3月はじめに花の丘公園を歩いていると落葉した枝にいくつもの黄色い球状のものがあるのに気づいた。よく見ると花が集まっている。さらに、よく見ると、それらは小さな黄色い花だ（上写真）。 この時期に咲く黄色い花といえばマンサクがすぐに思いつく。マンサクは葉がつく前に黄色い花を咲かせる木だ。花は黄色い線状の花弁が4枚つき、花弁はちじれていて独特の花の形となる。そのちじれた花弁はどことなくアメリカン・コミックにでも出てきそうなキャラクターの頭髪を思わせる。しかし、これは、少し様子が違う。マンサクよりはるかに小さな花がたくさん集まっている。サンシュユのようだ。サンシュユはミズキ科の樹木だ。もともとは中国、韓国の植物で薬用として江戸時代に寺などに植えられたのがはじめのようだ。樹高は4-5mほどになる。樹皮が剥がれ落ちる性質があり、枝は紫褐色をしている。花の丘にはかなりの数が植えられている。枝の所々に黄色い玉がついているようで、なかなか美しい。
しばらくいくと、今度は正しくマンサクがあった（下写真）。マンサクのなかまにはマンサク、マルバマンサクやシナマンサクなどがある。マンサクは8mくらいまで育つマンサク科の落葉小高木。葉は互生で、倒卵形、歯牙がある。本州の太平洋側、四国、九州に分布する。マルバマンサクは名前の通り葉が丸く日本海側に分布する。シナマンサクは中国から移入され、庭木などに使われる。特にシナマンサクはマンサクと区別しにくい。全体に大柄で、花の時期にかなり多くの枯葉が残っていることが多いようである。また、花期もマンサクの3月、4月に比べ、1月ころから咲き始めるようだ。さらに、園芸種としてさまざまなものがあるようだ。花の丘のマンサクは枯葉が少ない（ほとんどない）ことと、花期から考えて「マンサク」だと思われる。
マンサクもその独特の花が季節感を持つためか、花の丘公園に植えられているようだ。まだ成熟していないもののようで、樹高は低い。材は硬く、よくたわむために、輪かんじきに使われていたそうだ。輪かんじきと言っても知らない人も増えてきたと思う。雪国で雪上を歩くために使った道具だ。
マンサクといえば「まず咲く」から命名されたと言われている。春にまず、目につく花の代表なのであろう。そのことからも季節感を感じさせる樹木の花で、公園に植えられるのであろう。別に牧野植物図鑑などによると、「満作（豊作と同義）」から命名されたとの説もある。花のつき方があふれるようであるかららしい。しかし、花の丘公園では「まず咲いている」のはウメで、マンサクは先を越されている。これはここに限ったことではなく、ウメのほうが花期は早い傾向にある。この時期、周りを見渡すとウメの紅白、マンサク、サンシュユの黄色となかなか見ごたえがある。