ウラシマソウはサトイモ科の植物。このなかまにはウラシマソウとよく似たマムシグサ、菖蒲湯に使われるショウブ、尾瀬のような高層湿原の植物の代名詞として有名なミズバショウなど多くのなかまがいる。これらの植物は仏炎苞と呼ばれる苞が目立つ植物だ。この苞の中に小さな小花が集まっている。
ウラシマソウも紫の仏炎苞を裂くと細かな小花がある。雌雄異株なので雄花は雄花だけ、雌花は雌花だけの花序をつくる。ただ、中には雌花、雄花が混在した花序も見つかることがある。ウラシマソウは花序の先端が長く伸び、これが苞から飛び出しており、独特の姿をしている。この長く伸びた付属体を浦島太郎の釣竿にたとえて「ウラシマソウ」の名がついている。なかなか、想像性豊かな命名だ。この釣竿?がないとマムシグサの可能性が高い。
ウラシマソウは地下に球茎があり、子球をつくって栄養繁殖する。明るい場所は好まず、暗いところに多い。放置された雑木林のけもの道や林縁の暗い場所で見つかることが多い。写真のものも水田わきのあまり手入れがされていない雑木林の縁で見つかったものだ。
葉は根元から1個出て鳥足状の複葉となる。これはかなり大きくパラソルのようだ。苞も毒々しくきれいではないが、あれば必ず気づく植物といえる。