冬、ツグミ

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 冬らしい鳥といえば、多くの水鳥たちがいる。しかし、公園や身近な林、野原などで冬らしい鳥といえば、ツグミを上げてもよいであろう。シベリア北東部で繁殖するというこの鳥は10月ころから日本にやってくる。体長が24cmくらいで目立つ。スマートな体形や、赤褐色と黒のコントラストの強い背面、腹部側の黒斑なども印象に残りやすい鳥だ。
 スズメ目ヒタキ科ツグミ亜科の鳥で、渡来直後は大きな群をつくっているが、徐々に小集団化する。植物、昆虫などを食べる。今でこそ、見ることにより冬を感じる対象となっているツグミだが、戦前は食として冬を感じさせる鳥であったようだ。ツグミ猟の最盛期にはかすみ網で年間数百万羽が捕らえられていたとのことである。今でも密漁の対象になることがあるとのことであるが、どうなのであろうか。こんなことを調べていたら、小さなころに、連れられて野鳥料理を食べにいったことを思い出した。どうも、ツグミやスズメの鳥そのままの姿が気になって、食べられなかったことを覚えている。同じなかまで、割合、身近にいるものにアカハラやシロハラなどがいるが、アカハラはツグミより目につくことは少ない。また、シロハラは林、藪の中にいることが多く、目につきにくい。よく林縁をあるいていると藪の中でごそごそ、かさっと音がすることがある。小動物が移動しているのかと思うくらいの音がする場合もある。このようなとき、よく見てみるとシロハラがいることがある。シロハラはなかなか林から出てこない鳥だ。それに比べ、ツグミは落葉した樹木、公園や田などの平坦な地面、庭の木などにもよくやってきてくれる。よく目につく鳥だが、どこか、ヒヨドリやカラスなどのようなずうずうしさを感じさせず、警戒心をもっているようなところがある。そのようなツグミの性質のためもあり、冬という季節とつながるところがあるのかもしれない。
 ツグミは春とともに、日本から故郷のシベリアに帰っていく。また、10月ころにに若いなかまをつれてやってくることだろう。

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