あらためて、スズメ

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 スズメは本当に身近な鳥だ。市街地、水田、川原、畑地といたるところで出会うことができる。スズメ目ハタオリドリ科。スズメ目スズメ科スズメ亜科という分類もあるようであるが、多くの図鑑や書籍ではスズメ目ハタオリドリ科と掲載されていることが近年では多いようだ。ハタオリドリはアフリカ、南アジアに生息する鳥の一群で、枯草、その他を織り、巣を作ることからこの呼称があるようだ。前述のように、この鳥の科にスズメのなかまも入れられようになったようだ。スズメ目は小鳥の多くを含み、鳥類の半分以上の種を含み、50ほどの科を占める。

 スズメはあまりに、身近にいる鳥のためにかえって、じっくりと見たことがないという人も多いかもしれない。よく見ると、色こそ茶色、黒、白と地味ではあるが、模様は結構、複雑な鳥だ。スズメは繁殖期には、はっきりとしたものではないが縄張りをつくる。それ以外の時期は集団で暮らし、ねぐらをつくる。しかし、全部がねぐら生活をするかというとそうではなく、ねぐらをつくるのは若鳥が多いそうだ。餌は種子や昆虫など。鳴き声は有名な「チュンチュン」をはじめいろいろな鳴き方をする。

 スズメはどこにでもいて数が多いためか、ことわざでは「雀の巣も構(く)うに溜る(スズメはわずかなものを運び、ついには巣をつくりあげるの意。塵もつもれば・・・というような意味)」や「雀の千声、鶴の一声(つまらぬ者の千言より、すぐれた人の一言に価値があるという意)」のように「たいしたことがない」とか「とるにたらない」という意味で用いられることが多い。しかし、スズメの代弁をすれば「環境を選んだり、絶滅に瀕していたりするデリケートな鳥にくらべれば、私たちはどこでも、逞しく、みんなで暮らしているぞ。」と言っているかもしれない。スズメは山地から平地、市街地から農村まで大量にいて、生態系の一翼を確実に荷っている。「空のイワシ」と言えるような鳥だ。

 

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