ノウサギ

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2月の朝、道路沿いにノウサギが死んでいた。きれいな状態ではあるが一部に出血もあるため交通事故かそのためのショック死だと思われる。北総にはまだまだノウサギは多いようで独特の丸い糞はよく見かける。公園や学校などの花壇でも糞は多く残されている。夜行性なので姿を見ることはあまりない。ノウサギはタヌキなどに比べると交通事故の頻度は少ないようだ。交通事故に遭うノウサギは春に多いとのこと。出産は春から秋まで続くが、その繁殖期の開始(交尾期は1月からだそうだ)の関係、または餌の季節による変化のための移動が原因なのであろうか。

 ノウサギといっても日本には4つの亜種(キュウシュウノウサギ、トウホクノウサギ、サドノウサギ、オキノウサギ)がいる。本州にいるのはトウホクノウサギとキュウシュウノウサギだ。トウホクノウサギは夏季に茶褐色、冬季は白色になる。それに対してキュウシュウノウサギは通年、茶褐色だ。千葉県に分布するのはキュウシュウノウサギ(Lepus brachyurus brachyurus)のほうである。分布は千葉以外では関東・四国・中部・近畿・東海・福島太平洋側などである。トウホクノウサギとの境界ははっきりしていないようである。腹部を除く全身が茶褐色、耳の先に黒色が見られる。

 ノウサギは巣をつくらず藪で眠り、夜になると活動をはじめる。植物食で葉、芽、枝、樹皮となんでも食べる。1月から交尾がはじまり、秋まで繁殖期が続く。イエウサギや多くのペットのウサギの原種はアナウサギだ。アナウサギはトンネル状の巣をつくる。学校、公園などで飼われているのはアナウサギを祖先とする種が多い。アナウサギのなかまは子が幼い状態で生まれる、目も開いていない。それに対してノウサギはしっかりとして生まれ、目もすぐに開く。巣を持たないためであろう。

 まだ身近なノウサギだが分布域も減少しつつあるようである。


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