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『クジラのお乳はどこにあるのでしょう?』答えと疑問:クジラのお乳はオチンチンの両側に1対(つい)あります。ではオチンチンはどこにある?。どうしてそんな所にあるの?現在のクジラには退化して後ろ足はありませんが、大昔のクジラは毛がはえた四足獣で、陸上を歩いていました。 化石や遺伝子の研究で、クジラ類に最も近い哺乳類はカバといわれウシ・シカも近縁です。四足のご先祖様は陸から海に帰り進化し海生哺乳類となりました。 陸を歩いていた頃の後足の付け根付近に生殖孔(交接器)があります。 生殖孔の両側に1対(つい)の乳頭溝(にゅうとうこう)( 乳裂ともいう)があって、この溝(みぞ)に各一つの乳頭があります。 凸凹がなくスマートな流線型になったクジラには膨らんだ乳房はありません。 このため、授乳時には親の乳首が飛び出し、乳も押し出され 仔クジラが容易に乳を飲めるようになっています。 今でも腰(骨盤骨)・後ろ足(大腿骨:だいたいこつ等)の痕跡として小さい骨が体内に残っています。 乳頭は、頭部から尻尾の4分の3位後ろの位置にあります。ヘソは体長の中間くらいにあります。 ヘソと尾びれの中間くらいの位置に生殖孔(交接器)が、その両側に乳頭があります。 ヒトである私達からみるとオチンチンの両側にお乳があるということはとても不思議です。 しかし他の哺乳類からみると、胸部にお乳がある人間はもっと変な生き物です。 それでは他の哺乳類はどうでしょう? 哺乳類の、乳頭の位置は @腋(わき)・胸部(バスト)・・・・・・・ヒト・サル・ゾウ・ジュゴン(海牛類・人魚のモデルといわれる) A胸部〜腹部〜下腹部・・・・・・・・・ブタ・ネコ・イヌ B胸部 または 腹部と下腹部・・・・・・クマ・ネズミ C下腹部(鼠径部)・・・・・・・・・・・ウシ・ウマ・ヤギ・ヒツジ・キリン にあります 霊長類(れいちょうるい)⇒⇒⇒⇒⇒⇒胸・バストに、 有蹄類(ゆうているい)の大部分⇒⇒⇒鼠径部(そけいぶ)に、 食肉目・豚・齧歯類(げっしるい)⇒⇒⇒腋窩(えきか:腋の下)から鼠径部に かけて乳頭があります。 乳頭の数は対(2個)or個数で表し、2〜18個くらい、最大で25個(有袋類:アカハラジネズミオポッサム)だそうです。 海牛目のマナティー・ジュゴンに近縁の哺乳類はゾウと云われています。前足(鰭)付け根に乳頭があります。 鰭脚類のアザラシ・アシカ・セイウチの近縁種はクマ・イタチ・イヌと云われております。 |
種類 | 腋・胸部 | 腹部 | 下腹部 | 乳頭数計 | 親の授乳姿勢 | 仔の乳飲姿勢 | 食性 | 巣・産屋 | 産む数 | 種類(目) | (類) |
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鯨(クジラ) | 0 | 0 | 2 | 2 | 海中で授乳 | 泳ぎながら飲む | 肉食? | 単体 | 鯨偶蹄目 | (鯨偶蹄目) | |
馬 | 0 | 0 | 2 | 2 | 立って授乳 | 立って飲む | 草食 | 単体 | ウマ目 | (奇蹄類) | |
シマウマ・バク | 0 | 0 | 2 | 2 | 立って授乳 | 立って飲む | 草食 | 単体 | ウマ目 | (奇蹄類) | |
山羊・羊 | 0 | 0 | 2 | 2 | 立って授乳 | 立って飲む | 草食 | 単体 | ウシ目 | (偶蹄類) | |
牛・キリン | 0 | 0 | 4 | 4 | 立って授乳 | 立って飲む | 草食 | 単体 | ウシ目 | (偶蹄類) | |
豚(ブタ) | 6 | 6 | 6 | 18 | 横になって授乳 | 寝て飲む | 雑食 | 多産 | ウシ目 | (偶蹄類) | |
猫 | 2 | 2 | 4 | 8 | 横になって授乳 | 寝て飲む | 肉食 | 巣 | 多産 | ネコ目 | (食肉目) |
犬 | 4 | 2 | 2or4 | 8or10 | 横になって授乳 | 寝て飲む | 肉食 | 巣 | 多産 | ネコ目 | (食肉目) |
ホッキョクグマ | 4 | 0 | 2 | 6 | 横になって授乳 | 寝て飲む | 肉食 | 巣 | 少数3まで | ネコ目 | (食肉目) |
ツキノワグマ | 4 | 0 | 2 | 6 | 横になって授乳 | 寝て飲む | 雑食 | 巣 | 少数3まで | ネコ目 | (食肉目) |
鼠(ネズミ) | 6 | 0 | 4 | 10 | 横になって授乳 | 寝て飲む | 草食 | 巣 | 多産 | ネズミ目 | (齧歯類) |
ラット | 6 | 0 | 4 | 10 | 横になって授乳 | 寝て飲む | 草食 | 巣 | 多産 | ネズミ目 | (齧歯類) |
ニホンリス | 0or2 | 4 | 2 | 6or8 | 横になって授乳 | 寝て飲む | 草食 | 巣 | 多産 | ネズミ目 | (齧歯類) |
猿(サル) | 胸2 | 0 | 0 | 2 | 座って授乳 | 抱かれて飲む | 雑食 | 産屋 | 単体 | サル目 | (霊長目) |
人間 | 胸2 | 0 | 0 | 2 | 座って授乳 | 抱かれて飲む | 雑食 | 産屋 | 単体 | 霊長目 | (霊長目) |
象(ゾウ) | 前足部2 | 0 | 0 | 2 | 立って授乳 | 立って飲む | 草食 | 単体 | ゾウ目 | (長鼻目) | |
ジュゴン | 腋窩2 | 0 | 0 | 2 | 海中で授乳 | 泳ぎながら飲む | 草食 | 単体 | 海牛目 | (海牛目) | |
マナティー | 腋窩2 | 0 | 0 | 2 | 海中で授乳 | 泳ぎながら飲む | 草食 | 単体 | 海牛目 | (海牛目) | |
※乳頭数は「対(つい)・個数」であらわしますが、個別的にみると奇数のものや表より多いものもあります。
@「下腹部」「鼠径部:そけいぶ」とは股(また)の付け根部分のことで、交接器(生殖孔)・肛門・排泄口があり乳頭もその付近にあるものが多い。 体内にある睾丸が成長段階で睾丸をおさめる陰嚢(いんのう)に出ます。睾丸を鼠(ネズミ)に見立て鼠が出る小道(径)が語源です。 A肉食獣のメスは授乳時、ゆったりと横になって仔(こ)に乳を飲ませます。複数の仔は腹ばいの姿勢で乳首をくわえて乳をのみます。(例:ネコ) B草食獣は外敵(がいてき)が多い。無防備に体をゆったりと横にして授乳していたら肉食獣に直ぐ発見され餌食にされてしまいます。 巣や産屋を作らない多くの草食獣は、外敵を警戒して四足で立ったまま、逃げやすい姿勢をして乳を与えます。 仔も立ったまま親の腹の下に鼻を差込み乳を飲みます。(例:ウマ)仔が立って飲みやすい足の付け根部分に乳首があります。 C仔象は鼻を使わず口で乳を飲みます。親象の乳首は地面から90aくらいの前足付け根にあり、仔象の口がうまく届く位置にあります。 たとえば親象の低い腹下に乳首があれば飲み難いし押しつぶされ、危険でもあるわけです。 D乳頭が無い哺乳類にカモノハシがいます。卵を産むことで知られているカモノハシは4週くらいで生まれた未熟な仔に、 皮膚から乳汁を分泌し、仔に舐めさせます。 Eカンガルーなどの有袋類は、下腹部に育児嚢(いくじのう)という袋を持っています。この袋の中に乳頭があります。 仔は未熟な状態で生まれ、仔は親が舌で舐めた所を伝って這い上がり袋に入り乳頭に吸い付き乳を飲みます。 F地球上で一番多くの乳頭を持つ哺乳類はアカハラジネズミオポッサムで25個です。 Gホッキョクグマは地球最大の肉食獣といわれ胸に4個と下腹部に2個計6個の乳頭を持っています。1から3頭の仔を連れています。 H食肉目のアシカ・アザラシ類は普通陸上・氷上で授乳します。セイウチは引き込める乳頭を持っています。 乳頭数はアシカは4個、セイウチは4個、アザラシは腹部に2(4)個あります。 I進化上、乳腺は汗腺から変化したといわれております。腋の下(腋窩)から胸・腹部を通って股の付け根部分まで腹側面に 弓状・左右対称に乳腺堤(ミルクライン)がのびています。この乳腺堤に乳頭が木の枝状に分布しています。 Jヒトには1対の乳頭以外に複数を持つヒトがいます。乳腺堤(ミルクライン)にそって「副乳頭」と呼ばれるホクロ状痕跡が見られます。 男性にも乳頭がありますが通常乳は出ません。 K哺乳類が持つ乳頭の位置・形・数・配列は地球上での出現時期、祖先、、生態(群れ・行動・移動回遊・巣・産屋、食性など)、 体躯のつくり(サイズ大きさ・高さ・足形・姿勢・体形・形態・骨格)、出生数(多産・単子)環境(天敵・外敵・陸上・海洋・草原・森林)や 進化に大いに関連しております。 L哺乳類の乳頭の数・位置・総数を表す「乳頭式」があります。 (胸部に何対)+(腹部に何対)+(下腹部に何対)=(全体数) と数式化されている。また個数で表示されることもあります。 (表記例) ニホンリス:0+2+1=6 あるいは 1+2+1=8 ツキノワグマ:2+0+1=6 (個数表記例) ヒト:2002 クジラ:0022 上の表と同じです |
大項目 | 小項目 | 乳頭の位置 | 乳頭の配列 | 乳頭の数 | 乳房の形 | 関連 |
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地球上に出現した時期 | 進化の度合い | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 全て進化に関連する |
ご先祖さまとの関連 | 種類・系統樹 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | 進化・種類で違う |
有袋類 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | カンガルーなど袋内授乳 | |
単孔類 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | カモノハシは乳頭がない | |
体躯のつくり | 大小・サイズ | ◎ | ゾウは前足付け根にある | |||
(形態) | 体形・骨格・姿勢 | ◎ | ◎ | 授乳姿勢との関連 | ||
足の高さ・仔の口の高さ | ◎ | ◎ | ◎ | ゾウの乳頭は前足付根にある | ||
足の形・ヒズメの形と数 | ◎ | ◎ | ◎ | 有蹄類・草食獣・逃げ足に関連 | ||
胴体長・腹の太さ | ◎ | イヌ・ネコ・ブタの乳頭は多い | ||||
二足・四足歩行のちがい | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ヒトは胸の乳房のふくらみが大 | |
乳頭の大きさ・乳頭溝 | ○ | ○ | 流線型・鯨(乳頭溝内) | |||
乳頭の出し入れや乳汁の噴出 | ◎ | 海生哺乳類・セイウチ | ||||
生態 | 群・構成・縄張り(テリトリー) | ○ | 進化、草食vs肉食 | |||
(習性) | 夫婦・家族・ハーレム | ○ | 索餌・繁殖に関連 | |||
行動・大移動・大回遊 | ◎ | ◎ | ◎ | 索餌・繁殖に関連 | ||
巣作り・産屋(穴倉) | ◎ | ◎ | 外敵に関連 | |||
食性 | 草食・肉食・雑食 | ◎ | ◎ | ◎ | 肉食獣・草食獣の相違大 | |
餌の種類・餌の多少 | ○ | ○ | ○ | 進化に関連,移動・回遊等 | ||
天敵(外敵) | 強い・弱い・食物連鎖・順位 | ◎ | ◎ | ◎ | ネコ目vsウシ目ウマ目 | |
生殖・繁殖 | 生殖・アピール・盛り・発情 | ◎ | 霊長類・乳房のふくらみ | |||
1回の出生数(多少) | ○ | ○ | ◎ | 仔数にほぼ比例する | ||
受胎日数(期間)の長短 | ○ | 進化に関連 | ||||
授乳日数(期間)の長短 | ○ | 進化に関連 | ||||
胎児の成長度 | ○ | 進化に関連 | ||||
(成熟仔・未熟仔 ) | ○ | 単孔類・有袋類は未熟児 | ||||
親と子の授乳姿勢・安全性 | ◎ | ◎ | ◎ | ◎ | ゆったり授乳・防衛姿勢 | |
出産場所・授乳場所(巣穴) | ◎ | ◎ | ◎ | ゆったり授乳・防衛姿勢 | ||
生産直後、仔の歩行可否 | ◎ | ◎ | ◎ | ゆったり授乳・防衛姿勢 | ||
乳汁を出して飲ませる | ◎ | 海生哺乳類、強く出す | ||||
環境 | 陸・海洋・空中・湖・河川・重力 | ○ | ◎ | 鯨偶蹄目・コウモリの特異性 | ||
気温・天候・気象・氷河期 | ◎ | 進化に関連,移動・回遊等 | ||||
草原・森林・高低 | ◎ | 授乳環境・天敵対応 | ||||
地理的分布 | ○ | ◎ | 有袋類のオーストラリアなど | |||
1 有袋類はオーストラりアと南米の一部に生息しています。カンガルーは早産で未熟児を生み育児嚢にある乳頭で乳を与え育てます。 オーストラリアの動物は固有なものが多くいます。「飛べない鳥」、「タマゴを産む哺乳類」など。マダガスカル・カ゛ラハ゜コ゛スも島固有生物の宝庫です。 2 単孔類は生殖孔と排泄孔が一つの穴の哺乳類で、カモノハシが有名です。卵を産み、乳頭はなく皮膚から乳汁を分泌し仔を育てます。 3 足に蹄(ひずめ)を持つ有蹄類(ゆうているい)には奇蹄類(奇数)(きているい)と偶蹄類(偶数)(ぐうているい)がある。 奇蹄類はウマ、偶蹄類はウシが代表選手です。 4 クジラは鯨偶蹄類(くじらぐうているい)です。流線型をした体には現在手や足は見られませんが痕跡が残されています。 大昔、クジラは四足で陸を歩いていました。当時の後ろ足の付け根・生殖孔の両側に乳頭があります。 5 霊長類の人間は二足歩行し、二つの膨らんだ乳房がバスト・胸にあります。 6 コウモリは胸に1対の乳頭を持っています。さらに下腹部に「擬(仮)乳頭」1対があり、仔を支えるためのものと云われている。 コウモリは普段人間と逆の姿勢が多く、休む時も木などにぶら下がり上下が逆、ほとんど頭を下にしてぶら下がっております。進化の妙です。 7 生息場所、生態、天敵との関連、形態、乳を与える親の姿勢、乳をもらう仔の口の位置・姿勢等が、進化上「乳頭の数・位置・配列」に関連しています。 |