冬に見られる鳥で印象的なものにタゲリがいる。このチドリ科の鳥は形、色、動作のいずれも特徴的だ。北総では冬季に水のない水田で見られることが多い。はじめに見たときは水田から飛び立つ姿を見た。黒と白の強いコントラスト、飛ぶときの翼の動きの異様さが印象的だった。翼が上下にしなるようになる。特に翼を下げたときは、まるで翼で何かを抱えるように湾曲する。その後、別の日に水田にいるところを見ることができた。白色と黒色の体、後方に伸びた冠羽がはっきりとわかり、タゲリであることを確認した。
タゲリは体長30cmほどの鳥で、世界中で20数種類のタゲリ属の総称として使われることもあるが、種タゲリがあり、これが今回、確認された鳥だ。タゲリ属は世界中に広く分布しているなかまだ。種タゲリは日本には一部の繁殖例を除き、冬鳥として渡来する。夏はユーラシア大陸の広範な地域の草地で過ごしている。降り立った水田で昆虫や種子を食べているようだ。タゲリは黒色の背面、白色の腹部が基本だが、黒と白が独特の体色をなしている。顔面は白地に黒い縞が複雑にのびている。飛ぶと白色の雨覆部と黒色の風切部が対比的に見え、目立つ。「ミューミュー」という感じで鳴き、これが猫の鳴き声のようなので「ネコドリ」とも言われるそうだ。今回、観察したときも、その特徴的な声を発していた。
色は黒と白で決して派手ではないのだが、大きめの体と体色のコントラストの強さ、目立つ冠羽、特徴的な飛び方、特徴的な鳴き声で印象の強い鳥で、実際に見ると感動する。他の鳥とはどこか雰囲気が異なり、エキゾチックな感じがする。