潜水艦
潜水艦
潜航能力
潜水艦は水上艦と違って上下方向の移動が可能です。その移動は艦の重量によるものと、潜蛇によるのものと2つがあります。艦の重量はバラストタンクというタンクの中の水の量によって調節されます。通常はある一定の量の水が入っており、艦と水の重量比が1:1に釣り合っています。この状態では、艦全体の浮力は0で浮きも沈みもしません。潜航するときは、そのタンクの中の空気を抜いてやるだけで水が入ってきて、艦の重さが重くなって沈みます。浮くときは、タンクの中に圧縮空気を送り込んでやると、タンクの中の空気が押し出されて軽くなり、浮き上がることが出来ます。潜蛇はセイルの横や艦尾などに付いている翼のようなもので、これを傾けて水の中を通してやる事によって上下方向への力が生じます。また、艦全体の姿勢を傾けることによって船体自体が潜蛇と同じような動きをします。
索敵能力
水中で敵を探知する有効な方法は、音響利用のセンサーに大きく依存します。音響センサーは大きく分けるとパッシブ(受動)型とアクティブ(能動)型がありますが、潜水艦の特徴である隠密性を維持するためにもパッシブ・ソナーの比重は大きいといえます。現代の潜水艦戦では、目標の探査はもちろん追跡から攻撃まで、できるだけパッシブ・ソナーを使用します。アクティブ・ソナーを用いる時というのは、目標攻撃のための最終測的段階で1回だけ探信音(Ping)を発進することが多いようです。パッシブ・ソナーによる探知では、目標の方位に関しては、すばやい測定が可能ですが、距離(方位と併せて位置が判明する)、進路、速度の測定には目標をロスト(見失うこと)せずに、しばらくの間探知を継続する必要があります。この間に、目標の音紋からクラスや艦種を識別することが可能です。アクティブ・ソナーによる探知では、探信音(Ping)を発信(”ピンを打つ”という)するため潜水艦の隠密性は失われ、かなり離れた敵に対しても自分の存在を暴露する(敵に探知される)事があります。しかし、ピンを1回打つことにより目標の正確な方位と距離が測定でき、2回以上のピンでは、進路、速度も正確に測定可能です。敵にすでに探知されていると思われる状況で、こちらが何らかの理由(急激な運動をした場合など)で目標をロストしてしまったときには、積極的にピンを打つことも必要でしょう。
艦首パッシブ/アクティブ・ソナー
艦首に装備されるソナーで、巨大な円筒形(あるいは球形)の表面に多数のトランスデューサー(Transducer)を配置したものです。艦首は潜水艦の中でも比較的雑音の少ない場所であり、アクティブ・ソナーを効率よく機能させることができます。
船体パッシブ・ソナー
船体に配置されたアレーハイドロホン(Array Hydrophone)によるパッシブ・ソナーで、周りが静寂な場合より低周波の(つまりより遠距離の)信号の受信が可能となります。
曳航式ソナー(パッシブ)
船体後方に長いケーブル(数百メートル)の先に取りつけたアレーハイドロホンを曳航する形式のパッシブソナーです。船体から離れた位置にハイドロホン(聴音器)があるため、船体の水流雑音やバッフルズ、艦内の雑音の影響を受けにくいことから、信号対雑音比が向上し、より遠距離の探知が可能となります。このソナーを効率的に機能させるには水中でアレーハイドロホン(百メートル弱)を乱れずに水平に配列させる必要があるため、停止状態でなく、比較的遅い速度(数ノット)で急激な運動をせずに曳航しなくてはいけません。当然、ケーブルを伸ばしている時や巻き取っている間は機能しません。曳航中のアレーハイドロホンはその重みにより自艦の深度より若干深い所に配列されるため、自艦の深度を変温層(層深)のすぐ上あたりに調整すれば、変温層の上にいながら変温層の下の敵を探知することも可能です。
* 艦首、船体、曳航式の各種パッシブ・ソナーは、ソナー・スイート(Suite)と呼ばれ、全体として統合化されたソナー・システムとなっているため、いずれかのソナーへの損傷は、パッシブ・ソナー・システム全体への探知能力への影響となります。
バッフルズ(Buffles)
船体後方の一定範囲(およそ60°程度)は、パッシブ・ソナー、アクティブ・ソナー共にその探知能力が著しく制限されます。これは、船体の発生する航跡(ウェーキ)や、プロペラから発生するキャピテーション・ノイズ、渦などの影響によって、艦首方向からくる音が遮断されるためにおこります。しかし、曳航式ソナーのアレーハイドロホンは艦尾からかなり離れていることと、自艦の深度より若干深い所に配列されるために、このバッフルズの影響を受けません。
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原子力潜水艦パーミット級 |
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原子力潜水艦スタージョン級 |
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原子力潜水艦改ロスアンジェルス級 |
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