初期のクジラたちの血統書


【ムカシクジラ類等の血統書です】
最近はクジラの祖先はメソニクス説よりカバ説に傾いている様です。
 
■メソニクス■
種類原始陸上哺乳類・有蹄類・か節目
名前メソニクス(メソニックス)
英名mesonychids
年期暁新世
年代6500万年
大きさオオカミ〜クマくらい。約1.5b。
特長肉食性・食虫性
足がやや短く、ヒズメ(有蹄類)をもっていた
ヒズメはウシ・ブタ・ヒツジ・ラクダと同じ偶数で偶蹄類のラクダに近い種だった。
食性汽水性の動きの遅い魚や貝類などを捕らえて暮らしていた
地域古代のテーチス海(古地中海)、今のインドから地中海にかけてあった海である。
生息域餌となる生物の多い浅い海
干潟や河口の浅い水辺を膝まで水につかって歩き回っていた。
進化メソニクス科の仲間からプロトケタス科のクジラに進化した。
 
■パキスタケス■
種類ムカシクジラ亜目(原鯨亜目)プロトケタス科
名前パキスタケス
英名Pakicetus
年期始新世
年代5000万年前の地層から化石が見つかっている
この属からパキケタス・イクナスとパキケタス・アトッキの2種が知られる。
クジラとメソニックスをつなぐミッシング・リンクである。
大きさ-
耳も現在のような水中生活に適応した特殊な構造ではなかった。
四足。「水陸の生活」をしていた。
歯の形は陸棲の哺乳類と殆ど変わらない。切歯・犬歯・臼歯を持っていた。
鼻の穴も顔の前の方にあった。
地域化石の出土はパキスタンで地名から『パキケタス』と命名された。
生息域水中を泳ぎまわっていたらしいが普段はまだ岸辺にいたらしい。
 
■プロトケタス■
種類ムカシクジラ亜目(原鯨亜目)プロトケタス科
名前プロトケタス
英名Protocetidae
年期始新世。エジプトで発見。
年代5000万年〜4000万年前
大きさ長2.5b。60aくらいの長い首を持っている
特徴吻が前方に伸びていた。
鼻孔は後方に移動始め、吻の長さの半分より前にあった。
目も頭骨の左右に移動
後肢の退化はかなり進んでいた。後肢があったが機能してはいないようでで大腿骨のみである。
顎骨上顎骨と前上顎骨は発達しかけてはいるがテレスーコピングはまだ進んでいなかった。
歯は陸上哺乳類に近く臼歯が残り、同歯列ではなかった。
生息域海洋での生活に適応した形態になっていた。
進化このプロトケタスのある仲間から「レミントノケタスル科」と名づけられた系統に進化した。
その他のプロトケタス類から「ドルドン類」が進化した。
さらに他のプロトケタス類から当時最大の哺乳類「バシロザウルス類」が進化した.
そしてプロトケタス類が最初に死滅。
■アンブロケタス・ナタンス■
種類ムカシクジラ亜目(原鯨亜目)・プロトケタス科
名前アンブロケタス・ナタンス。「泳ぎ歩くクジラ」と名づけられた。
英名学名:Ambulocetus natans
年期始新世
年代5200万年前。
大きさ体重 300`
四足。5本の指を持つ後肢をもちアシカのように海岸を歩くことが出来たと考えられている。
地域1992年にパキスタン。パンジャップ地方から出土した。
生息域陸上でも水中でも生活。
画像なし
■ロドケタス・カスラニ■
種類ムカシクジラ亜目(原鯨亜目)プロトケタス科
名前ロドケタス・カスラニ
英名Protocetidae
年期始新世。エジプトで発見。
年代4700万年前。
大きさ300`
前肢はひれの形に,骨盤や大腿骨は大きいが後肢は退化してすでに機能していなかった。
後ろ足が退化して尾を使って上手く泳ぎ、水中での生活にほぼ適応していた
 
■パシロザウルス■
種類ムカシクジラ科(原鯨亜目)バシロザウルス科
名前パシロザウルス。恐竜の一種の化石と考えられ「爬虫類の王様」と命名された
英名Basilosauridaee
年期始新世。
年代5500万年〜3800万年前。1832年に初めて大きな脊椎骨が発見された。
その後1839年に頭骨の一部と歯が発見された。
大きさ大型。細身。最大20bくらい。
特徴海洋での生活、遊泳能力が進化した。
尾を周期的に垂直に動かしてユックリとしなやかに泳いだらしい。
頭骨頭骨は非常に小さい。体長の10%以下である。
退化した後肢を持っていた。後肢は交尾に役に立っていたという説もある。
頭骨のテレスコーピングとしては、鼻孔は吻のほぼ半分の位置にあった。
脊椎骨の棘突起は退化していた。
泳ぎ泳ぎは活発ではなく、蛇のようにくねくねと泳ぎまわっていた。
 
■ドルドン■
種類ムカシクジラ亜目(原鯨亜目)ドルドン科
名前ドルドン
英名Dorudontidae
年期始新世。
年代5500万年〜3800万年前
大きさ7b〜5b
特徴イルカに似ていた
頭部のテレスコーピングはやや進んでいた。しかし鼻孔は吻のほぼ半分の位置。
退化した後肢(大腿骨のみ)をもっていた。
頭骨頭骨は長く、胴と尾はある種の現生のクジラと殆ど同じ
体形体形は現生の鯨・イルカに近い。流線型の体形。首が短縮、長い胴に進化した。
洗練された尾ビレをもっていたようだ。
ドルトンの系譜が現生のクジラに結びつくとの説もある。
地域ニュージランド・南極大陸で化石発見されている。
 
■スクアラドロン■
種類ハクジラ亜目
名前スクアラドロン
英名Squalodontidae
年期2500万年前
年代中新世
大きさ体長5b前後。
特徴クジラ類に一番近い祖先。すべて現在のクジラにつながる基本的機能を備えていた。
現生のいるかに近い体形を持っていた。
鼻は頭のてっぺんに移動している。
後肢は退化し体表上から消えていた。
顎骨上下のアゴが発達。巨大な頭蓋骨を持っていた。同歯性の歯が一部備わっていた。
頬の歯はムカシクジラのような縁にギザギザがあるサメの歯に似た三角形をしていた。このため「サメハイルカ」とも呼ばれる。
分化スクアラドロン科からスクワロデルフィン科、ケントリドン科などに分化した
ケントリオドン科の仲間から現生のマイルカ科、ネズミイルカ科、イッカク科が分化した。
画像なし
 
■アゴロフィウス■
種類ハクジラ類
名前アゴロフィウス
英名Agorophiidae
年期
年代
大きさ体長5b前後
頭骨のテレスコーピングは進み鼻孔は目の上に移動した。
後肢はさらに退化した体表上から後肢の突起は消えていたらしい。
歯は部位により形が違い、同歯列化は進んでいなかった。祖先の名残があった。
進化現生のハクジラ類につながるとみられるスクアロドン科から分化した。
画像なし
 
■ケントリドン■
種類ハクジラ類ケントリオドン科
名前ケントリドン
英名Kentriodontidae
年期2400万年〜510万年前
年代中新世。中新世の終わりか鮮新世の初期に絶滅した。9属がある。
大きさおそらく5b程度以下。小型から中型ののハクジラ
特徴体形は現生のイルカにきわめて似た体型を獲得していた。
現在のイルカの頭骨は左右非対称だがケントリオドン科は左右対称であった。
テレスコーピングも進んでいる。
同歯列化。
分化現在のマイルカ科、ネズミイルカ科、イッカク科が生まれた。
画像なし
■エティオケタス■
種類ヒゲクジラ類エティオケタス科
名前エティオケタス
英名Aetiocetidae
年期漸新世
年代3800万年〜2400万年前
大きさ
歯を持っていた。ひげは化石では明らかではない。
『ヒゲクジラの遠い祖先は歯をもっていたクジラであった。』
体形体形はヒゲクジラに似ている。
画像なし
 
■ラノケタス■
種類ヒゲクジラ類ラノケタス科
名前ラノケタス(ラノケタス・デンディクレナータス)
英名
年期始新世後期
年代3800万年前。南極の地層から出土。
大きさミンククジラくらいの大きさ体長8b前後
特徴ムカシクジラとヒゲクジラ類の中間段階の化石。
頭骨頭骨の構造は非常に原鯨類に近い。
鋸歯状で初期のヒゲクジラに似ている。歯にギザギザがあった。
各歯間は離れていて篩状の構造。
食性小型の魚・大型の無脊椎動物をふるいで濾す様にして食べることが出来たらしい。
画像なし
■モノケタス■
種類ヒゲクジラ類モノケタスス科
名前モノケタス(モノケタス・パルバス)
英名
年期中新世後期と鮮新世の地層から出土
年代
進化このモノケタスス科から現生のホッキョククジラとセミクジラが進化したらしいがさらに研究が必要である
現生の大型クジラの中では最も長い進化系統をもっているといわれている。
■ケトテリウム■
種類ヒゲクジラ類ケトテリウム科
名前ケトテリウム(ミクソケタス・エリシウス)
英名Cetotheriidae
年期漸新世〜鮮新世の長期にかけて生存した
年代3800万年前〜500万年前
大きさいろいろ〜10b(ミンククジラくらい)
特徴29属59種もの化石がある。この種族は世界中の海で繁栄していたらしい。
テレスコーピングは充分に進んでいたが鼻は幾分前方に位置してはいた。
歯は消失
岩手県前沢町の鮮新世前期の地層から発見されたものは「ミズホクジラ」といわれている。
ヒゲ短いながらもクジラヒゲを備えていた。現生のナガスクジラはこのグループから進化した。
■アウロフィゼター■
種類ハクジラ類
名前アウロフィゼター
英名Aulophyseter rionegrensi
年期中新世中期.1970年にアルゼンチンのパタゴニア地方とカルフォルニアの地層から出土
年代1500万年前?
特徴現生のマッコウクジラに近い。
潜水高い潜水能力を持っていた。深く潜りイカを常食とした。
退化的な上顎歯列を持っていた。頭部の非対称性もあった。
頭部頭頂部にある深いくぼみ。
進化マッコウクジラの仲間。
大型クジラ類の長い進化史をもっている2系統(セミクジラとマッコウクジラ)の一つと云われている。
画像なし
■オリクテロオケタス■
種類ハクジラ類
名前オリクテロオケタス
英名Orycterocetus crocodilinus
年期
年代
特徴現生のマッコウクジラに頭骨は近い。
地域メリーランドで発掘。
泳ぎ高い潜水能力を持っていた。
■ユーリノデルフィス■
種類ハクジラ類ユーリノデルフィス科
名前ユーリノデルフィス
英名Eurhinodelphidae
年期漸新世中期〜中新世後期
年代3000年前から1000万年前
大きさ体長4〜5b
特徴上顎だけが長く突き出し、突き出した部分に歯をもっていない。後部に沢山の歯が並んでいた。
頚椎は融合していない為首は自由に動いた。
長い吻で海底をかき回して魚類を捕食していたらしい。
カワイルカ科に似ている。