いろいろな色のクジラ   

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鯨類には84種の種類があり、その名前に「色」がついたものも多く、地方名や時代によ

る名前の変化も見られます。鯨の皮膚の色や模様も千差万別、多種多様で単純なものか

らやや鮮やかなものまで見られます。一般的知識では「色黒」「潮を噴く」「水平の尻尾」 

の三つが鯨を思い描く3要素、いまだ「魚類」と思っている人もわずかにいます。

 

俳句・小説等に登場した鯨の色

(1)「青鯨」 長須鯨(シロナガスクジラ)、ブルーホエール(Blue  Whale)から

   か「青鯨」と詠んだ俳句がありました。

(2)「玄鯨」 黒い鯨を「玄鯨」と詠んだ俳句が数首ある。鯨種全体を黒いと表現された

ものと想像するが単なる黒ではなく赤〜黄色を帯びた「黒」の表現か。

   『玄鯨として六月の湾泳ぐ』 岡井省二

   「玄」の字は黒色を表し、天空の色とされ、大地の黄色とともに「天地玄黄」と

   併称される。「黒」との違いは『説文解字』に「黒くて赤があるものを『玄』と

いう」とある。また天から引伸して奥深い玄妙という意味が生じた(フレッシュ

ペディア)。 赤または黄を含む黒色(大辞泉)とある。

(3)「黒白」くろしろ⇒くじらの語源の一つとも云われる。鯨。黒白(クロシラ)

の略語。クジラの皮膚色は黒色、脂肪の部分が白色。鯨の背の黒色と腹の白色か

らと「鯨記」にある。

4 白鯨』(はくげい、英: Moby-Dick; or, the Whale

1851年に発表されたハーマン・メルヴィルの長編小説で 巨大なマッコウクジラ

の「モビー・ディック」に挑むエイハブ船長の物語の日本語タイトル。

   老獪なマッコウクジラ。アメリカの海洋小説。マッコウクジラは年齢とともに白

色化する。俳句に登場する白鯨さんは白髪・老人を表現したものの様である。

  主なクジラの体はどんな色

 

「クジラの体色はナニ色?」

種   類

背     中 

腹   部

ホッキョククジラ

黒色または灰黒色、
下顎前端と尾柄部に白色部分

黒色または灰黒色

セミクジラ

黒色

黒色

シロナガスクジラ

灰青色、全身に淡いまだら模様
水中では青白色に輝いて見える

青白色

ナガスクジラ

黒色

白色

イワシクジラ

黒色

体側及び腹側後方部は
黒または灰黒色

ニタリクジラ

黒色

体側及び腹側後方部は
黒または灰黒色

ミンククジラ

黒色

白色、胸びれ中央部に
白色の帯がある

ザトウクジラ

黒色

黒と白のさまざまな模様がある

コククジラ

灰色

やや薄い灰色、まだら状の色彩

マッコウクジラ

黒色、灰褐色、
年齢とともに白色化する

黒色、灰褐色

シャチ

黒色
左右の目の後ろに楕円の白斑
背びれ後方に白または灰白色
の鞍状の白斑がある

白色

 

 

(資料)「クジラのお肌はどんな色」(注)大型クジラの体色です。
http://www.geocities.co.jp/NatureLand-Sky/3011/whales-color.html

背と腹部の色の違い、胸びれの白色模様、あご付近の模様、白斑など
保護色の役目の他に餌を集め獲る為の役目もあるようです。

小型のクジラには白「シロイルカ」、ピンク「アマゾンカワイルカ」がいます。

 

「色」がついたクジラの呼び名 

(1)コククジラ 体色は灰色でまだら状の色彩はネズミ色がかった青または大理石模

様の白のように見える。幼獣は成獣よりも黒っぽい。

@アオ アオサギ アオサギクジラ 青鷺

Aアカ アカサギ 赤鷺

Bシロ シロサギ 白鷺

江戸時代にコククジラのことを3色に区別したようだが詳細は分からない。

  和名:克鯨・コククジラ 英名:Gray whale 灰色のクジラの意)

  青鷺 コクヂラ(児鯨)(大槻1808)(勇魚捕絵詞)とあり、アオサギの方が

多くの文献に登場している。他は少ない。

   鷺鯨(山口県)一名アオサギの記述あり1991)。シャレともいう。

(2)シロナガスクジラ 体色は淡い青灰色、白色のまだら模様の体色。

和名:長須鯨・シロナガスクジラ 英名:Blue whale(いクジラの意)

  シロナガスクジラ 「しろながそ」(山口県川尻・黄波戸)「はいいろながす」

(黄波戸)などの地方名がある。

勇魚捕絵詞には「長須」「ながそ」「にたり長須」(北九州)⇒シロナガスクジラ、

と「長須」⇒ナガスクジラ(白い所が多い)の2種ありと記述されている。

   

<類似判断基準> 地方で呼ばれていた。

  「ながす(紀州)」(長身の意)=「にたり長須(九州)」 ⇒シロナガスクジラ

  「のそ(紀州)」=「白長(九州)」 ⇒ナガスクジラ

 

   現ナガスクジラは顎から肛門付近までの腹部に白いウネがあり、他の部分は黒い。

すなわち腹部の白い部分が大きく、“白く長いウネ須を持ったクジラ”が旧「白

長簀」= ナガスクジラであった

一方、現シロナガスクジラは背部・腹部ともに薄い灰白色、まだら模様で真っ白

ではない。

 

現シロナガスクジラはナガスクジラを基準にして「ナガスクジラに似ているクジ

ラ」から「にたり長須」= シロナガスクジラと呼んだ考えられる。

なお現ニタリクジラと「にたり長須(九州)=現シロナガスクジラ」を間違えな

いように注意すること。

 

江戸時代、現シロナガスクジラは捕獲できなかったし見ることも少なかった。

現シロナガスクジラは水中にいるのを捕鯨船の見張り籠から見ると白っぽく見

える。現ナガスクジラの方が知られていたのでシロナガスクジラは“ナガスクジ

ラに似たクジラ”とされたのであろう。

 

江戸時代の捕獲可能なクジラはセミクジラ・コククジラ・ザトウクジラであった。

シロナガスクジラ・ナガスクジラ・イワシクジラ・ニタリクジラなどは泳ぎが速

く、深く長く潜るので江戸時代は捕獲が難しかった。

このような中で@ナガスクジラ・シロナガスクジラ・ニタリナガスの名前の混乱

Aニタリクジラ・イワシクジラの種の混乱もありBシロナガスクジラとニタリク

ジラの「似たり」という混乱とが重なり合って頭を悩ますことになっている。

 

 

鯨種の混乱

 

現在

江戸期

和名

西海・九州

紀州

ナガスクジラ

白長簀:しろながす

のそ

長須鯨

ながそ

 

黒色・腹部が白い

(白い所が多い)の意

 

 

(腹部が白い畝須)の意

 

Fin Whale

白質

 

 

 

 

シロナガスクジラ

にたり長須

ながす

白長須鯨

灰色

 

灰青色・まだら

(腹部が白い長須鯨に

(長身の意)

Blue Whale

似たクジラ)

 

1910年頃に

注:ニタリクジラではない

 

 白長須鯨となる

 

 

 

 

 

イワシクジラ

イワシクジラ・ニタリクジラ

イワシクジラ・ニタリクジラ

Sei Whale

の混同

の混同

 

南方型イワシクジラ

 

 

 

 

ニタリクジラ

イワシクジラ・ニタリクジラ

カツオクジラ

一名ブライドクジラ

の混同

 

1950年頃に区分

南方型イワシクジラ

 

Bryde’s Whale

 

 

イワシクジラに似た。 

 

 

  ピグミーシロナガスクジラもいるが南半球低緯度の亜種、矮小種である。

(資料;鯨研叢書No7「日本鯨類目録」粕谷俊雄・山田格著)

(3)シロイルカ 白い体色 黄色っぽくなることもある。 

シロイルカ ベルガ ベルーガ 一名シロクジラ(白鯨)白海豚

(4)イシイルカ 目立つ黒と白の配色。

ハンクロ(半黒) イシイルカのこと 三陸方面の呼び名

(5)ハンドウイルカ 落ち着いた灰色の色調 黒い背中のケープ模様。

クロ ハンドウイルカ 太地での呼び名 一名クロ ウキクロ(沼津)

クロバンドウイルカともいう

(6)マダライルカ 暗灰色のケープ状の模様 胸ビレから口ばしに伸びる黒い帯

マダライルカ ハラグロ(太地)

(7)セミイルカ 背中と体側は黒く、褐色がかった光沢 胸部・ヘソ部は白い

セミイルカ 一名(和名)シロハラセミイルカ シロトウガラシ

(8)マイルカ 背ビレの下側にV字状のケープがある。 体側に砂時計の模様

        腹側と体側下部は白色 体側に黄色がかった斑紋 

マイルカ  アカハラマイルカ(幼型)

(9)シャチ 黒と白の色合い 目の後方に白い斑紋 灰色の鞍状班

シャチ クロトンボ クロトンボウ(大和本草)

10)ヒレナガゴンドウ 体色は漆黒・暗灰色

ヒレナガゴンドウ 和名クロ鯨(藤川1889

(11) ハナゴンドウ 全身傷跡のある体 青灰色〜白色

ハナゴンドウ シロシャチ(三津)

(12)     アカボウクジラ 体色は黄褐色・薄い褐色・クリーム色・青白色

日光に当ると赤っぽく見えることがある。

アカボウクジラ 和名アカボウクジラ(赤坊鯨)(赤坊)「肌赤し」と述べている

   アカハラクジラ(西脇1957

(13) グリーンランドクジラ 黒色、濃い藍色・暗灰色 

Greenland right whale

島の名前からつけられた呼名。和名:ホッキョククジラ。 アイスランド(氷島)

への移民を奨励したが島   の名前が悪く希望者が集まらなかった。このため

「氷の島」であるグリーンランドを(緑豊かな島)と誇大広告し人集めのために

つけられた島名。

   このグリーンランド付近にホッキョククジラがいたのでGreenland right whale

と呼ばれるようになった。

(14) ミンククジラ 背中側は黒色・暗灰色・茶色 腹部は白色 胸ビレに白い帯

ミンククジラ 和名:クロミンククジラ 南氷洋産の個体に与えた名称

 

● 色が付いた種名の鯨たち 

     四日市 赤鯨 青鯨

<青>

アオナガス(不明種)

アオ アオサギ アオサギクジラ 鷺・・・コククジラ

 

<赤>

アカイロ(カツヲクヂラ)・・・不詳ニタリクジラ

アカ アカサギ 鷺・・・不詳コククジラ

アカサギ・・・不詳コククジラ 

アカナガス(不明種)

アカボウクジラ・・・ アカハラクジラ

アカボウモドキ

マイルカ・・・アカハラマイルカ(短吻型、幼体)

アカボウクジラ・・・アカボウ(高知・紀州)

 

<黒>

クロイロ・・・カツヲクジラ(不詳ニタリクジラ)

クロクジラ・・・ヒレナガゴンドウ

クロツチ・・ツチクジラ

クロトンボ・クロトンボウ・・・・シャチ

クロナガス・・・・(不明)

クロハンドウイルカ・クロバンドウイルカ・・・・ハンドウイルカ

クロミンククジラ・・・ミンククジラ(南半球産)

クロダラ・・・coalfish(クロダラ)がいる所にいるクジラ⇒イワシクジラ

  Sei whalesei(クロダラ)からついた呼び名。

 

<白>

シロイルカ・シロクジラ・・・シロイルカ

シロサギ・・・コクジラ シロサギ、鷺 江戸時代コククジラのことをいった。

シロシャチ・・・ハナゴンドウ(三津)

シロトウガラシ・・・セミイルカ・シロハラセミイルカ

シロナガス・・・ナガスクジラ

シロナガソ・・・シロナガスクジラ(川尻・黄波戸)

シロナガスクジラ・・・シロナガスクジラ

Sulphur-bottom・・・サルファーボトム<黄金色の腹>=シロナガスクジラ

  高緯度に採食回遊した時に珪藻が付着し体が黄褐色に見えることからの名。

  ピグミーシロナガスクジラ・・・シロナガスクジラの南氷洋低緯度亜種。

  古名はナガスクジラ。

シロハラセミイルカ・・・セミイルカの体色変化・シロハラセミイルカ(南半球産)

 

<薄色>

シナウスイロイルカ・・・

シナウスイルカ・・・

アフリカウスイロイルカ

ウスイロイルカ

 

<灰色>

ハイイロナガス・・・シロナガスクジラ(黄波戸)

ハイイロ(カツヲクジラ)・・・ニタリクジラの一種

灰色のクジラ・・・gray whale=コククジラ。児鯨⇒克鯨。古名はアオサギ

 

<黒>

「鼻」 ハナグロスジイルカ・・・スジイルカ

「腹」 ハラグロ・・・・マダライルカ(太地)

 

<白>

「腹」 ハラジロイルカ

ハラジロカマイルカ

 

<半黒>

ハンクロ・・・・イシイルカ型

 

<まだら>色ではないが模様

マダライルカ

 

<斑点>

溺死体のクジラ:イッカク:Narwhal(ナールウォル) 

溺れて死んだ人間に斑点があり、イッカクにも斑点があるのでノルウェー語でナールウ

ォル<溺死体のクジラ)と呼ばれる。

 

<すじ>色ではないがスジ?

スジイルカ

 

<はな>色ではないが模様?

ハナゴンドウ Grampus griseus 大きな魚+体色が灰色 grey grampus

 

<いろわけ>

イロワケイルカ

 

鯨体の部分的色の違い

背部 腹部 胸ヒレ 顎部 尻部 尻尾(裏部)カラシティ ひげの色 吻部

などの部分的相違もある。

模様・斑点・斑紋・スジ・まだら・・・イロワケイルカ・ハナゴンドウ

 ハナジロカマイルカ・ダンダラカマイルカなど

 

クジラの色の左右非対称性

クジラの左右の違い

イッカクの歯 反時計回り 左側の歯が前方に伸びた。

ナガスクジラのヒゲ・口部(頭部)の色合い。右側が白い。

コククジラ採食は右側でする。泥を濾して餌を食べる。

マッコウクジラの頭部 鼻の位置が左側。

ハクジラは鼻の穴は一つ。(ヒゲクジラは二つの鼻孔を持つ)

 

 <製品・部位のイロ  黒皮 赤身 塩赤身 赤腸:あかわた>

 

クジラ玩具の珍しい色彩

南アフリカ:陶器カラーくじら

日本:縫いぐるみ:赤いクジラ

南米ペルー:デフォルメされた鯨体に鮮やかな模様を描く

オーストラリア:アポリジン製作のクジラデザイン

カナダ:トーテム

goods 031 goods 024

南アフリカの玩具

goods 071 

日本の玩具等 和田浦のツチクジラ   汐吹き鯨 磁器 白背美鯨   

 

オーストラリア アポリジン       カナダ インディアン

カナダ インディアンのシャチ(トーテム)

 

南米 ナスカ文化のシャチ       ナスカ文化のクジラ

 

手作りザトウ              ピンク灰皿

(参考)

●クジラ缶のめずらしい俳句

「昭和の日コキコキ開けるくじら缶」 杉渕 良子