[佐倉市の自然/里山と谷津田]

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<里山と谷津田>
 佐倉市周辺の地形的特徴は里山と谷津田から構成されていることだ。里山とは人家の近くにある山のこと。人家、田、畑などに隣接し古くは燃料採取などに使われていた。

 千葉県には谷津田、やつ、やち、谷地田などと呼ばれ谷状の地形が多く見られる。谷津田は海進(海面が上がること)や海退(海面が下がる)によりできた地形。多くは水田に使われているため谷津田、谷地田の呼称が生まれた。本来は天水に頼っていたため干害を受けやすいなど水田としては条件が悪いものであったが、千葉県では両総用水により利根川より導水され、水田としての条件整備が整えられた歴史がある。

 このような里山、谷津田の織成す田園風景が佐倉市の多くの場所の本来の姿であったと思われる。このような風景は佐倉市では南部の地域に多く残っている。佐倉市西部はここ数十年で宅地開発が進み、風景も大きく変わったが、谷津田や里山も所々に残存している。

 

<里山>

 里山は多くが雑木林となっている。樹種としてはコナラ、クヌギ、イヌシデ、クリ、エノキなどがある。低木としてはシラカシやアオキが見られる。また、林辺にはヌルデやアカメガシワなどが目立つ。

ヌルデ

------葉は複葉で11枚の葉に見える部分の間にも葉状のものがある。

アカメガシワ

------葉柄や葉脈が赤く見え、葉脈が特徴のある形をしている。マント群落(高木の林の周囲を取り巻く低木の群落)の構成員。

里山の林の周囲や中には多くの植物や生物が隠れている。

<谷津田>

谷津田の最近、宅地や工業用地として開発がさかんで、その数を著しく減少させている。しかし、まだまだ水田として数少なくなった谷津田が残されている。水田、その中を通る用水路、周囲を不規則に取り囲む傾斜地とそれにつながる林というのがオーソドックスな谷津田の景観。

用水路や小川には小魚やザリガニが見られる。畦道にはいろいろな野草が見られる。谷津田周辺の代表的な花であるカタクリも残っているようだが、地域は限られているようだ。しかし、最近では谷津田の農道や農道脇の空き地への不法投棄が多く、景観を損ねているのが残念。

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