だいぶ、暖かくなってきた。啓蟄は旧暦2月、今の暦で3月なので、冬の間、こもっていた生き物たちが活発に動き出すのも当たり前の季節となってきた。野外観察に行くとチョウやハチをはじめ多くの昆虫たちが活動しだしているところが見られる。日当たりのよい斜面などではカナヘビがすぐにつかまる。そのようなときに誰かの「キャー」という声があがると大抵の場合、ヘビが見つかっている。今年、最初に見つかったのは側溝の中にいたアオダイショウ。伸ばすと1mくらいはあった。これは負傷者で、しっぽのほうに傷があり血が滲んでいた。しばらくすると藪の中へと逃げていった。いっしょにいた中学生たちは意外と怖がることがなく、私が首を持って持ち上げていると平気でさわる者が結構いた。「はじめて触った」という者もかなりいたようであるが。
写真のものは別の日の野外観察時に林辺で見つかった。ただし、これは死体であった。種類はジムグリで、まだ、幼蛇だった。ジムグリというヘビは変わっていて成体になると模様のない地味なヘビなのに幼蛇は派手な模様がある。写真の通りくっきりとした黒い模様がある。腹側も白地に黒の市松模様と派手であることこのうえない。このヘビの死体のそばには石が落ちていて、その石に打ち砕いたような痕跡が残っていた。いたずらされ死んだのかもしれない。最初に見つかったアオダイショウもけがをしていたし、やはり、ヘビより人間のほうが怖い存在なのであろうか。
この辺の大方の種類のヘビはおとなしい。例外はマムシで、これは気が強いようである。むかし、友人が間違えてマムシの尻尾を踏みつけたとき、首を持ち上げ友人の足に襲い掛かる姿をみたことがある。なかなか、迫力があったことを覚えている。このときは幸い噛まれずにすんだ。佐倉はマムシも多いようなので注意が必要である。
<2003年追記>
こちらはヒバカリ。ナミヘビ科の湿地を好む体長40-60cmほどのヘビだ。昼行性でミミズやカエル、オタマジャクシ、小魚などを食べる。体色は全体的に地味。このようなヘビなので、水田地帯に多い。とても、おとなしいヘビ。この写真のものも印西市戸神川近くの農道をゆっくりと横断していたもので、すぐに捕まえられた。昼行性で、動きも鈍いので、捕食者にとってはよい餌になっている可能性がある。
右のものはシマヘビ。ナミヘビ科のヘビだ。カエルや小動物を捕食する。ごく、普通にいるヘビで水辺、草原、林などにいる。写真のものは県立北総花の丘公園に10月にいたもの。実は捕まえるとき、油断して噛まれましたが、噛む力はたいしたことはなかった。全長は1m近くあった。最大で1m強になるようだ。体には片側2本、合わせて4本の明瞭な縞がある。中には黒色化するものもいるとのことだが。この縞で見分けやすいであろう。
上は身近なヤマカガシ。これもナミヘビ科のヘビだ。草地や藪でよく目にするヘビだ。11月に花の丘公園を歩いていて、このあたりにいそうだなと思っていたら、いた。無毒のヘビと思われていたが、毒を持つ。ひとつは口腔の奥にある毒牙から出るもの、この毒は強い。もうひとつは頚部にある毒腺から出る毒。こちらは弱いが目に入ると危険とのこと。そのため、頚部(首)は強く掴んではいけない(写真では撮影のために掴んでいるが)。このヘビは食後のようで、腹部の一部がふくらんでいた。全長は1m以上あり、今まで見たヤマカガシの中では大きな部類に入る。通常は60cmから最大で1m半くらいまでなることがあるようだ。体色は変異が多いようだが、この個体は体側の赤色、その内側の白い斑が目立ち、割合、オーソドックスな体色のもののようだ。
<ヘビの毒>
ヘビは、ヘビの種類によって、「出血毒」を持つものと、「神経毒」を持つもの、両方を持つものがあるようだ。「出血毒」は血管を破壊し、組織を壊死させる。神経毒は神経を麻痺させ、各種の機能を不全にする。日本では、マムシ、ヤマカガシ、ハブなどが毒を持つヘビとして有名。これらはいずれも出血毒のようだ。ヘビに噛まれたとき、種類が判明すればよいが、不安な場合は、医師にみてもらうほうがよいであろう。万が一が取り返しのつかないことになっては大変だ。