甲虫のなかまと言えば、すぐにカブトムシ、クワガタという名前があがる。しかし、小さなコガネムシのなかまのほうが実際には目にすることが多い。土を掘り返して見つかる甲虫の幼虫も、コガネムシのなかまのもののほうが多いと思う。
落ち着いて見ると、これらのコガネムシ科の昆虫たちはそれぞれに個性的で美しい姿をしている。複雑な模様を纏うもの、光り輝くような体色のものと様々だ。多くの種は幼虫時代には植物の根を食べ、成虫になるとそれぞれの好みによって植物の葉を食べるものが多いようだ。そのため、園芸植物や農作物にとっては害虫となる。
セマダラコガネは全国に普通にいる種。6,7,8月ころに成虫が出現する。体長は14mmほどになる。独特の模様がある。胸部はややろう質感があるように感じる。この体色だが個体ごと変異が大きいようで、かなり黒色化したものもいるようだ。写真のものはわりあいオーソドックスな体色をしている。前羽全部にふたつの黒斑が目立つ。胸部の側面の模様も手がかりになりやすい。成虫は広葉樹の葉を好むようで、花の丘公園の広葉樹林の落ち葉の上にいた。
アオドウガネは渋い色の緑色が目立つコガネムシだ。小楯板(2枚の前羽の間にある小さな部分)が短めで小ぶり。7,8月ころに成虫が出現し、体長は22mmくらいになる。本州、四国、九州に分布する。腹部末端に毛があるのが特徴だ。
左はヤブガラシの花にやってきたマメコガネ。これも1cm前後の小さなコガネムシだ。ブドウやヤナギを好むとのことだが、ヤブガラシもブドウ科だ。ダイズの害虫としても有名なようだ。結構、いろいろな植物を食うようだ。マメコガネは本当によく目にする昆虫で、ちょっと気にすれば野外ではすぐに見つけることができる。夏を中心に出現期間も長い。胸部の緑色、前羽の茶色、腹部の側面には白い斑点が並ぶ、よく見るとこの白い斑は短い毛で、点ではなく腹部下面まで伸びて横縞状になっている。そのため、腹部下面を見るとシマウマ状に見える。帰化した動植物がよく問題になるが、このマメコガネは逆にアメリカに侵入し、害虫として有名になった昆虫だ。向こうでは「ジャパニーズビートル」という日本を代表したような名がついている。
右の黒色と橙褐色のツートンカラーのコガネムシはムネアカセンチコガネ。このコガネムシは意外と珍しい種であった。夜、灯火にやってくるようだが、その生活は結構、謎の多い種のようである。腐食植物や腐肉を食べるとのことだが・・・・・・。オスは頭部のわきに小さな角(凸部)がある。写真のものも拡大すると頭部側面に突起部が見られるのでオスのようだ。これも多分、灯火にやってきたのであろう。朝、建物の廊下に仰向けになってもがいているところを採集した。
小さなコガネムシのなかまにはまだまだ個性的なものが多い。これからも見過ごさず、観察していきたい。