たくましいオオジシバリ

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 オオジシバリはキク科ニガナ属の植物。どちらかというと湿り気の多めの場所を好むようで、全国で普通に分布する(分布は中国、朝鮮にも広がっている)。そのため、水田や河川が多いこのあたりではよく見られる植物だ。

戸神川周辺では4月から見られる。小型の同じなかまであるジシバリより多いようだ。花は黄色でちょうどニガナとタンポポの中間のようなイメージを受ける。見慣れないとタンポポと思って見過ごすこともあるようだ。タンポポやジシバリと比べるとおしべとめしべからなる柱状部がずんぐりと太く見える。茎は地面をはって広がる。このため「地面を縛る」の意から「ジシバリ」の名がついている。茎は地面を這うが、花茎は上方に伸びる。そのため、草刈がきちんと行われる水田の畦で生育しやすい植物だ。葉はへら状(下部には鋸歯もある)をしていて、幅がひろく広卵形のジシバリとは見分けやすい。

オオジシバリは自花以外のの花粉で受粉ができないとめしべの先が丸まり、同花受粉をするという変わった性質がある。通常、植物の多くは両性花を持つ(70%ほどであるそうだ)。そのため、多くの植物では自家受粉を防ぐようになっている。自家不和合の性質をもっていたり、めしべ、おしべの成熟期をずらしたりと様々な工夫をしている。それにより、劣性遺伝子による様々な障害の発生を防いでいるわけだ。一方でツメクサをはじめとする一年生の植物の中には送粉をやめて、積極的に同花受粉を行っているものんもある。リスクを背負いながらも種子の生産率を高めているというわけだ。オオジシバリは通常の受粉ができないと、同花受粉をする植物だ。両方の方式を折衷して生きているたくましい植物といえるかもしれない。

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