印旛沼水系のトウヨシノボリ 戻る
印旛沼水系、主に印旛沼、新川、鹿島川、高崎川、さらには神崎川、戸神川、手繰川、小竹川等でもっとも一般
的な魚類はハゼ科のトウヨシノボリであろう。
このヨシの茎の張り付くことから命名されたとも言われる魚は本当に身近な魚である。
一方、かなり複雑な魚でもある。かつてはヨシノボリと一括して呼ばれていた。個体変異が大きいため、各タイプに分けられていたが、それ
がいくつかの種として分類されるようになった。しかし、和名のみで学名は正式には新たな種(タイプ)ごとにはついていないようでようであ
る。
そのうちの一、トウヨシノボリが印旛沼水系の主役である。しかし、トウヨシノボリは多くのタイプが存在する。
トウヨシノボリは印旛沼水系でもっとも身近でかつもっとも新鮮な魚であるといえる。多くのタイプ、つまり、形や体色のものに出会える。
また、周囲の環境による体色変化もある。
その様々なタイプを少しずつ記録していきたい。今回はその第一とする。
紹介していくヨシノボリはトウヨシノボリと認められることを前提としていく。
これに関しては「日本産魚類検索 全種の同定(東海大学出版会)」による。
写真1
全体に体側の斑はないが観察方向により薄く見られる場合がある。鱗ごとに明瞭な橙色部分が確認される。
背鰭、特に第1背鰭は黒色が目立つ。第一背鰭、第二背鰭、尾鰭ともに末端に橙色の縁取りが目立つ。一方、胸鰭は透明。
尾びれ付け根は橙色が目立つもの、薄いものが見られる。
動きは黒色系に比べ活発なものが多い。
写真2
黄色系と言ってもよい中庸な色合いのタイプ。写真のものは雌だと思われる。
第二背びれの縞が明瞭。尾鰭は透明感がある。
体側の斑は明るい褐色で7つ。
写真3
割合、多く見られるタイプ。黒色が強い。
体側の斑は7つ。第一背鰭は黒色に縁が橙色。
尾鰭付根の橙色は目立つものと薄いものがいる。
底に張り付き動きは鈍いものが多い。
これらのタイプの共通点としては胸鰭に関しては透明感があり、付根に発色や目立つ模様は見られない。
また、いずれのタイプも尾鰭付根に橙色を呈するものが存在する。さらに尾鰭付根に「カモメ型模様」を示すもの(雌と思われる)が見られる。