6月8日(土)臼井公民館で「障がい者の日常を学ぶ」という研修が開催されました。
これは聴覚障がい者の方への理解を深め、支援の必要性や方法などについてを学ぶために開かれた福祉委員対象の研修です。
今回は千葉県中途失聴者協会 北澤誠氏に、ご自身の体験などを踏まえ、中途失聴者の日常などについてお話しいただきました。
また「要約筆記サークル あうん」の荒木輝子氏にも福祉委員からの質問時の通訳としてのご協力をいただきました。
若い頃は舞台俳優を目指していたという北澤さんが聴覚障害を発症したのは今から約40年前、まだ20歳代半ばの頃。原因は不明でそれから徐々に、約10年で
完全に聴覚を失われたそうです。
「聴覚障害のレベル」は完全に聞こえない状況ですが、例えば身近でバケツが落ちた音や、マフラーを外したバイクの爆音がしたときには、身体がびくっと反応するとのこと。
ご自身も「聞こえていないはずなのに」と不思議に思われるそうです。
耳が不自由というと、とかく私たちは一括りに「聞こえない方」と考えがちですが、実際には難聴者レベルもいろいろと違うため、対応も本来は違わなくてはいけないのです。
例えば、同じ難聴者レベルだとしても、先天的に聴覚が失われている場合には、人の声を聞いたことがないので話すのが苦手になりますが、
基本的に中途失聴者の方は話すことには不自由しない方も多いと言います。
実際今回の北澤さんは時にはカラオケまで楽しむという方。お話しを伺っただけでは難聴者には見えません。
高音部が聞こえない方、低音部が聞こえない方、障がい者レベルによっても聞こえ方が違います。
昨年の視覚障がい者の方のお話しを伺ったときにも「すべての人の状況が違うのが現実」というお話しがありましたが、やはり「一括りで考えがちな私たちの先入観」についても考え直さなければいけないと思いました。
今、千葉県内では約30万人、佐倉市でも約8,000人の難聴者がいるそうですが、これは「補聴器購入のリピーター」からのデータだそうです。しかしこの補聴器についても、難聴のレベルによって 負担が変わってきます。「レベルの違いがあったって“聞こえない”ことには変わりがないのですが……」という北澤さんのお話は、とても印象的でした。
この研修を通して北澤さんが伝えられた「聴覚失聴者の願い」というのは「情報不足への対応」です。
いろいろなケースで放送される防災無線、災害時、非常時の情報のみならず、買い物時のバーゲン情報だって必要な情報です。
こうした情報がいかにスムーズに聴覚失聴者の方へ届けられるのか、コミュニケーション手段をいろいろ考えて行く必要があると思いました。
「耳が聞こえなくても、普通の人が普通に暮らす街で同じように」耳の不自由な人の願いです。