シメ、太っている?

戻る
日本野鳥の会の「フィールドガイド・日本の野鳥」でシメの項目を見ると「L18cm 太っている」の記載が最初にある。ちょっと、「突然!」と思うような表現をされている鳥だ。シメは本当に太っている鳥なのか。
 シメがこのあたりで見られるのは冬だ。北海道で繁殖して、冬季にやってくる。落葉樹の林に飛来し、種子を中心に食べる。写真のものは花の丘公園で散策中にみつけたもの。前方を黒、白とやや赤みを帯びた褐色が目立つ鳥が通過して、池にはり出した木の枝にとまった。双眼鏡で見てみると嘴が太く、大きめだ。体色は頬から首にかけてグレー、のど元、嘴の付根が黒色だ。確かにずんぐりとした感じがする。ただ、太っているとまでは言えないような気もするが。飛翔中に目立つ白色は初列風切基部と大雨覆の白色のためだ。種子を中心に食べるためか、嘴は大きめで頑丈そうだ。上嘴のほうがちょっとでっぱって見えるようなときがある。写真の固体はメスのようで、あまり、目立つ体色ではない。腹は赤っぽい茶褐色、独特の色合いだ。アトリ科の鳥で、やはり、同じなかまのイカルと似ている。イカルとは体色の違い、嘴の色(イカルは黄色、シメは淡灰褐色と図鑑では記載してあるが、やや、肌色気味にも見える)、尾の長さ(イカルのほうが長く、先端中央部が凹んでいる)などで区別できる。飛び方は波状だ。
 数は多くはないようで、見る機会は多くない。イカルやシメは、その頑丈そうな嘴、ずんぐりした体形、顔や目のまわりにマスクを被ったような模様があるために、美しい鳥とは言い難いような気がする。また、尾が短めで、頭部が大きく、首が太いため、全体の雰囲気もやや、、バランスに欠けるような体形で、スマートさがないような気がする。このスマートさに欠けるところが「太っている」と言われる所以かもしれない。そのおかげで、他の鳥とは区別しやすいようだ。
 

先頭にもどる