チョウゲンボウ、身近な猛禽

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 印西市の南部は新川、神崎川をはじめ多くの河川があり、その周囲には割合、面積が広い水田、休耕田が広がっている。さらにそのバックには丘陵地帯がある。神崎川の両岸に広がる平地はもともとは水田として利用されていたのであろう。今は、水田もあるが休耕田となっているところも多い。この休耕田は草地となっているものや、まだ、多くの水分を含み泥地化しているもの、一部に水がたまり、小さな水たまりになっているもの、湿地と化しているところなど見ているとなかなか面白い。当然のこととして、夏にはトンボを中心とする昆虫が多く見られる。ノシメトンボ、シオカラトンボ、ハグロトンボをはじめチョウトンボなども見られる。植物では、アギナシ、コナギ、イヌホタルイなど水生植物も見られる。ヨシ、ガマも多い。そのようなヨシ原や草地を元気よく飛び回っているのはセッカ。元気のよい「ひーひーひー」「ちゃちゃちゃ」という声が響く。アマサギ、チュウサギも休んでいる姿がいつも見られる。ときどき、大型のサギがばさばさと降り立つ。なかなか派手な色合いのアオサギだ。夏の日中は隠れる場所もなく、暑さが耐え難い場所ではあるが、朝方、夕方であれば、次々に見るべきものがあらわれる楽しい場所である。
 さて、そのような場所でふっと上空を見上げると、小型の猛禽がホバリング(停空飛翔)している。チョウゲンボウだ。ハヤブサ科の鳥で、通年、日本にいるが低地には冬に多く見られるそうだ。元来は山地、丘陵地などの崖で営巣する鳥であったが、最近はビルなどでも営巣するそうである。高架や橋梁にも営巣するそうだ。
 チョウゲンボウ区別すをるための特徴をみてみよう。まずはホバリング。よくホバリングするのでじっくり観察できる。大きさはハト、それより少し大きいくらい。このホバリングが第一の特徴。次に飛形。猛禽のなかまは飛行中の翼の先端の形によっていくつかのグループに分けることができる。チョウゲンボウの翼は飛行中、先端が割れることなく、尖っている。また、ホバリング中、尾羽を広げていることが多いが、このとき、尾羽の先端にそって黒い帯が目立つ。グライディングなどでは尾羽はまっすぐに伸び、このとき、尾羽は四角ぽく、長く見える。また、枝や棒などに止まると顔にある模様で区別しやすい。目から頬にかけ独特のマスク状の模様がある。オス、メスの区別は後頭部のいろの違いでわかる。オスはグレーっぽく、メスは茶色っぽい。
 捕食行動は前述のホバリングで獲物を見つけ、降下して捕らえる。観察しているとホバリング中、頭をうなだれ、下方を確実に探索しているのがわかる。獲物が捕まらないと、また、ホバリングにはいる。成功率はそれほど高くないようで、すぐにホバリングにもどることが結構多い。うまく、獲物を捕らえると、電柱のステップなどにとまり、足で獲物をおさえて食う。獲物はネズミやモグラなど小型の哺乳類やその他、小動物、昆虫などである。本当に無駄なくしっかりと食べてしまう。
 やはり、猛禽は見ていて飽きない。千葉県北西部のこのあたりから、茨城県にかけてはチョウゲンボウの繁殖地になっているとのことである。うまくすると営巣地を見ることができるかもしれない。継続的に観察してみたいと思える対象だ。
 左:棒先に止まるチョウゲンボウ、右:飛翔中のチョウゲンボウ
左:セッカ、右:アマサギ

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