夏の水田を見ているととても個性的な葉の植物が目立つようになってきた。ちょうど、絵本に出てくるキツネの顔のような形をした葉だ。わきから花茎を出し、白い花をつけている。オモダカ科のオモダカだ。花はよくみると花茎の節ごとに3つずつつく。雄花と雌花があり、上部に雄花がつく。白色の3花弁がある。葉は前述のようにキツネの顔のように見え、矢じり形をしている。
この植物に似たものはいくつかある。アギナシとクワイだ。
アギナシは葉が細いが、オモダカも細いものあったり、幼いものは細い傾向にあるので見分けにくい。ただ、よく見ると葉の基部の裂片の先がオモダカが尖り(右写真)、アギナシは丸みを持つ。また、アギナシは葉柄の基部(地中にある部分)に小さな球茎をたくさんつけているので区別できる。果実の形態も微妙に異なる。また、オモダカは匐枝を地中に伸ばす。
クワイはオモダカの変種で、中国から移入されたもので、食用にされる。クワイは食用にされるだけあって、オモダカより全体が大型で葉も緑が濃く、厚みが感じられるような印象がある。日本では本来「クワイ」はカヤツリグサ科のクログワイのことであった。
オモダカのなかまにはヘラオモダカ、サジオモダカがあるが、オモダカ、アギナシは葉が特徴的で、その他多くの水生植物を含めても印象の強い植物だ。