ヨシノボリは身近なハゼ科の魚類だ。北総地区でも川や湖沼があれば、必ず見つかる。全長は十数cmまで成長する。腹鰭が吸盤上になっていて、岩などに吸い付きやすくなっている。水生昆虫や藻類などを食べている。ヨシノボリは両生で、海と陸水の両方が生活の場だ。小さな稚魚が海から遡上してくる。ヨシノボリはもともとは「ヨシノボリ」の1種とされていたが。現在は数種に分類されているとのことだ。「オオヨシノボリ」「クロヨシノボリ」「ルリヨシノボリ」などの種類がある。それらの種が日本全国の広い地域に分布している。神奈川県総合水産研究所内水面試験場(http://www.agri.pref.kanagawa.jp/suisoken/naisui/n_index.asp)では9種類に分類されるとの記載がある。その他、十数種類に分類されていることもあるが、まだまだ、確定はしていないようだ。「カワヨシノボリ」という海に戻らない種も別にある。ヨシノボリの各種は体色や体形が微妙に異なる。ただ、個体ごとの変異もあり、見分けるのは難しい。
このあたりで簡単に捕まえることができるヨシノボリは「クロヨシノボリ」と思われる個体が多い。しかし、よく見ると「ルリヨシノボリ」にも非常に似ている。体の模様などは「ルリヨシノボリ」のように見える。ただ、ルリヨシノボリ特有の頬にある瑠璃色の斑点が見られない。各種ヨシノボリの分布や特徴(眼を通過する、眼の下の頬を通過する線状の模様があること、体側の斑模様)からこの辺りにはトウヨシノボリの偽橙色型が多いようである。
稚魚や若いヨシノボリは浅い場所で群れていることも多いので、見つけやすい。ただ。上から見ていると魚類は区別しにくい、側面から見ることができれば、ハゼのなかま特有の体形を確認できる。また、網などでも簡単に捕まえやすいので、1回、捕獲していから、観察するとよい。どこでも、見られる身近でタフな魚である。
<写真 上:印西市戸神川 下左:佐倉市印旛沼 下右:北総花の丘公園、稚魚>