アメリカ式捕鯨帆船の推移



アメリカ式の捕鯨船は、はじめ小さいホ゛ートやヨットのような船でした。 
砂浜と遠浅になっているナンタケット島を基地にしたため船は小型でした。
その後、基地がニューべットフォードなどの水深が深い港に移ったため、大型化が可能になりました。
新しいクジラ漁場求めて世界中の海に進出し、船上搾油釜を積み長期航海が
出来るようになってさらに大型化され、帆船の形も徐々に変化しました。
かっこいい帆船が世界中のクジラを捕って、石油が無い時代は一大製油業に成長しました。
ロンドン、パリの夜に光をもたらしたのはクジラだったのです。
 
                                                                        
帆船種類マスト数帆の形船型
スループsloopマスト数:1  帆の形:縦帆     ヨット型 スクーナーの1本マスト形
スクーナーschoonerマスト数:2帆の形:縦帆2本マスト小型船
ブリックbrig マスト数:2〜3帆の形:横帆2本マスト横帆
バークbark  マスト数:3帆の形:横・縦帆日本丸型前部マスト2本横帆 最後尾マスト縦帆
シップship マスト数:3 帆の形:横帆全マスト横帆
                          

     <帆船の形の移り変わり>

スループ型帆船 マスト数:1    帆の形:縦帆   ヨット型 スクーナーの1本マスト形

1698年〜1712年  スループ型 20d前後6人乗り(マッコウクジラを初めて捕獲
1715年・1720年代 スループ型 30トン〜40トン級、12・13人乗り、6ヶ月航海 ホ゛ート2隻
1732年      スループ型40〜50d・デービス海峡迄12・13人乗り、長さ12〜15m

スクナー型帆船 マスト数:2   帆の形:縦帆  2本マスト小型船

1730年代   スクーナー型40〜50d
1740年代   スクーナー型50・60〜70d

ブリック型帆船 マスト数:2〜3  帆の形:横・縦帆  2本マスト横・縦帆

1760年代・1770年代  ブリック型 100〜120d12〜13人乗り

バーク型帆船 マスト数:3   帆の形:横・縦帆 日本丸型前部マスト2本横帆 最後尾マスト縦帆

1775年    バーク型160d級
1791年    バーク型240d  12〜17人乗
1810年代   バーク型300d
1820年代   バーク型300〜500d、30〜40人乗り、ボート4〜5隻

MYSTC SEAPORTのCHARLES W. MORGAN号はバーク型です。

シップ型帆船 マスト数:3   帆の形:横帆 全マスト横帆

1775年    シップ型160d級
1791年    シップ型240d・航海の長期化、17人乗り、ホ゛ート3隻
1810年代   ?
1820年代   シップ型300〜500d、30〜40人、ボート4〜5隻 
※バーク型とシップ型は同年代に造られている。最後尾マストの帆が違うだけである。
 
資料:Whales,Whaling and Whalecraft by Paul Giambarba

※捕鯨船のマスト数は3本まで、商戦・軍艦は4-5本マスト船がある。
縦帆:船首船尾の線方向に帆を張るもの
横帆:船首船尾の線にクロスした方向に張る帆

搾油釜が一般化したのはケープホ−ンを越えて太平洋に入った頃からといわれている。
帆船に搾油釜を設置し操業終了後取り壊したとの記録が見られます。
「1762年頃・搾油釜搭載との記録があり、また1763年頃・陸の搾油小屋の絵画が残されています」。
この頃は陸上と船上の両方で搾油されていたようです。

捕鯨帆船関連項目変化と推移
      
関連項目内容と推移
船型・造船技術: ホ゛ート⇒ ヨット・スループ⇒ スクーナー⇒ ブリック⇒ バーク⇒ シップ
船の大きさ: 20d⇒  30d⇒  40d⇒  50d⇒ 100d⇒ 300d ⇒500d 
基地・処理場の地形・水深・喫水: 浅瀬⇒ 深場 風波避けの良港
基地の移動・植民地拡大: ナンタケット⇒ ニューベットフォード・フェアへブン⇒ ロングアイランド・ ニューポート
⇒太平洋側 ⇒ ハワイ
捕鯨技術・技術移転: インディアン⇒(バスク人)⇒ 英人・オランダ人⇒ 入植者同士
乗組員数: 6人 12人 17人 30人 40人
人種: 米人・インディアン⇒黒人⇒ホ゜ルトカ゛ル人・欧米人のビーチコウマ・欧州の新移民
(若者・放浪者・ならず者・酒のみ・ぐうたら・犯罪者・脱獄囚・農場からの逃げ出し者etc)
積載ボート数: 2隻⇒3隻⇒ 5隻⇒ 6隻
航海日数: 日々⇒ 数日⇒ 数十日⇒ 数ヶ月⇒ 年⇒ 数年 ⇒ 4年半
解体と搾油の場所: (陸)⇒(船⇒陸)⇒船陸併用(船)
海岸⇒ 船でクジラを海岸に持ち帰り解体・搾油⇒ 船で解体・皮のみ持ち帰り⇒
皮を樽詰め溜めて持ち帰る⇒舷側解体・船内処理
漁場: 資源枯渇⇒漁場変化  海岸⇒沿岸⇒外洋⇒遠海・遠洋
対象鯨変化: セミクジラ⇒マッコウクジラ⇒セミクジラ⇒ホッキョククジラ
捕鯨技術: 銛⇒ 改良銛⇒ 中砲⇒ ボンブランス⇒ 捕鯨銃 ⇒グリーナー砲
銛の爪数。爪の形。爪の返しetc
代替品の発見・発明: 植物油 石油発見 ファッションの変化
捕鯨への影響: 南北戦争1861−65年 独立戦争(英米戦争) 外国の捕鯨船 略奪 
石油 ゴールドラッシュ 繊維工業 生産競合・価格(鯨油)