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今回は今まで個別には紹介できなかった植物(草本)で、このあたり、北総でごく普通に見られるものを簡単に紹介したいと思う。それぞれの季節を花や実で彩る植物たちだ。
まず、はじめは早春から、春、夏にかけて見られる植物たちを紹介しよう。
左からヒメオドリコソウ、ホトケノザ、カイドオシ、ナズナ、イヌナズナ、ハハコグサ、ハルジオン。ヒメオドリコウソウは早春を代表するシソ科の植物。ヨーロッパ原産で群がるように、小山をつくるように生える。春、早い時期から見られ、少しずつ生える場所を広げつつ、姿を変えていく。ホトケノザも同じくシソ科の春を代表する植物。開花する前の赤っぽいつぼみもかわいい植物。ナズナは別名ペンペングサと呼ばれるアブラナ科の植物。実の形が特徴的。次は同じアブラナ科でもナズナよりちょっとなじみのないイヌナズナ。花は黄色、果実は扁平でナズナより細長い。ハハコグサはキク科の植物。茎が淡緑色できれいだ。ハルジオンもキク科の代表的な植物。茎は中空だ。似ているヒメジオンの茎は中空ではない。
左かケキツネノボタンの花と実、タガラシ、キュウリグサ、カキドオシ、ムラサキケマン。ケキツネノボタンはキンポウゲ科の植物で実の形が特徴的。茎に毛がある。キツネノボタン、ウマノアイガタも花が似るが、キツネノボタンは茎に毛がなく、実のとげの先が曲がる傾向にある。ウマノアシガタの上部の葉は披針形で細身。次は同じくキンポウゲ科のタガラシ。ケキツネノボタンより小型。湿った場所を好む。実がカプセルのような形をしている。どちらも水田の近くに多い。キュウリグサはムラサキ科の植物で青い直径が2mmほどの小さな花をつける。カキドオシは紫色の花をつけるシソ科の植物。畦、林縁などで見つけられた。ムラサキケマンはケシ科の植物。
左からヘビイチゴ、ムラサキサギゴケ、トキワハゼ、カラスノエンドウ、カキネガラシ。ヘビイチゴは大きな襟のような苞が目立つバラ科の植物。この苞で他の近似の種と区別しやすい。ムラサキサギゴケはゴマノハグサ科の植物。地面を覆うように生える。花の色は濃淡の変化が多いようだ。同じゴマノハグサ科のトキワハゼも小さいが美しい花だ。カラスノエンドウはマメ科の植物でこれも群がって生える。カキネガラシはアブラナ科の植物で茎がどこか有刺鉄線のように見える。ヨーロッパ原産で日当たりがよい場所、道端に集団をつくる。
次に初夏から秋にかけて花や実が目立つ植物を紹介する。
左からノハラナデシコ、キキョウソウ、ヤマユリ、ヤブカンゾウ、オトコエシ。ノハラナデシコはナデシコ科の植物で、わりあい開けた場所で見られる。花は小さいが美しい姿だ。名前の通り、キキョウ科の植物でこれも開けた場所で見られる傾向にある。小型のキキョウらしい花をつける植物。ヤマユリはユリを代表するような大柄なユリで林縁などで見られる。道のわきの斜面に数株咲いていた。観賞用に用いられ、乱獲されることもある。ヤブカンゾウもユリ科の植物。オトコエシはオミナエシ科の植物。林の中で見られた。
左からオオベニタデ、イヌホオズキの花と実、ヨウシュチョウセンアサガオの花と実。オオベニタデはタデ科の植物で神崎川沿いに咲いていた。イヌホオズキも同じく神崎川で見られたナス科の植物。実が写真のように黒く熟す。次もナス科の植物のヨウシュチョウセンアサガオ。葉の鋸歯、実のとげが目立つ植物だ。全体がとげとげしている。
左からヒナタイノコズチ、オオオナモミ、キクイモ、セイタカアワダチソウ、ヤブガラシ。ヒナタイノコズチは実が服や動物の体表につくヒユ科の植物。以前はこのヒナタイノコズチとヒカゲイノコズチをまとめてイノコズチと呼んでいた。オオオナモミも実が服につくことがあるキク科の植物。キクイモはキク科の植物で9月、10月に花をつける。似たイヌキクイモは花期が7,8月とキクイモとずれる。大きく育つセイタカアワダチソウはキク科だ。ヤブガラシは一面を覆うように伸びるブドウ科の植物。
カラスウリの熟した実と若い実、キツネノマゴ、ミゾソバ、コモチマンネングサ。カラスウリはウリ科の植物で秋に赤く熟す実が特徴的だが、若い実は写真のようにスイカのような模様をしていりる。キツネノマゴはキツネノマゴ科の植物。キツネの尾のような花穂が特徴的。ミゾソバはタデ科、葉の基部が耳状になる特徴がある。よく似たものにママコノシリヌグイがあるが、ママコノシリヌグイは茎に強固なとげがある。ベンケイソウ科のツルマンネングサは畦にあった植物。黄色い小さな花が集まっているのはマメ科のコメツブウマゴヤシ。
左からチガヤ、ガマ、イヌホタルイ。チガヤはこのあたりでは多いイネ科の植物で、葉の縁がざらつく。水が多いこのあたりではガマ科ガマもよく目にする植物だ。夏季、湿地化した休耕田に生えていたカヤツリグサ科のイヌホタルイ。
左からヒシの葉と実、オニビシの実、オオカナダモ。ヒシはヒシ科の植物で実にあるとげが特徴。オニビシのとげは4本だ。戸神の調整池ではオニビシが繁茂している。戸神川ではヒシが多い。水勢がある程度影響するのかもしれない。オオカナダモはトチカガミ科の外来植物。