ミツバチの水浴び?

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 写真はミツバチが水溜り(湿った土)に集まっているところ。初夏に結構、見られた光景。

ミツバチにはセイヨウミツバチとニホンミツバチがいる。見分け方は、腹部の色と翅脈で見分けられる。翅脈による区別は確実だが捕獲しないと確認できない。腹部の違いのほうが手軽な方法だ。ニホンミツバチの腹部は各節の一部が白いが全体的に黒っぽい。そのため、黒地に白い縞があるように見える。セイヨウミツバチは実はいろいろなタイプがある。しかし、日本のものはほとんどがイタリア種とのこと。このイタリア種は腹部の節のうち胸部に近い2つの節がオレンジ色をしており、全体的に腹部は黒い部分より黄色っぽい部分が多い。この点からも写真のミツバチはセイヨウミツバチであることがわかると思う。

セイヨウミツバチは養蜂のために移入されたものだが、現在では野生化しているものもいる。ニホンミツバチは山地に多い種だが、現在は、かなり都市部にも進出しているということも聞く。

なぜ、ミツバチが水溜り集まっているのだろうか。これは、巣内温度を保つためではないかと思われる。ミツバチに限らず、小さな生物にとって、体内温度の維持や巣内温度の維持は大切だ。以前、大学時代の研究室でミツバチを飼育し、研究室内でも巣内を観察できる仕組をつくり、観察したことがあった。冬、ミツバチは巣内で、身を寄せ合い、さかんに体を震わせている。この行動により、熱を発生させ、巣内温度を一定に保つ。この熱発生のしくみは天敵のスズメバチへの対抗手段としても使われらしい。スズメバチに巣を襲われたとき、ミツバチはスズメバチのまわりに多数であつまり、団子状になる。これは、この行動で熱を発生させ50度近くの高温状態をつくりだし、スズメバチを熱殺してしまうのだ。話を巣内温度にもどすと、冬は高温をつくりだすことが必要だが、夏は逆に低温をつくりだすことが必要なはずだ。ミツバチは巣内温度を下げるために水を利用しているという話を聞いたことがある。そこで、冷却のための水を集めるために水溜りにいると予想される。

ところで、ハチといえば、階級をつくり、社会性の生活をしているものが多い。ミツバチにも、女王、オス、はたらきバチがいる。しかし、働かないはたらきバチが多数いることは今では有名だ。確かに20年以上前のミツバチの観察でも、マーキングによる調査で一生、働かないものが多数いることは事実だった。名ばかりのはたらきバチだ。しかし、数がいるということだけで、役に立つこともあるのかもしれない。

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