ヒゲクジラ類のヒゲ板・食事方法


ミンククジラ上顎のヒゲ板の配列と剛毛(繊毛)


セミクジラのヒゲ板(約3b)日本鯨類研究所


クロミンククジラ(南氷洋)のヒゲ板(30a)


「ミンククジラのヒゲ板」飾り用に湾曲した物・おさ花と呼ばれる


「ミンククジラのヒゲ板」上の画像の裏側の剛毛


上の画像のヒゲ板部分の拡大



ヒゲ板は上顎の下にぶら下がっています。

「クジラヒゲ」はヒゲクジラ類が小さい餌を集めて大量に採るための口中の特殊な器官です。

「ヒゲ」という言葉を使っていますが人の顔にある体毛ではなく、口中にある多数の三角板で歯ブラシのヒゲ様の粗い毛が板先についています。この毛は「剛毛」「繊毛」と呼んでいます。
ほとんどの哺乳類は餌をくわえ、食いちぎり、噛み砕く為の歯を持っています。しかしヒゲクジラ類には歯がなくその代わりに数百枚の直角三角形のヒゲ板を持っています。

「ヒゲ板」でプランクトンネットのように餌を濾しとります。クジラの種類により餌の濾し取り方が違い、鯨種と餌種類により大きい変化が見られます。
私達が食べているクジラベーコンになる「畝」、クジラのサエズリである「舌」、「口裂・下顎」も餌を採るために大きい役割を果たしています。噛まずに飲み込むため牛の様に胃が4個もあります。

食べ方はA:「呑み込み型」、B:「濾し取り型」、A+B:「併用型」、C:「掘り起こし型」の4タイプがあります。
研究者により「掬い取り型」「呑み込み型」とも云われています。

A:呑み込み型は「いったん餌を海水と共に腹いっぱい呑み込み、口を閉じ気味にしてヒゲ板と舌で海水だけを吐き出し餌だけをヒゲで濾し集めて食べます」
海水と共に餌を飲み込むため喉からヘそ付近まで弾力に富んだ畝があり、アコーデオンの蛇腹のように腹を膨らませたり縮めたりします。この種はヒゲ板が短く幅があり丈夫です。

B:濾し取り型は「大きい口を開けたまま表層を前進、餌が海水と共に自然に口へ入り多く並んだヒゲ板の隙間から海水だけが抜けて行き小さい餌だけを濾し取り食べます」
この種のクジラは口先部分にヒゲ板はなく海水が入りやすくなっています。そしてヒゲ板が非常に長く、剛毛は細く繊細です。口が体長の1/3と大きく、口裂はヒゲ板の長さに合わせ弓なり、アーチ状です。

A+B:併用型は両方の食べ方をします。

C:掘り起こし型は「海底表面や海底の泥と共に底生の餌を吸い込み、舌を使ってヒゲを通して海水と泥をふるいわけ中の餌を食べます」。このためヒゲ板はぶ厚く丈夫です。
コククジラは右の顔・右口を底につけて餌をとります。このため右利きといわれています。


コククジラのヒゲ板です。上顎だけにあります。


ザトウクジラの上顎のヒゲ板です。


クロミンククジラのヒゲ板。歯ブラシのブラシ部分に似ています。

【ヒゲクジラのご飯の食べ方】
【種名】 【摂餌タイプ】 【喉〜腹部】 【口裂】 【餌の大小】 【片側本数】 【平均本数】 【ヒゲ板の長さ】 【ヒゲ板の幅】 【ヒゲ板の色・剛毛の色】
ホッキョククジラ B濾し取り型 平坦 巨大な弓形 極小 230〜360 350 3b 以上最大5.8b 最大40a 暗灰色または黒色、、剛毛は銀色っぽい。
ミナミセミクジラ B濾し取り型 平坦 アーチ状 極小 205〜270 260 3bと非常に長い 最大30a 暗褐色〜灰色または黒色、剛毛は緑がかっている。
セミクジラ B濾し取り型 平坦 アーチ状 極小 205〜270 260 4bと非常に長い 最大30a 暗褐色〜灰色または黒色、、剛毛は緑がかっている。緑がかっている。
コセミクジラ B濾し取り型 平坦 弓状 極小 213〜230 230 68a 最大10a 象牙色〜白色、、剛毛は黒っぽい。
コククジラ C掘り起こし型 2本の筋 僅かに曲がる 140〜180 160 最大50a 最大25a 長く、ぶ厚い、目の粗いヒゲ灰色〜クリオム色。剛毛は黄色い、
ミンククジラ A呑み込み型 50〜70の畝 ほぼまっすぐ 小〜中 230〜360 300 20〜30a 約12a クリーム色を帯びた黄色または白色のヒゲ、丈夫な白い剛毛をもっている。
イワシクジラ A+B併用型 32〜62の畝 ほぼまっすぐ 小〜中 300〜400 340 75〜80a 40a 灰黒色のヒゲは金属光沢を帯びている、剛毛は白く著しくきめが細かい
ニタリクジラ A呑み込み型 40〜70の畝 ほぼまっすぐ 小〜中 250〜365 300 50a 最大25a 黒色またはネズミ色がかった灰色、剛毛は長く,濃い灰色硬くまたカールはしていない
シロナガスクジラ A呑み込み型 55〜88の畝 ほぼまっすぐ 270〜395 320 90〜100a 50〜55a 漆黒または青黒い。剛毛はきめが粗くダークグレイ。
ナガスクジラ A呑み込み型 56〜100の畝 ほぼまっすぐ 小〜中 260〜480 360 70〜90a 20〜30a 左側は暗灰色、右側は口前方が白色・クリーム色、後方は暗灰色。剛毛はシロナガスに比べて柔らかい、芥子色〜白色
ザトウクジラ A呑み込み型 12〜36の畝 後部が曲がる 小〜中 270〜400 330 70〜100a 30a 黒色または黄褐色。剛毛は灰白色

ヒゲ板とヒゲ板の隙間は6〜12ミリである。ヒゲ板はみんな直角三角形をし、奥に第2・第3のヒゲ板の並びがあります。この表は一番外側の第1ヒゲ板列の数値です。
A呑み込み型のクジラはシロナガスクジラを除き人が食べるイワシ、サンマ、タラ、サケ、ニシンなども大量に食べ人と競合関係にあります。

クジラの餌の取り型は不思議です!ジンベイザメ、マグロ、イワシなどの魚類が口を開けたまま遊泳しているのを水族館で見かけますが食べ方がよく似ています。
歯を持つハクジラも陸上哺乳類と違う不思議な食べ方をします。これは別ページで説明します。

(参考)
クジラとイルカの図鑑 日本ヴォーグ社
海の哺乳類 FAO種同定ガイド NTT出版
  クジラ・イルカ大図鑑 平凡社


ヒゲクジラのヒゲ板の識別サンプル

シロナガスクジラのヒゲ板

シロナガスクジラのヒゲ板の先端部分。ヒゲ板は漆黒。房毛(剛毛)は粗く黒っぽい。

ナガスクジラのヒゲ板

ナガスクジラのヒゲ板の先端部分。
ヒゲ板は暗黒色、黄白色又は青灰色の垂直な縞模様がある
房毛はシロナガスクジラに比べ柔らかい。色も薄い。

ナガスクジラのヒゲ板・右側前方の白色部分ヒゲ板。
口右側の前半分或は3分の1のヒゲ板は、普通左側より白っぽい。

ナガスクジラのヒゲ板・右側前方の白色部分の根幹部分

ナガスクジラのヒゲ板・右側前方の白色部分の先端部分。ヒゲ板と房毛はクリーム色

イワシクジラのヒゲ板。灰黒色のヒゲ板は金属光沢を帯びている。

イワシクジラのヒゲ板の根幹部分

イワシクジラのヒゲ板の先端部分。房毛は細かい

クロミンククジラのヒゲ板。暗褐色と白色のグラデーションになっている

クロミンククジラのヒゲ板の先端部分
(注)ミンククジラにはクロミンククジラとミンククジラがあります。

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