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喉山長閑さん、自立の世に生きる -3- 牛丼金貨
コールスローサラダ、このサラダは酸っぱくて爽やかなレモンの風味。
そしてコーンがちょっぴり甘いのだ。
これがつまみになるのだ。
これが分かるなら、お父さんだって駅地下のサラダを買ってきてよ。
サラダの取り合いをしたことはない。
お肉の取り合いをしたことはある。
「私だってお父さんのお小遣いが上がって喜ぶくらいにはしたたかなんだけどな。」
何だか中の人たちはムッとしている。
牛丼しか食べちゃいけないとしたら、お金が牛丼みたいじゃない。
「そんなことないけど。」
サラダが好きってわけじゃない。
お肉じゃなくても食べる。
「お父さん、心配だな。」
この街で、私はお父さんのサラダを奪ってしまったのだろうか。
「お父さんの馬鹿。」
牛丼屋さんで、毎日牛丼食べても、家で私が買ったサラダをおつまみに食べても、
ちっとも贅沢でもないじゃない。
そんなんだったらサラダ引いてやるんだから。白状しろ。
鳩もいない。
「くくー。」
姿勢を正していたら、何だかかわいくなってきた。
勉強もやればできるなんて思っていた。
私はできるところまでやってみたい。
駅前で募金活動を行っている人たちがいる。
愛なのかな。
「のどか、一個しかないけど一番おいしいのあげる。」
友達がやってきた。
「何それ、美味しいのかな。」
サラダ味のプレッツェルを貰ったのだった。
「一番おいしいのか、あはは。」
私の背中が折れたのだった。