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8月に入っても相変わらず、とても暑い日々が続いている。今回は遠出をしてきた。ちょっと、日帰りで日光の戦場ヶ原まで行ってきた。戦場ヶ原までは行きなれた北総の抜け道?をうまく使うと都心近くの渋滞を通過せずに行ってこられる。北総の田園地帯を通り、水辺の景色を楽しみながら手賀沼をかすめ、常磐道の柏から外環へとぬけ、そのまま、東北道にのってしまう。あとは、お決まりの宇都宮・日光自動車道で、日光についてしまう。日帰りで、十分とはいかないが、普段のフィールドとはちがう8月上旬の日光・戦場ヶ原の自然(北関東山岳地帯)を気軽に味わうことができる。千葉県北部からは朝の5時半から6時ころに出れば、午後6時ころには帰ってこられる。ちょうど、往路の時間と活動時間と復路の時間が1:2:1ずつという感じだ。
赤沼で車を止め、戦場ヶ原の遊歩道に入る。はじめはバラ科のズミ(写真左)の涼しげな林を川にそって進む。しばらく行くと分岐がある。湯滝方面と小田代原方面にそれぞれ進むこととなる。今回は小田代原に向け、歩を進めた。しばらくは、ササ(ミヤコザサ)が地面を覆うミズナラを中心とした落葉樹の林の中を進むこととなる。このとき、ササの葉をよく見ると右写真のように葉の先がないものがある。これはシカに食われたあとだ。シカは葉の柔らかい部分だけ食べる。
ちょっと、汗をかいてきたなと思うころ、道はやや下り始める。そして、しばらく行くとまわりの景色とは不釣合いな柵と回転扉が目に入る。この柵はシカの食害防止用の柵だ。小田代原などでは、植物のシカによる食害が激しいため、柵がつくられている。シカの食害は小田代原・戦場ヶ原だけでなく、日光全般で影響が大きいようだ。奥白根でシラネアオイが激減したのもシカのためだということをもう何年も前に聞いたことがある。
その、柵の扉を通ると木道が続き、小田代原へと入ることになる(写真左)。
小田代原に入ると今までの、落葉樹とササが目立つ薄暗い景色がいっきに開ける。いろいろな花たちの姿も見られるようになってくる。
小田代原だけでなく、赤沼付近でも見られた。ホザキシモツケ(バラ科)がまず、目立つ。
花は終わりかけているものが多いがユリ科のバイケイソウも目立つ。この植物は花がウメの花に似ているのでこの名がある。平行脈の単子葉らしい葉が目立つ植物だ。
キキョウ科のソバナも美しい姿を見せていた。ソバナとツリガネニンジンは似ていて、いっしょにあるとへたをすると片方を見過ごしてしまうかもしれない。がく片をよくみるとツリガネニンジンは線形で反り返っている。ソバナのがく片は披針形で反り返ることはない。いずれもがく片は5裂。
大柄な黄色い花もところどころで目立つ。よくみると花弁がよじれているようにみえる。オトギリソウ科のトモエソウだ。
「トモエ」といえば、シオガマギクの変種ともいわれるトモエシオガマ(ゴマノハグサ科)も数は少ないがひっそりと咲いていた。
シソ科のカワミドリも美しい紫色の花を咲かせていた。
湿地や湿原ではよく見かけるバラ科のワレモコウも多い。
このほかに、キオン、ノアザミ、シロヨメナ、ハクサンフウロ、クガイソウ、クサレダマなど多くの植物が1日で楽しめた。
左上から ホザキシモツケ、バイケイソウ、ソバナ、トモエソウ、トモエシオガマ、キツリフネ、カワミドリ、ワレモコウ
動物たちの姿も短い時間で見ることができた。
ニッコウアザミの花にはヒョウモンチョウのなかま、(多分、ミドリヒョウモンだと思う。ミドリヒョウモンはアザミの類を好むし)がとまって吸蜜をしていた。
アザミの花にはいろいろな昆虫がやってくる。ヨツスジハナカミキリもアザミの花で見ることができた。
草原ではノビタキが飛びまわり、ホザキシモツケの穂先で羽を休めていた。
赤沼から小田代原に向かう林内でさかんに鳴いていたのはコガラだ。枝から枝へと休んでは飛び回っていた。
ホンドジカは戦場ヶ原ではわりあいと行く見られる。食害や、増えすぎが問題になるシカではあるが、大型の哺乳類を間近にみられることはやはり楽しい。ホンドジカはニホンジカ、ホンシュウジカとも呼ばれ、本州やその他の島にも多くのタイプや亜種が生息している。北海道のものはエゾジカで別種。雄には角がある。通常、1歳では突起状、2歳で1叉2尖、3歳から徐々に増え、3叉4尖くらいまでなるそうだが、タイプや亜種によって差があるようだ。春に角は落ち、夏にかけて新たなものが生えてくる。これから考えると写真のものは満1歳の雄のように思えるがどうなのであろうか。
左上から ニッコウアザミとミドリヒョウモンと思われるヒョウモンチョウ、ヨツスジハナカミキリ、ノビタキ♀、コガラ、ホンドジカ