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宵明けの青空に2 -13- 何で信じないの
突風が吹く、僕らは姿勢を崩しては、体温を晒す。
目からどうどう聞こえる風の音に冬歌の音色を感じた。
「寒い。」
「上着の隙間を駆け抜けていきますね。」
ウマエ王国で見つかった僕らはフォンフォン王国のプログラムセンターで解析されるのだ。
そしてあの巨大なタワーから放送された。
僕らの空への憧れが神様となって、みんなに降り注いだ。
これは僕らの旅が世間様の代表になった、その話と、空気砲から聞こえるやっかみの混ざった話であった。
「ルボータン王国を救ったのか。」
「ライアンさん、嫌な予感がします。」
ルボータン王国皇帝がやってきた。
「逆も分かったようだな、ライアン。」
「教会こそはルボータン王国の考えだったのか。」
「どうする。」
「自然科学の正しいあり方に、教会の奇跡などあってはならない、僕は戦う。」
「君は専門家ではない。」
「僕は科学者だ。」
「王国に間違いはない。」
「そんなの脅しだもんね。」
ライアンさんがいじけ始めた。
「そんな王様いないもんね。」
「私が王様だと言ってるんだ。」
「だから何。」
「何だその態度は。」
「王様に言ってるんだ。」
ハントがおかしくなって笑い始めた。
ジラーは苦しそうである。
「だから、どうする。」
「ルボータン王国は教会と一体だったら、カブラークス王国と戦争になったでしょうね。」
「それは困る、私は戦争をする気はなかった。」
ハントの表情がほころぶ。
ジラーは頷いている。
「教会の奇跡という態度を辞めたらどうです。」
「犯罪者たちは捕まえただろう。」
「じゃあ、なぜ教会制度を貫くのですか。」
「私が王様だ、私じゃなくていいのか。」
ハントがニヤついている、ジラーが不思議がっている。
「僕が神様なら、教会制度は終わりにします。」
「何、本当か。」
ものすごい速さでルボータン王国皇帝が食いついた。
「知らないぞ。」
側近の人たちが声を合わせて言う。
神様って僕か、いては困るのも僕。
王様にしたのも僕ですか。
どうなっているのだろう。
寒い風の中で僕らは、ひとたまりもない会話をしていた。