団扇を持つウチワヤンマ

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 ウチワヤンマは「ヤンマ」という呼称がつくが、サナエトンボ科のトンボだ。サナエトンボ科、オニヤンマ科、ヤンマ科のなかまに「ヤンマ」のつくトンボたちがいる。「ヤンマ」という呼び方がつくトンボたちはどれも大型でグラマラスな体形をしている傾向にある。

 ウチワヤンマは団扇ヤンマの意で、尾部に団扇形の突起が目立つトンボだ。メスは単独で産卵する。オスはその間、旋回し、警戒行動をする。縄張を主張するタイプで、開けた水面のある場所を好むトンボだ。今回のものは戸神川が神崎川に合流する河口付近で見られた。夏は戸神川も神崎川も岸辺にアシやガマなどがたくさん繁茂する。そのような植物が根元の土壌ごと、岸から離れて浮島となることもある。今回はその浮島でウチワヤンマが見られた。浮島の植物の葉を基点に、周囲を飛び回り縄張の確認をさかんにしていたようだ。ところが、浮島のため、位置がどんどん変わる。それに気づかず浮島から一定の範囲を周回飛行していた。最初は、遠くに見えた浮島だが、移動して岸のすぐ近くまでやってきた。ウチワヤンマはそんなことにはお構いなく浮島を守っている。おかげで、間近で観察、撮影することができた。

 尾部の突起は文字通り、団扇のようでよく目立つので、他のトンボと見間違うことはないであろう。大きく、立派で、形も特徴的で見ていて飽きないトンボだ。

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