夏の野外観察  
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 今年の7月は暑くて湿気の多い夏だ。雨も結構降るかと思えば強風も吹き、照らされ、濡れて、ほこりまみれという感じだ。そのような中、野外観察に行った。野外観察は四季を通じて行うのがよい。自然というのは常に変化する。反面、不変な部分もある。同じ場所でも季節によって状況はまるで変わる。それでも、翌年の同じ時季には同じような植物と同じ場所で対面することができる。かと思えば「このあたりにあの植物はあるはずなのに」ということや「こんな植物、去年はなかったのに」ということもある。
 いっしょだった中学生たちに聞くとはじめは春より暖かくなったので夏のほうが花はたくさんさいていると感じている者が多い。でも、実際に出かけてみると目立つ花をつけた植物は春のほうが多めなことに気づく。チョウ、トンボをはじめとする昆虫や爬虫類なども目立つ。春にもヘビが見られたが、今回も「飼われているヘビ以外でヘビをみたのははじめて」という声が聞かれた。それだけでも暑い中、外に出てきた価値はあるかもしれない。秋は秋でまた自然の様子は変わる。冬は冬で味わい深い。冬は冬の厳しさえを耐え抜く生物の姿をみることができる。

<写真・左>ネジバナ
 こどもたちが一番「きれい」と言いつつ名前を知らなかった花(もちらん、知っている人もいました)。ラン科の植物だ。見慣れた豪華な園芸種のランたちに比べると質素な美しさがある。日当たりのよい草地にはえる植物で、実際に学校周辺ではテニスコート裏の吉見台公園の高台で多く咲いていた。ネジバナの名の由来でもある花序のねじれは左巻き、右巻きと両方あるようである。固体によっては花序の途中でねじれが逆になっているものもあるとのことだ。
<写真・左から2番目>ヒルガオ
 これも吉見台公園の高台に咲いていた。日当たりのよいところに咲く花のようだが、やや「隅っこに」という感じの場所に咲いているような気がする。似たものにコヒルガオがあるがヒルガオのほうが花が大きく葉の形で区別できる。ヒルガオの葉は細長く葉のつけねがちょうど動物の耳のようにとびだしている。コヒルガオの葉のほうが幅が広い。
<写真・左から3番目>ツユクサ
 鮮やかな青色が目立つ花をつける。この鮮やかな青い花弁が目立つが実は花弁は白く小さなものがひとつあり、全部で3つの花弁を持つ。花の色には昔の人も惹かれたようで古くは布を染めるために使われたそうである。
<写真・右>オジロアシナガゾウムシ
 白と黒がくっきりとしたゾウムシのなかま。本来は黒色で、白い部分は毛がはえているそうだ。クズに産卵する昆虫で、クズにできるムシコブの一因。危険を感じると写真のように丸まってしまう。そうするとまるで鳥の糞のように見える。実際に最初、気づいたときは鳥の糞だと思った。

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