カズノコグサ

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 神崎川近くの休耕田の畦に生えていたイネ科の植物に目がとまった。淡い透明感のある緑色で、近くによると小穂にカプセル形の苞穎の小花がついている。この苞穎が淡い緑で美しい。この小花が並ぶ姿から牧野富太郎がカズノコグサBeckmannia syzigachneと名づけたイネ科の植物だ。カズノコグサ属という属名にもなっている。牧野氏の命名はなかなか個性的だ。ハキダメギクという植物にとっては、ありがたいとは思えない名も牧野氏の命名だったりする。花期は6,7月ころで、北海道から九州まで広く分布する。畦に多く、高さは1m近くになることもあるようだ。神崎川の周辺は川、湿地、乾燥した農道、畦とあるので多くのイネ科やカヤツリグサ科の植物がある。なかなか同定は難しいものも多い。しかし、カズノコグサはその小穂の形が個性的なので見分けるのは楽な植物だ。個性的で面白い形なので、覚えたら忘れない植物であろう。ミノゴメという別名もあり、こちらは小野蘭山(江戸時代の本草学者)が命名した。当然、こちらのほうが古い名前なので、シーボルトコレクション(牧野標本館)などの標本にはこちらの名が使われている。

左:カズノコグサ 右:小穂

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