機能からみた銃砲捕鯨法の比較


『 Firing a Bomb-Lance 』(爆装-槍を発射する)
「ショルダーーガン・鉄砲を使ったアメリカ式捕鯨絵図」


    鯨を捕るには沢山の漁具類が必要でした。モリ一本では鯨を捕ることは出来ません。

    人・舟・漁具の総合力で危険な中、鯨を捕獲できました。

1.モリは、長い柄をつけ鯨体に刺し、『カエシ』で抜けないようにし、鯨体と舟を綱(ツナ)で連結する機能がある。
  Harpoon・iron
  欧米ではモリ先の改良が頻繁に行われ多くのモリの形がある。
  Two-flue Iron・Harpoon with two barbs,or flues(二つ爪モリ)
  One-flue Iron・Harpoon with one barb or flue(一つ爪モリ)
  Temple iron ・The Temple (テンプル・モリ:テンプルが開発した回転モリ)
  Later Toggle iron (トグル・モリ:木製ピンで留めるモリ)など

     
(資料:Whales,Whaling and Whalecraft:by Paul Giambarba)

  和製の萬モリ(ヨロズモリ)は鯨と舟をつなぐ基礎となるモリ
  早モリ(ハヤモリ)は鯨を追い・脅す機能がある。

2.槍(ヤリ)・手槍は内臓に刺して致命傷を与える機能を持つ。
  Killing lance・Hand lance。
  日本では両刃の「剣」でおこなった。

3.ボンブランス手投げモリ=ボンブランス(爆装モリ)+短銃+鉄モリ を投げ、当れば致死に導く機能。
  Darting gun+ Bomb lance
  ボンブランスは鯨体に当ると体内で火薬が爆発し致命傷を与える機能を持った弾丸のこと。
  Bomb lance

4.捕鯨銃+bomb lanceは剣・槍に代わる役目。鯨体内で爆発し鯨に止めを刺す「爆装弾発射機」。
  Shoulder gun for bomb lances

5.グリーナー砲は綱付き銛を発砲するだけの「モリ打ち機」、爆装モリはなく致死時間の短縮には効果なかった。
  機能は単なる「モリ発射機」。 Greener-gun

6.ノルウェー式捕鯨砲は{動力船+捕鯨砲法}に全ての機能を備えた効率的漁具である。連続捕獲も可能。
  捕鯨銃やポスカン銃とは比較できない。
  鯨を浮かせ、引き寄せる「捕鯨ウィンチ+ロープの切断を防ぐ緩衝装置」・連続捕獲のため浮鯨する「空気モリ」・
  浮鯨位置を知らせる「ラジオブイ」・浮鯨方向を知る「方向探知機」・鯨を探すソナー「鯨探機」なども使われた。

  モリは1本、または2本で致死でき、命中率は可なり高かった。
  モリの先が尖らず平らになった「平頭モリ」は日本で作られ命中率がより向上した。
  モリ先(グラナッツ)内に火薬を入れ、鯨体に刺さると破裂し致命傷与えるような仕組みをしたモリ。
  ボンブランスと同じような仕掛けといえる。
  モリのツメが体内で開き、カエシで抜けを防ぐようになっている。軟鉄製モリ。

機能から見た捕鯨法の違い

   ●:大関連 ▲:効果あり ◎;関連あり ×:関連なし
種類舟・ボート網:アミ綱:ツナ早モリ萬モリ剣:ケン手形包丁槍:手槍銃砲・ポスカン
突取法 ◎ ◎ × ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ × ×○(鉄砲)
モリや剣で
突いて捕る
多数多くの舟
を使った
 鯨の行き足を
止め疲労させる
鯨と舟の連結
沈下防止
鯨を追い
脅す
鯨と舟間を
ツナで連結し
疲労させる
沈下防止
止めを刺す
海水を臓腑
に進入させ
致死させる
最後の止め
綱を通す穴
を開け曳航
 (洋式突取
導入後)併用
して使用された
致死短縮化
洋式突取法 ◎ ◎ × ◎ × ◎ × × ◎ ◎(爆装弾)
アメリカ式
モリ・槍(ヤリ)・(銃)
で突いて捕る
40人位捕鯨艇6隻 鯨の行き足を
止め疲労させる
鯨と舟の連結
 鯨と舟間を
ツナで連結し
疲労させる
  内臓を挿す
先スペード状
手槍とも云う
致死率強化
止めを刺す
捕獲時間短縮
網掛突取法 ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ ◎ × ×○(鉄砲)
アミに掛け
モリや剣で
突いてとる
多数多くの舟を
使った
行き足止
めからま
せ身動き
を封じる
鯨の行き足を
止め疲労させる
鯨と舟の連結
沈下防止
追い脅す
網に入れ
る(音使用)
鯨と舟間を
ツナで連結し
疲労させる
沈下防止
止めを刺す
海水を臓腑
に進入させ
致死させる
最後の止め
綱を通す穴
を開け曳航
 (洋式突取
導入後)併用
止めを刺す
致死短縮化
グリーナー砲 ◎ ◎ × ◎ × ◎ × ? ◎ ○(爆装なし)
銃砲捕鯨法
砲で銛を打ち
槍で突きとる
人数減数隻 鯨の行き足を
止め疲労させる
鯨と舟の連結
 萬モリの機能  致命傷を与え
られず槍・剣
が必要だった
固定型中砲
モリ打ち機
ノルウェー式 ● ● × ●捕鯨ウィンチ × ● ▲ × × ◎(捕鯨砲)
捕鯨法
砲で銛を打ち
体内で爆発
致死させ捕る
15人位1隻・追尾
疲労させ
連続捕獲
集鯨・曳航
 鯨を引き寄せる
沈下防止
(鯨探機
でも追い
脅し)
綱・モリ・
破裂モリ先
で致死、捕獲
出来た
モリに機能有 不要(モリに機
能有不要)
固定型大砲
効率的致死砲
空気モリも致死
効果あった

参考資料:
『尋常小学読本』 巻十 第十八課 文部省(大正四年四月二十五日翻刻発行)
捕鯨砲からみた日本の捕鯨:生月町博物館・中園成生
くろしお文化6:捕鯨特集(中):黒汐資料館)
くろしお文化9「版画に見る中世鯨船(二)」:大村秀雄
(財団法人鯨類研究所長 農学博士)(昭和54年8月:黒汐資料館発行)
長崎県漁業誌(明治29年発行)
『国防と水産』山田忠一著:大澤築地書店刊:昭和18年刊
MYISTIC SEAPORTのTHE MUSEUM OF AMERICA AND SEA 展示品

ネット情報
Whaling Tools in the Nantucket Whaling Museum By Robert E. Hellman
http://www.coolantarctica.com/gallery/whales_whaling/0019.htm
http://www.whalingmuseum.org/library/whalecraft/whalecraft_index.html
http://antiquesandthearts.com/Antiques/AuctionWatch/2009-09-01__12-52-39.html 
http://americanhistory.si.edu/onthewater/exhibition/3_7.html