春から秋にかけて、水田近くを歩いていると、様々な花たちに出会うことができる。春に咲くもの、夏の暑い盛りに見られるもの、秋に見られるもの。季節によって同じ道筋でも出会うことができる花はかわる。秋に田のふちで白いキクのなかまに出会うことができた。10月のおわり、ちょうど、カラスウリの実がスイカのような模様から独特の朱色に姿を変えるころだ。花は2cm半くらいで、たくさん咲いていた。野菊の清楚さが感じられる。ユウガギクだ。ヨメナ属で、カントウヨメナとはよく似ている。葉がカントウヨメナより薄く、羽状に中裂し、カントウヨメナのあらい鋸歯がある卵形に近い葉より形はバリエーションがある(図1)。上部の葉は切れ込みはなく線形をしている。
図1
左:ユウガギク 右:カントウヨメナ
ユウガギク(柚香菊)の名は柚のような香りがするためについたそうであるが、香りは強くない。「優雅菊」ではないが、それでもよいような感じを受けるし、「清楚菊」でもよいような気がする。花は淡紫色を帯びることがあるが、今回、出会ったものはほぼ白色であった。カントウヨメナの花の方が淡紫色が強い傾向がある。
野菊のなかまは非常に多く、見分けるのが大変だ。それでも、図鑑などを見ていると関東より東海、関西、四国、九州方面のほうが種類が豊富なようだ。地域性も強い。そのため、関東に限れば、ある程度、種類が限定されてくる。環境によってもさらに限定される傾向がある。
適度な大きさの白い花はなんとなく、気持ちをやわらげてくれる。集まって咲く傾向があるため、あぜ道に白いベールがかかったように咲いていた。