カナヘビ、トカゲではありません

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 いつのまにか夏も終わり秋だ。そろそろ夏の間にいつも顔を合わせていた生き物としばらく会えなくなる。ちょっと庭に出たり、花壇をのぞいたりするとこそこそと草の中に逃げる生き物、カナヘビだ。カナヘビといってもにょろにょろと動くヘビとは違いちゃんと足がある。でも、トカゲと思われていて、ちゃんとした種名を知られていないという可哀想な生物だ。トカゲ(ニホントカゲ)はカナヘビと比べるとずんぐりとしていて尻尾も短くあまりこのあたりでは見かけない。もしかしたらトカゲは一度も見たことがない人が多いかもしれない。大方の人がトカゲと思っているのは実はカナヘビであることが多い。

 このカナヘビもトカゲの尻尾切りといわれるのと同様に尻尾が切れやすく乱暴に扱うとすぐ尻尾が切れてしまう。切れた尻尾はパタパタとしばらく勝手に動いている。カナヘビの尻尾はトカゲよりはるかに長いので切れた尻尾はまるで独立した生き物のようだ。大きくなると10cm以上には成長するようだが前述のように尻尾の部分が多い。普段はこそこそと逃げてしまうカナヘビだが交尾中は動かない。数は非常に多く。一遍に何匹も見ることが多い。その分、他の生き物のえさになることも多い。また、なぜか子どもはカナヘビを捕まえるのが上手で、捕らえられて悪戯されていることが多い。卵生で卵を産む。飼育も割合楽なようだ。ただ、基本的に生きたえさを食べるそうなので給餌が面倒かもしれない。このカナヘビで面白いのは生まれた卵には上下が決まっていて自然に生まれた状態の通りに卵を置いておくか、移動しても上下をそのままにしておかないと孵化できないとのことである。もし、飼ってみたいと思った人がいて、幸運にも産卵したら、この点は注意したほうがよいだろう。それと雄雌の区別は通常、爬虫類では難しいがカナヘビの場合は尻尾の付け根で区別ができ、尻尾の付け根が太いほうが雄だそうである。ただ、慣れないと区別は難しいかもしれない。

 また、来年の夏にお目にかかったら「あ、トカゲだ!」ではなく「あ、カナヘビだ!」と正式な種名で呼んであげよう。

アップで見るとなかなか迫力があって恐竜のよう?