『長崎大学水産学部同窓会誌「鶴友」第99号(19年7月)に
珍しい捕鯨砲のイラストがついていました。この紹介です』
同窓会は「鶴水会」と呼ばれております。これは長崎港が「鶴の港」と呼ばれていたので「鶴」+「水」となった由。
同窓会誌「鶴友」も「鶴」+「友」となっている。平成6年3月卒業の草場道輝氏が平成9年に漫画家としてデビューしており、
現在も週刊少年サンデー(小学館)に『第九の波濤』を連載中です。
内容は長崎大学水産学部を舞台にしたもので懐かしく面白い。(コミックス 1巻〜7巻 発売中)
同窓会誌「鶴友」の表紙
⇑⇑ 部分拡大:片手にのった捕鯨砲
『大型クジラの捕鯨に使われた口径90ミリの捕鯨砲』
長崎県・佐賀県は西海捕鯨地域と呼ばれ江戸時代から昭和の初期にかけて多くの鯨が捕獲され各浦は繁栄した。
当時、古式捕鯨は最大のビッグビジネスで長者番付にも鯨組主の名が残されている。第2次世界大戦終戦後の
食料難の時代には、いち早く捕鯨を再開して食料として増産しみんなの腹に入りました。
多くの人が鯨を食べた記憶があり今では苦しい時代の懐かしい思い出の一つである。
さらに鯨油を生産して南氷洋から直航して、欧州に輸出し外貨不足の折にドルを稼ぎ日本経済に貢献した。
イラストの捕鯨砲左の黒い部分が銛先(もりさき)で鯨体に命中すると体内で破裂し致命傷を与えた。
銛の返しの爪4本は鯨の体内で開いて四つ目鉤になり抜けないような仕組みになっていた。
銛先は尖ってなくて、平らで「平頭銛」と云われた。日本人の発明で海面で銛が跳ねず命中率が大幅アップ
した。
このイラストでは「ロープ」(先綱)は描かれていないが船の先端部に大きい鉄篭状のものを設置し絡まない
ように渦巻きに入れて置いた。
このロープはやや細い伸びのあるナイロンロープで銛にはワイヤーで結び付けられていた。最も大きいロープ
(元網)は運動会で綱引きに使われていたマニラロープと同じくらいの大きさ。
甲板には大きいシロナガスクジラ・ナガスクジラをロープで引き寄せる強力捕鯨ウインチがあり、捕鯨船の
床部には、大きい緩衝用のスプリングが並びロープが切断しない様にされていた。
銛の重量は60`くらいあり、ゆれる船で船首部に運ぶのは大変な作業でした。捕鯨砲の先端から銛を差し
込む「先込め方式」でした。
鯨に命中しないことを「ドンガラ」といい、ドンガラ銛を引揚げ回収し再度捕鯨砲に前から銛を差込み装備
して、次の目標鯨に向かいます。
数頭の群れがいる場合、捕獲した一頭目の鯨腹に空気銛を差込み、圧搾空気を送り風船みたいに鯨をふくらま
せて浮かべる。浮いた鯨にはラジオブイ(発信機)や旗・ライトを付けて回収しやすくしていた。
捕獲した鯨を数頭浮かべ連続して捕獲をすることもあった。その後一段落すると自船で集鯨するか
集鯨専門の「集鯨船」がいて浮いた鯨を両舷に数頭ずつ抱いて母船に運びます。
母船の後部には多くの鯨が膨れた腹を見せてつながれて解剖されるのを待っていました。オス鯨は普段
性器は折りたたまれて体内にあり見えませんが、死ぬと体外に出てきます。母船の後部には繋がれたオスの
性器が沢山並んで見事な光景した。
捕鯨船は「ハンター」そのもの、捕獲という狩りの醍醐味があり、楽しいゲーム感覚の「男の仕事場」
豪快でやりがいのある面白い仕事でした。
捕鯨砲も「ハンター精神」。これはライフル銃も同じだ。近年のアメリカの痛ましい発砲事件を
見てもいつまでも銃規制ができないアメリカの現状をなんとなく分かる気もする。
捕鯨母船・数隻の捕鯨船・冷凍船・タンカー・冷凍運搬船(仲積船)の組織的船団は見事に編成されて
多くの人が乗船し生活をした。各船体の構造・仕組みも素晴らしいものであった。
これは良き時代の捕鯨船のお話です。現在は捕鯨砲の口径、火薬量、銛先(グラナッツ)破裂、空気銛等
歩留まり向上のため改良変化が見られる。
直航して、直航して、
時代は大きく変わりました。令和元年、日本は商業捕鯨を再開した。
規模は小さいが鯨をもっと知ろうではありませんか。
鯨はアレルギーもない健康食、疲労回復にもなるバレニンを含む美味しい健康食材です。
捕鯨食文化をもっと伝えていきたいもの!!!
水産学部(すいさんがくぶ Faculty of Fisheries)とは、、
魚介類を中心とする水棲生物について増殖、漁獲、加工、流通まで水産業全体を研究する学問体系を学ぶ学部である。
北海道大学、東京水産大学(現、東京海洋大学)、長崎大学、鹿児島大学の各水産学部は国策として研究海域を分担するため設置
されたが特に制約は無い。実際、近場のフィールドを研究するメリットのほうが大きいため配置通りの研究の分散が為されている。
北海道大学・・・オホーツク海、日本海北部、北太平洋北部
東京海洋大学・・・北太平洋中部
長崎大学・・・・・・日本海南部、東シナ海、有明海
鹿児島大学・・・北太平洋南部
他に、農林水産省所管の省庁大学校として、国立研究開発法人水産研究・教育機構水産大学校(山口県下関市)がある。
(参考:出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』)
<令和元年8月22日作成 >