カマドウマは漢字で竈馬、英語でCamel Cricket。漢字ではかまどの馬、英語ではラクダ・コオロギないしは、ラクダ色のコオロギという意味である。夜行性で、1年中、成虫が見られる昆虫で、多くの種が、家の中でも多く見られる馴染み深い昆虫だ。湿ったところを好むため、台所、床下やトイレに多く、特にトイレにいることが結構あるためか、悪い印象を持っている人も多いようだ。しかし、最近の家屋は密閉性が高いため、昔ほど目にしなくなったような気がする。屋外では洞窟やものかげに多い。直翅目カマドウマ科。カマドウマのなかまは1000種ほどが世界に広く分布している。日本には10種ほどがいる。雌は産卵管が突出している。産卵は土の中に行う。野菜や昆虫などを食べ、雑食性に近いようだ。
カマドウマという種もあるが、その他に、マダラカマドウマ、コノシタウマなどの種がある。コノシタウマは通常は人家には侵入しない、森の住民だ。
写真のものはマダラカマドウマで体長20mmほどになり、カマドウマよりは大型の種だ。いずれの種も触覚が非常に長く、翅はない。ジャンプ力が強く、よく飛び跳ねる。
カマドウマは別名の多い昆虫で、カミノツカイ、フクコオロギなど(井戸などの)守護神として崇めた別名、ウサンコなどのようにウサギなどの姿になぞらえたものもある。確かに長い触覚を耳に、長い後肢をウサギの肢に見立てると、丸い背と相俟って、ウサギらしく見えてくる。これらの古くからの別名を見ると、人々が、身近にいるこの昆虫に親しみを持っていたように感じられる。その一方で、ベンジョコオロギなどと言われ、疎まれているような名称もある。
落ち着いて見てみると、翅がなく、長い肢と触覚を持つ姿はなかなか個性的であると思うのだが。