「鯨」地名と苗字 

 

1.鯨・くじらの地名が苗字(名字)になった

2.鯨とは関係ない「くじら」地名と苗字の由来

3.地形が関連し、「鯨」字が付いた地名

4.アイヌ語の「クジラ」にかかわる地名

5.「くじら」地名の一般的な由来・根源

 

§1.鯨・くじらの地名が苗字(名字)になった§

姓氏苗字:読み)    (地 域・発 祥 の 由 来・●人 口 数)

:クジラ   栃木県河内郡上三河町、栃木県 日光市久次良

 (クヂラ)  茨城県下妻市鯨、和歌山県海南市、 和歌山県(鯨の漁から)

        愛媛県越智郡上島町弓削久司浦(ユゲクジウラ)発祥。

「崩れ易い土地」の意。

          ● 全国(390) 栃木(30) 和歌山など。

久知良:クジラ 大分県豊後大野市三重町久知良一区・二区発祥。

久地楽:クジラ 東京都町田市。常陸國真壁郡に地名がある。●(20

鯨井:クジライ 埼玉県。埼玉県川越市鯨井発祥。 

●全国(3600)埼玉(60)東京など。

鯨尾:クジラオ                     ●(10

鯨岡:クジラオカ 福島県いわき市、茨城県日立市。福島県いわき市平鯨岡

発祥。

●全国(1900) 福島(30) 茨城 東京など 歴史上の人物にも多い。

鯨崎:クジラザキ 香川県、福岡県、京都府。       ●(20

鯨田:クジラダ                     ●(20

鯨波:クジラナミ 石川県七尾市。            ●(10) 

魚問屋が{鯨}を使用した明治新姓。

鯨谷:クジラヤ                     ●(20

久白クジラ・クシロ                  ●(20)島根県

 

(参考資料:人名力「日本姓氏語源辞典」)

 

 

§2.鯨とは関係ない「くじら」地名と苗字の由来§

(地 名)(読 み)  (地 域 ・ 由 来 ・ 苗 字)   (苗字の多寡)

「久志羅」クジラ⇒鳥取市福部町久志羅(上野)

  ●久志羅さんという人は少ない。

「久地楽」クジラ ⇒茨城県筑西市久地楽

 東京都町田市。常陸国真壁郡に地名あり。

久地楽さんという人は多い。

「久次良」クジラ新田徳次郎⇒徳次郎トクジラ⇒久次良クジラ⇒

栃木県日光市久次良

    久次良さんという人は字がいためか多い。

@徳次郎tokujiraという地名は,日光に勢力を持っていた久次良(くじら)

の一族が,奈良時代 末期の778年に,日光山神社

(日光二荒山神社)から御神体を千勝の森(現 智賀都

神社)に勧請し,山を下ってこの地に住み勢力を張った

ことに由来する

A現在でも徳次郎地区にわずかだけ「外鯨tokujiraという名字がある。

「とくじら」と読み、この地区がもともとは「とくじら」

だったことをあらわしている。

B日光東照宮近くの「久次良(くじら)」地区に住んでいた人達が移り住んで

       「外」の「久次良」から「とくじら」と呼んだのが始まり、

日光の久次良氏(久次郎氏)の外領ということで、

外久次良(とくじら)とされた。

外久次郎といういう家系図はある。

「久白」クジラ・クシロ島根県安来市久白町 

    久白さんという苗字は多い。

    「櫛羅」クジラ奈良県御所市櫛羅:(崩壊地の名)

@    弘法大師が、上流にある滝を天竺の「クジラの滝」に似ているので

供尸羅(くじら)滝」と名づけた。しかし、供尸という字は「供に屍」

と書くので良くないと、領主の永井信濃守が「櫛羅」と改め、それが地名

の由来になった。葛城山から土砂崩れがたびたび発生することから 「崩れ」

が語源といわれる。「クジラ」「クシ・串」などは「くじく」「くずれる」

「ぐじぐじ」などは「窪地」「えぐり取られた」「崩れた」などをあらわ

崩壊地名と云われる。

A「この地の在所を倶戸羅邑というが、天照皇大神の御霊が時々日月のご

とく照り輝いて現れるためこの地名になった。クシラとはクシヒトという

こと、「御霊」の2字もクシヒと読める。当所を霊異邑というが、俗語し

てクシラ邑(kusira)となる」という。(鴨口神社由緒書)

    「櫛羅」という日本酒もつくられている。

               ●古い「永井櫛羅家系図」がある。 

    「久志良」クジラ岡山県瀬戸内市邑久町福中久志良

(おかやまけんせとうちし おくちょう ふくなかくじら)

    久志良さんは殆ど見られない。但し、久志 良さんはある。

    「久知良」クジラ豊後大野市久知良( くじら)

名称:久知良神社 くじらじんじゃ 所在地:三重町大字内田171番地 

くぢらKudira「くぢら」ともいう。

 ●久知良さんという苗字は多い。

(参考:人名力「日本姓氏語源辞典」)

 

§3.地形が関連し、「鯨」字が付いた地名§

 

鯨が見える所・いる所

長崎県五島市「鯨埼」

 

断崖絶壁の海岸地形の所

北海道厚岸町鯨浜新潟県佐渡市稲鯨柏崎市鯨波 等。

熊本県天草市鯨道 「くずれみち」

 

内陸の崩壊地に関係する所

茨城県石岡市鯨岡福島県いわき市鯨岡、三重県紀北町鯨、

愛媛県八幡浜市鯨

 

険しい峡谷の所

青森市鯨沢「くずれさわ」

 

台地上の所 人の姓にもなっているが由来不明

埼玉県川越市の鯨井

 

低湿地の「鯨」地名

茨城県下妻市鯨、福島県郡山市鯨

 

内陸の崩壊地形の麓にある所

鹿児島県鹿屋市串良(くしら)「くじら」と同じ語源。

 

鹿児島県長島町崩埼(くえんざき)「くずれさき」「くじらさき」に変化で

きる地名

 

切り立った断崖の地形

「吉里吉里」の鯨山。「きりきり」は「ぎりぎり」につながり。

 

その北西には鯨山(くじらやま・くずれやま)があり、崩れやすい山

 

の名前になっている

  

(参考:「鯨」地名の由来と「串」地名)

     

§4.アイヌ語の「クジラ」にかかわる地名§

 

    クジラが上がった海岸、川、湾

 

フムベオマナイ・・瀬棚・・クジラ川

フンベオマナイ・・白糠・・・クジラ川

フムベオマナイ・・紋別・北見・・クジラ川
  フムベオマペツ・・クジラ川
  フムベオマベツ・・斜里・・クジラ川

フンベヤンモイ・・室蘭・・クジラが上がった湾

フムべケエエ二・・根室花咲・・クジラの死体が有る湾

 

    クジラが良く見える場所

 

フンベモイ・・・厚岸・・・クジラ湾

 

    クジラの形に似ている山、岩、チャシなど

 

フンベシュマ・・室蘭・・・クジラ岩
  フンベ山・・池田町利別・・クジラ山
  オタフンベ・・様似・・・砂クジラ
  噴辺・フンベ川・フンベの滝・・知床ウトロ
  オタフンベチャシ・・十勝浦幌・・砂クジラ砦
 
(参考:アイヌ民族クジラ利用文化の足跡をたどる:岩崎まさみ)

(参考:フンベ、フンベ山 投稿者:中標津・すがわら)

§5.「くじら」地名の一般的な由来・根源 §

1.鯨が流れ着いた、鯨が来た場所 川を上った地、海岸、湾など

鯨が流れ着いて飢餓をまぬがれたなどの「伝説」、鯨を慰霊した

「塚・墓」などがある。

 

2.鯨を見ることが出来る場所、海に近く鯨が捕れた場所

 

3.鯨に似て大きい山や丘・台地・岩・石など。

 

4.内陸の崩壊地形から来たもの

言葉からきた由来(崩れる、くじく、ぐじぐじ、くし、崩れやすい 等)

低湿地、断崖絶壁、峡谷

 

5.稲作「苗代」との関連地、隼人系文化の影響

 

6.単なる言葉からきたもの(方言なども)

 

7.辺鄙な場所・岬(串)

 

8.恐ろしい地形・大きい・黒い色・黒白の混じり(鯨は恐いものとした)

 

9・アジア近隣国の言葉の影響(韓国・東南アジアなど)

 

10.鯨に関わる神事・祭

 

11.地域を支配した人名からきた地名 

 

12.アイヌ語の影響 

 

などが考えられます。