2010年8月


31 August, 2010

 千葉市美術館の「田中一村 新たなる全貌」を見に行く。
 幼少の頃からあのアダンまで、まさに田中一村の軌跡をたどる渾身の企画展。新出の作品も多く、構成もうまくて見応えあり。今年の千葉市美は、若沖といい、力が入っている。
 それで思ったのだけれど、田中一村という人は確かに幼少から絵がうまい。でも、最初はそれだけの人だ。たとえば、芸大とか、武蔵美とか、多摩美とかの日本画の学生で、もの凄くうまい人なら、この程度は書くんじゃないかという気がしてくる。30代くらいの公募展に盛んに出展していた頃の作品など見ると、うまくて綺麗なのだけれど、それだけの人だと思う。落選を重ねたと言われると、そうかなと思う。そのあたりが、芸大で3ヶ月だけ同級生だった東山魁夷との大きな差だ。東山の絵は若くして、うまいだけを凌駕していた。その点で、やはり天才は田中ではなく東山なのだと思った。
 その、うまいだけの絵が、ある時点で変わっていく。千葉を出て奄美に移るあたりから、絵に静謐さと緊張が漂う。多分、田中は自分の周囲にある色々なものをそぎ落としたのだ。絵で食べていきたいとか、世間に認められたいとか、そういう野望や欲を全てそぎ落として、自分のためだけに、自分の心も思うままに絵を描こうと決めたような、純粋な絵。うまいだけではなくなる。なにかもっと、田中の人生をかけた叫びが溢れる。そして、あのアダンの絵に至る。
 これまで機会あるごとにアダンの絵を見たけれど、今回の展示が一番納得できた。これは画家の最期の自己証明。


30 August, 2010

 お医者さんが変わっても、お昼はベトナム料理。クリニックのそばに、ちょっとおいしいシンガポール料理もあるにはあるのだが、私は午前中早い時間に診療して貰うので、ランチには早すぎて、結局千葉まで戻ってベトナム料理なのだった。
 今日は、もやしとトマトと厚揚げのピリ辛おすまし、ゴーヤーとイカの塩味炒め物、大根と豚の角煮、揚げ春巻き。おいしい♪。


27 August, 2010

 朝、出勤したら、遺物の箱の中でムカデが一匹死んでいた。博物館に虫は大事件だ。面倒なので事務に見つからないようにティッシュでつまんでポイしてしまった。すると、Fさんが仰る。
 「ムカデって、夫婦でいるって言わない?」
 「そうなの?」
 「一匹見つけると、必ずもう一匹いるって。」
 「まさかあ・・・」
 なんて会話をした午後、本日は中学生の職場体験。中学生に実測を教えていたら、その子の足下でうごめく影・・・。
 「アキモトさん、ムカデだ・・・」
 今度は生きているムカデだったので、さすがにまずいと思った私は、ガムテープにムカデを貼り付け、事務に引き渡した。だから博物館に虫は禁物・・・。
 「やっぱり夫婦でいたんだわ・・・」とFさん。「この部屋で、どうやって生きていたのかしら・・・」
 「ムカデって何食べるの?」
 「肉食じゃない?」
 「じゃあ、食べ物はないじゃない・・・」
 「外から迷い込んだムカデの夫婦、夫は食べるものを探しに出かけ、遺物箱の中で餓死し、夫の身を案じて探しに出てきた妻はガムテープに捕らわれて焼却処分・・・」
 私今、ものすごく罪悪感感じてるんですが・・・。


26 August, 2010

 3年半通っていた病院を変えた。色々理由はあるのだが、まあ、それは個人的なことなのでここには書かない。新しいクリニックは都内なので少し遠くなった。そして、単純だった病名が少し複雑になり、薬が増えた。
 以前の薬の副作用はだんだんと身体から消えつつあるのだが、新しい薬の副作用らしきものが現れた。飲み始めの頃はとにかく眠くて、一日中眠ってしまった。これは身体が慣れてきたみたいだが、夜中に目が覚め、朝まで眠れなくなった。でも、3時間ほどの間に熟睡しているらしく、今のところ社会生活はできている。
 薬の服用以前に、いろいろと改善しなければならないところあり。でも、どうもそちらはあまりうまくいきそうにない。歳をとると、人間、単純になるところと複雑になるところがあって面倒だ。


24 August, 2010

 「特攻野郎Aチーム THE MOVIE」見ました。なにしろ、テレビシリーズは土曜日3時に放送されていた頃からのファン、特にジョージ・ペパードのハンニバルはもうあこがれのおじさまだったので。でも、テレビシリーズの映画化は日米問わずあまり成功しているとは言い難いし、Aチームに関してはキャストが全く違う。オリジナルキャストにしてー!!と叫んでも、お亡くなりになったジョージ・”ハンニバル”・ペパードをはじめとして、皆様相応に歳をとられて無理な話。それで、これは映画なのだから、オリジナルと違うのだから、と心して見に行きました。
 結果、面白かった!!もう、あれはAチームを心から愛している人たちが作ったに違いない!モンキーのソックスネタから、コングの飛行機嫌いネタから(しかも、何で飛行機嫌いになったかのおまけ付き!)もうすべてがテレビシリーズへのオマージュたっぷり。一番心配だったブラッドリー・クーパーのフェイスも(だってオリジナルのD・ベネディクト氏は典型的優男、クーパーは今風野性的)登場からしてフェイスだったし、リーアム・ニーソンのハンニバルは、ジョージ・ペパードへの尊敬すら感じられました。ただ一つ、残念だったのは、“絶対人殺しはしない”Aチームではなかったこと。Aチームの魅力は人殺しはしないで作戦は奇を持ってよしとするところなのだけれど。
 そして、最後、クレジットでさっさと帰ってしまう人たちを尻目にじっとスタッフロールを見続けると、あの懐かしい(そして私の携帯の永遠の着メロでもある)Aチームのテーマとともに、テレビシリーズファンへのご褒美まで待っておりました。テレビシリーズが好きな人、最後まで絶対出て行っちゃ駄目よ!!
 映画の一時、心ゆくまで楽しめて、なんだか懐かしい気持ちにさせてくれる、Aチームファンへのご褒美のような映画でした。私が見たのは字幕版だったのですが、吹き替え版にはかつてのハンニバル役の羽佐間道夫さんがとある人物を当てていらっしゃるそうなので、DVDが出たらまたレンタルしたいと思います。


23 August, 2010

 だらだらと過ごした8月も気がつけばもうすぐ終わり、秋の虫たちもちらほら鳴き出し、朝が遅くなり、夕方が早くなり、そして朝晩は少し涼しくなった。心なしか、今日の空は秋っぽいねえ、などと職場の話題。
 なんて話をエアコンきいた室内でしていて、仕事終わって外へ出たら暑かった・・・。まだまだ残暑は続くのね・・・。


19 August, 2010

 「戦争について語る季節」が終わって、テレビも新聞も通常営業に戻る。管政権になったおかげで、8月15日が「行くか行かないかの日」ではなくなったのは大いに評価できる。8月15日は祈念の日であって、踏み絵のような「行くか行かないかの日」ではない。TBSのドラマ「帰国」が見応えあった。思うことは様々だけれど、この国は色々な点でおかしな所に来ているけれど、それでも、65年もの間、国家が戦争をしなかった(正確には、国家が直接戦争をしなかっただけで、間接的に戦争に協力したりしてはいるけれど)ということは、世界史的にはすごいことだって私は思う。この記録をもっともっと伸ばしていけたら、いいのにって思う。


18 August, 2010

 お盆休みはだらだらと過ごし、ちっとも痩せられなかった・・・。あああ。近くのレンタルビデオ屋が新作も80円セールだったので、つまらない新作を見まくることになった。「アバター」なんぞ、FFにしか見えなかった。でも「第9地区」は面白かった。
 しかも、この暑いのに、鋸山などに登ってしまった。それもサンダル履きで。おかげで変なところの筋肉を使ったらしく、未だにふくらはぎが痛い。紅葉の時期とかに行けばいいのに、なんでこんな暑いときに、サンダル履きで登山・・・。頂上からの景色は綺麗だった。


14 August, 2010

 歴博の講演会に行こうと思い、お昼は歴博そばのカフェのワッフル食べようと楽しみにしていたら、カフェがお盆でお休み。仕方なく、インド料理を食べていたら、本日おろしたてのTシャツにカレーのシミが・・・。あわてて家に飛んで帰り、漂白剤使って洗ったら、カレーのシミは取れたけれど、他の所の色が微妙に変わった模様・・・。そのまま洗濯機に放り込んで洗濯し、時間がありそうだったのでもう一度急いで歴博にとって返したら、一般駐車場が混雑で入れず・・・。職員駐車場に回ろうかと思ったけれど、もう疲れたので帰ってまいりました・・・。なんか、ついてない一日です。


10 August, 2010

 もうすぐ千葉で田中一村の大きな回顧展があるので、その前にこの人の絵が見たくなった。田中一村が三ヶ月間だけ芸大の学生だったときに同級生だった人、一村が病と経済的な理由で芸大を辞めたあとも芸大でその才能を欲しいままにした人、一村が最後まで自身のライバルだと思っていた人、でも、その人は、三ヶ月間だけ同級生だった田中孝(一村の本名)を全く覚えていなかった。その人は、東山魁夷。
 市川に長く住んでいらした縁でそこに小さな記念館があり、以前から行きたかったので、いい機会だから行ってきた。小さな美術館なので、作品もそんなに多くは展示されていなくて、企画展が中心。今回の展示はリトグラフが多かった。だから、あの圧倒的な東山的青はあまり見られなかったのだけれど、かつて見た東山の絵を色々と思い出したりして、なかなかよい美術館だった。
 東山の絵は、誰かのために描かれている。たとえば唐招提寺障壁画。あれは、鑑真和上のために描かれたものだ。だから、とても包み込むように暖かい。きっと、盲目となってこの国の土地を踏んだ和上のために、彼はこの国の海と森、そして、ついにこの国で果てた和上のために故郷の揚州の柳を描いたのだ。あのやさしさは、絵を見るものの心を包み込む。
 田中の絵は、自分のために描いている。認められない悲しみ、悔しさ、プライド、狂おしさ、それが昇華されて、あの鬼気迫るアダンになる。見るものに緊張を強いる絵。彼は日本のゴーギャンといわれるけれど、その信条はゴーギャンよりもゴッホに近い。ゴッホも認められない狂おしさとプライドの狭間で、狂気に落ちていった。一村の絵は、その狂気の一歩手前にいて、見るものに彼自身を突きつける。
 どちらがいいのか、どちらもも甲乙付けがたい芸術の至宝だけれど。きっと、若い頃の私は田中一村が好きだった。でも、今の私は人のやさしさに敏感なので、東山の絵に惹かれる。


08 August, 2010

 ラベンダーを収穫。本当はつぼみのうちに収穫するのが一番なのだろうが、庭にある花なのでついつい欲を出して咲かせてしまい、花が咲き始めたときに収穫するつもりが、暑さにかまけて放っといてしまい、と、気がつけば花も終わる頃。どっちにしても、剪定してやらないとかわいそうなので、ついでに収穫。我が家で使うポプリにするので、茎も葉っぱも全てざく切りに。ラベンダーは花だけしか香らないと思う人、違います。結構、葉っぱも茎もいい香りです。それに、ローズマリーも少しブレンドする。今、部屋の中は結構いい香りに。今の時期は暑いので、きっと数日で乾いてしまうから、そうしたらラベンダーとローズマリーのオイルとブレンドして、ガーゼで包んで、タンスの引き出しに。防虫効果と、服に付くかすかな香りで着たときにさわやかな気持ちになるという二重の効果が期待できます。


07 August, 2010

 矢作俊彦の「傷だらけの天使 魔都に天使のハンマーを」読了。こんな本、いつでてたんだと思って奥付を見たら、一昨年だった。私のチェックをよくも2年も免れたわね・・・。
 さて、傷天だ。あの、オサムちゃんとアキラちゃんの傷天だ。私は、リアルタイムで、金曜夜10時から全話見ていた。確か小学校6年生だった。(ここで私の年齢を計算しないでください。)とはいえ時代は現代、オサムは50の坂をとうに越え、新宿を離れてホームレスをしているという設定。その彼が、事件に巻き込まれて新宿に戻って来るという話。アキラの死が殆どトラウマになりながら、かなりさえない現代青年を新しい相棒にとても50代後半とは思えない(計算すると、実際は60代くらいになっているんじゃないかと思うのだけれど、小説の中では50をとうに越えという表現になっているので、)行動力で巻き込まれた政治的大陰謀を阻止するというもの。綾部さんや辰己さんなど、懐かしい顔も意外なところで登場。オサムの息子の健太も意外な形で初登場。(ドラマでは名前しか出てこなかったので。)
 でもね、これやっぱり矢作の小説であって、市川森一の傷天じゃない。矢作の小説だから、オサムちゃんも全然オサムちゃんっぽくなくて、なんだか二村さんとかマンハッタン・オプとかになっちゃってる。なんか妙に精練されて、かっこよくなっちゃって、傷天の泥臭いところが無くなっている。それが今らしいといえばそうかもしれないけれど。ってかね、矢作、これまでの作品は横浜至上主義で新宿を小馬鹿にしてたでしょ。それなのに、新宿が聖地の傷天ってのはどうなのさって、私は思っちゃうわけ。
 最後まで、面白く読めたのだけれど、できれば市川版傷天だったらよかったのにと思う。でも、きっと市川さんはそれは蛇足だって思いそうだなあ。あ、ひさしぶりに傷天が見たくなったのだけれど、どこかで再放送してくれないかなあ。再放送してくれるなら、WOWWOWにだって入っちゃうんだけどな。


06 August, 2010

 今日も職場は一人きり。でも、さぼらないでちゃんと仕事したぞ!!(誇るほどのことではない、アタリマエのことだ。)なんて言っていたら、広報のO田おにいさんがやってきて、今年の職場体験の追加分を持ってきた。10月は毎週だ。さあ、頑張らなくちゃ。
 とはいえ、このところ人と接するのがやや苦手モード。まず、そこを克服することだな。私、疲れが溜まってるんだ・・・。


05 August, 2010

 今日は仕事場で一人きりだったので、午後から勝手にお休みにして、印西のアウトレットまで出かけてみる。いつも八千代を回って行くのだけれど、実は佐倉を回った方が近いことに気付く。まえから、そうじゃないかと思っていたのだけれど、やっぱりそうだった・・・。これなら一人で行けるし、仕事の後でも行ける。こんなものかという気持ちになる。

 心のゴミ捨てはとりあえず終了。まだゴミだらけだけれど、すこしすっとした。友人に感謝。私、男運は悪いけれど、男友達にだけは恵まれている。


01 August, 2010

 8月になりました。今年も折り返して早一月・・・。この歳になると一年の早いこと・・・

 明日は家出をして、心のゴミを捨てに行く予定なので、更新も掲示板のレスもありません。ゴミ捨てられればよいですが、溜まりすぎてるからなあ。