春を感じるのはどのようなときだろうか。植物で言えば、梅、桜の花で春を感じるかもしれない。個人的には春が来ると感じるのはオオイヌノフグリの花を見つけたときだ。
イヌノフグリとは、犬の陰嚢(ふぐり)のことだ。実の形が似ているためにこの名前がついた。名前の由来はあまり、情緒感のあるものではないが、花は美しい。なかまにはイヌノフグリ、タチイヌノフグリ、オオイヌノフグリなどがあるが、その中でも花が一番、大きく目立つのがオオイヌノフグリだ。いずれもゴマノハグサ科の植物。オオイヌノフグリは花が一番大きいと言っても直径は0.8-1cmほどしかない。それでも、非常に鮮やかな瑠璃色の花は野外では目をひく。葉は卵状広楕円形、簡単に言えば団扇っぽい形だ。原産地はユーラシア、アフリカで2年草だ。明治時代には帰化していたようだ。
なぜ、春を感じるかというと、図鑑などでは花期が3-5月となっているが、北総では2月には花を見つけることができる。まだまだ、気温が上がらない時期ではあるが、日中は気温が上がってくる。それをいち早く感じ取って花を咲かせるのがオオイヌノフグリなのだ。オオイヌノフグリの花は日が当たっているときだけ開花する。そのため、どういう状況でこの花と出会うかというと、2月下旬、まだ、うす寒い時期に日中、野外に出て、少しぽかぽかと感じられるような晴れた日に、土手や道端などを見ると、きれいな色のこの花を見つけるという感じだ。すぐそこに来ている春をそれによって認識させられる。春の花は代表選手がたくさんいる。しかし、個人的には春といえば、このオオイヌノフグリだ。2月になれば、また、この花と出会える。