国立故宮博物院にある銅牌飾は斉家文化のものだった
佐倉市 本間崇義

 台湾の国立故宮博物院に収蔵されているトルコ石象嵌の銅牌飾は斉家文化のものだった。このことは斉家文化にトルコ石象嵌の銅牌飾があるという証拠になる。国立故宮博物院に銅牌飾があることを論文で紹介したのは台湾の黃翠梅博士であり、その論文「功能與源流:二里頭文化鑲綠松石銅牌飾研究」(故宮學術季刊 第三十三卷第一期)の中の図の④がそれである。この銅牌飾は二里頭文化ものものとして紹介されていているが、斉家文化ものだった。


④の銅牌飾については上の論文中に写真もあり、それには国立故宮博物院収蔵と書かれる。


 一方同じ時期に書かれた、台湾の黃銘崇氏の論文「 邁向重器時代──鑄銅技術的輸入 與中國青銅技術的形成 黃銘崇」(民國一○三年、西暦では2014年)には、これと全く同じ銅牌飾が載っていて、甘粛省の天水麦積山から出土したこと示す「傳甘粛天水麦積山」のラベルがある。甘粛天水麦積山は斉家文化地帯である。


 つまり黃翠梅博士の論文に載っている銅牌飾と、黄銘崇博士の論文に載っている銅牌飾とは全く同じもので、国立故宮博物院に収蔵されている銅牌飾は、斉家文化地帯の甘粛省の天水麦積山から出土したとのラベルがある。甘粛天水麦積山は斉家文化地帯である。だから国立故宮博物院のものは斉家文化のものである。
 黃翠梅博士の論文の国立故宮博物院
にある銅牌飾
黃銘崇博士の
論文にある銅牌飾 

下は黄銘崇博士の論文に載っている17個の銅牌飾。上の列の右から二つ目が
「傳甘天水麦積山」のラベルがある銅牌飾。


 国立故宮博物院の銅牌飾は、黄翠梅博士によれば、2013年に台湾の国立故宮博物院に新しく収蔵されたもので、博士が2014年に便宜をはかって見せてもらったものだと書かれている。論文になったのは2015年の秋である。このものは考古学界に知られるている銅牌飾では、一番新しいものでようやく考古学界の日の目を見た銅牌飾と言える。

 黃翠梅博士の論文の中には、天水博物館にある銅牌飾も載っている。この銅牌飾も二里頭文化のものとしているが、天水博物館の展示には、斉家文化のものとの表示がある。黃翠梅博士の論文にある銅牌飾(故宮博物院収蔵)も天水、同じ論文の図の中の天水博物館の銅牌飾も天水で、天水は斉家文化地帯であり、この二っつは斉家文化地帯から出土したもである。下は黃翠梅博士の論文の中の天水博物館のもの。



頭部上下分離型紋様は斉家文化もの

 国立故宮博物院の銅牌飾は下部に動物の頭部があり、その上部に頭部と離れて凹型に変化した角がのっている。この頭部が上下に分離した紋様を、頭部上下分離型紋様と言うものとすると。

 この頭部上下分離型紋様は黄銘崇博士の論文にも三個も載っている。上にある黄銘崇博士の17個の銅牌飾の写真の内の、上の列の右から1番目、2番目、4番目のものも同じ紋様である。またこの紋様は
王青博士の論文「紐約新見兩件镶嵌銅牌飾辯僞」にも、二個載っている。但しこのうちの一個(下の右のもの)は、黄銘崇博士の論文に載っているもの(上にある黄銘崇博士の17個の銅牌飾の上の列の右から一つ目)と全く同じものである。


 この頭部上下分離型紋様は上海博物館の銅牌飾を含めると5個確認できる。このうち台湾の国立故宮博物院のものは、「傳甘粛天水麦積山」によって斉家文化地帯出土のものだと確認できる。また上海博物館のものも斉家文化地帯出土との収蔵記録がある。このことから下に載せた他の三個も斉家文化ものものと考えられる。動物の頭部と角の部分が分離した紋様は斉家文化のものである。
黄銘崇博士の論文に
ある頭部上下分離型紋様のうちの一個
黄銘崇博士の論文に
ある頭部上下分離型紋様のうちの一個
国立故宮博物院に収蔵されているもの黄銘崇博士の論文にあるものと同じもの  上海博物館の銅牌飾 王青博士の論文のニューヨークで見たものだとする二個のうちの一つ


「頭部上下分離型紋様」の銅牌飾は日本にもあったらしい

 頭部上下分離型紋様の銅牌飾は日本にも存在していたらしい。台湾の圓国際芸術公司の2024年春季(3月3日)のオークションに下の左のものが出品されている。日本の酒井家の旧蔵品だという。ネットの画像検索で見つけたものである。下は酒井家旧蔵のものとされ銅牌飾。


「頭部上下分離型」の銅牌飾はネット上でも見つかる

 頭部上下分離型紋様の銅牌飾はネットの画像検索でもたくさん見つかる。考古学者はこれらの銅牌飾も研究対象にすべきある。しかし残念なことにこれらの出土地は明らかではない。多くは国外に持ち出されてしまっている。運がいいものは海外の博物館収蔵されて日の目を見ることになる。日本のMIHO MUSEUMにも二里頭文化の銅牌飾が収蔵されている。下はネットで見つけ頭部上下分離型の銅牌飾。これらは斉家文化ものと考えられる。

以上