ヤマハッカはシソ科の植物。ハッカと言えば、独特の香りがするが、このヤマハッカには香りはない。ハッカをはじめとする多くのハッカのなかまはハッカ属に属するが、ヤマハッカはヤマハッカ属と属名が違う。シソ科は野外ではキク科に次ぐと言ってよいほど目にする植物のグループだ。有名なものだけでも、ヒメオドリコソウ、ホトケノザ、カキドシ、ハッカ、トウバナ、イヌコウジュ、キランソウ、タツナミソウなど数多くある。
そのような中でも、ヤマハッカは花の形が面白いので、区別しやすい植物かもしれない。花の形が犬ないしは狐の顔のような形をしている。これは下唇のふちが内側に巻き、おしべ、めしべを包み込むようになっているためだ。めしべ、おしべはこの下唇に包まれているが、虫がとまると開き、顔を出すしくみになっている。高さは40、50cmほど。1mくらいにはなるようだ。枝先の花穂に花が並ぶ。花は写真の通り、花穂の下にいくほど犬様?になる。この、花の形を覚えていれば、区別はしやすいと思う。花が見られるのは9,10月ころ。地下茎があり、茎はここから地上に立ち上がり、下向きの毛が密生する。上唇は4裂し、前面のものには紫色の筋が目立つ。葉は対生で、鋸歯がある。
写真のものは印西市、県立北総花の丘公園のものだが、気をつけてみれば、いろいろなところで見つかると思う。花の丘公園では定期的に草の刈り込みを行っているが、刈られた広場のはじのほうで、ひそやかに咲いていた。