呪い?(2005年9月1日)

  河南省三門峡の知人宅にて春節を過ごすために集まったときのことです。中国にいる間に一度はやっておかねばならない経験・・・そう心に決めていたのが
自らの手による鶏の〆です。日本ではなかなかできることではありませんし、留学先の宿舎学校でもやはりやりにくいのが実情でした。三門峡の知人宅ならば・・・・そう思っての計画でした。しかし、この計画もいざ実行に移すと成るとなかなか足が前に出ません。鶏を市場で買い込むまでは良かったんですがね(苦笑)。さて、ぶら下げた鶏の首にナイフを押しあて                     

「ごめんよ」

と声をかけると一息にナイフを押し込み、そして引ききった。泣き叫ぶ鶏は血を流し暴れます。でもなかなか死にません、仕方なく生暖かいその首をへし折りにかかります。しかしご存知の通り鶏の首は柔らかく半分に折り曲げても折れる気配はありませんし、鶏が苦しむばかり。意を決して私が行った事は首の切断!早く楽にさせてやらねば・・・と思いましたがさすがに手先が鈍ります。おまけにナイフの切れ味があまりに悪く、鋸を引くようにギコギコ引きました。鶏は最後の力を振り絞って暴れまくります。さすがに私も                         

「早く死んでくれよ〜」

と声を上げました。友人は私が泣き出すのではないかと思ったそうです。実際涙が出掛かりましたが・・・。鶏は首が切断されると全身が毛羽立って、そして事切れました。さすがに生首まで食べる気になれない私は近くの植え込み首を埋めて、                                                        

怨まいでくれよ〜と手を合わせたのでした。

 話は続きます。普通しめた鶏は熱湯をかけるか蒸すかして後、羽毛をむしり取ります。しかし当時その方法をよく知らなかった私は生の羽毛を丁寧にむしる事になったのです。細かい羽毛は少し残ってしまったが何とか丸坊主にし、まさに言葉どおり
鳥肌立った鶏は内臓を取り出して塩コショウをまぶしてオイルを塗り蒸し器の中へ。取り出した内臓は醤油バターで炒めて私の胃袋に収まったのでした(^o^)b。内臓を取り出すときに見た鶏の胃袋の中には出荷される前に食べたであろうトウモロコシがめい一杯詰まっていたのが印象的だった。やはり少しでも目方を増やしておこうという配慮なのだろうか・・・?さて、蒸しあがった鶏くんはてかてか輝いていて実に美味そうだったのだ。美味しく食べてあげよう!自ら手を下した私の食材に対する感謝の気持ちとは裏腹に友人達は

「呪いは全て嘉飛に・・・」

とおちょくってきます。そして・・・メンバー5人で食べ始めて暫くして奇跡(呪い?)は起こったのです。皆がみなそれぞれ自由に鶏をむしってその肉を食べていました。そこには誰がどこをどう食べるなんて決っていませんでした。しかし・・・、私が取った肉をかじったところ口の中に異物を感じました。

「なんだこれ?石か?」


と口から出してみるとそれは
一粒のトウモロコシ・・・、記憶が蘇えります、その記憶に残されていた映像には、鶏の胃袋に詰まったたくさんのトウモロコシが・・・。

「うおっ!なんでこんなところにトウモロコシが?胃袋の中のものは取ったではないか?」


皆の視線が私に注がれます。そして・・・

「呪いだ!、チキン・ジョージ博士の呪いだ!」(実話です)

と騒ぎ始めたのでした。あまりにも偶然が重なりすぎたこの出来事は食事の会話が弾むネタになったのは言うまでもありません。しかし・・・、未だになぜ自分で適当にむしって食べた肉だけにトウモロコシが一粒入っていたのかは謎のままです。皆さんも鶏を〆て食べるときはトウモロコシに気をつけてください。

楳図かずお先生のオフィシャルホームページ
http://umezz.com/jp/


老虎の商売(2005年9月13日)


珍味トラ肉:ロバ肉に尿で香り付け偽る 中国で摘発

 中国東北部の黒竜江省にあるトラ保護区近くで、トラ肉料理と称してロバ肉を出していたレストランがこのほど当局に摘発された。広告では「からしいため」が800元(約1万円)。珍味がうたい文句で、実際に肉はトラの尿に漬け込んでおり、香りだけは本物だった。中国はトラの売買を禁止しているが、ロバ肉料理は合法。店主が何の罪で摘発されたのかは不明だ。(AP共同)

毎日新聞 2005年9月12日 16時37分
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/wadai/news/20050912k0000e030083000c.html



いや〜すごい偽造ぶりですね。尿に漬けていた肉を売るとは・・・(笑)。韓国にはホンタクというエイを糞に漬け込んだ食べ方があるという話ですが、どちらもすごいですね。特に臭いがきつそうです。あんまり食べたいとは思いませんが・・・(-_-;)。なんにしろ久しぶりに目に付く笑えたニュースでした。

中国では昔から虎の肉を食べていたようですし、漢方薬としても虎の肉と骨は重宝されていたようです。私が中国で購入したことがある虎骨酒や膏薬にも虎の骨が使われていると書いてありました。現在はワシントン条約に違反することからこうした商品の日本への持ち込みは禁止されています。しかし、虎骨酒は名前を護骨酒に変え(どちらも発音は hu gu jiu です)、膏薬は豹の骨に変わったようです。まぁ、心配なのは名前の変化よりも中身の材料が本当に虎や豹なのか・・・ということです。実際は尿に漬け込んだロバの骨だった・・・なんて洒落にもなりません。

さて、中国ではそれこそ十年ぐらい前までは本当に虎の肉は食べることができたらしいです。南方出身の知人は直に虎の裁かれるのを見てから食べたと言っておりました。91年に旅行で西安を訪れていたときはユキヒョウの毛皮が売っていましたし、92年から留学生として滞在した北京の王府井の長安街入り口で西方から来た行商が虎の手やらレイヨウの角とか随分怪しいものを売っていました。たまらず私は友人と共に虎の爪を買い込み宿舎に持ち帰って加工してペンダントを作ったのを覚えています。虎の爪の中にはぎっしりと中身が詰まっていまして、それがまた本当にタイガーバームの臭いがするんです。あまりに臭いので、中身は丁寧にこそぎ取り、洗剤でよく洗ってその臭いを取りました。我ながらお気に入りのペンダントだったのですが、もともと首の周りに何かがあるのが嫌いな私は大して重宝することも無く現在は行方不明になってしまいました。残念です・・・98年くらいまではあった気がするんですがね。

さて、当時のような虎の手を売るような行商はその後北京からは姿を消してしまいました。しかし、地方では見ることができました。96年の秋、五丈原を訪れたときに通った市場で見ました。市場の人が虎の手先を買い込んでいましたし、鋸で切り取った一部を酒に漬け込んでいました。鋸を引いて零れ落ちた虎の粉末も丁寧にすくっていたのが印象でした。つい最近では私が帰国した01年でしょうか・・・。蘭州に立ち寄った私がバス停の側で見かけたおばさんです。売っている物はやはり以前に見た行商のものと大して変わりないものでしたが、記念にしたくて写真を撮ろうとしたら思いっきり断られてしまいました。目くじら立てて追い払われました。おばさんの売っているものを見るのではなく追い払われる私を見る人が周りに集まるくらいの勢いでした。おばさんも自分が売っている物が良くない物ということはわかっているような態度でしたが・・・。結果写真を撮ることができないままおばさんは別の場所へ移動してしまいました。違法行為なので勧めることはできませんが、内陸に行けばまだこうした商品を売る行商は見ることができるかもしれません。商品は買わずにこっそり写真を撮って記念にしましょう。