープロなどで作成・印刷した好みのデザインのラベルを表紙、背に貼って完成




 

註:小生が製本している手法は岩崎 博先生の教えがベースです。また上記製本の各 
      ステップの説明は岩崎 博著「手作り製本術」解説部分を一部引用させていただ
      いております